本日は当院で初期研修を2年間研修された下地先生にお越しいただきました。
——下地先生、先生が当院での初期研修を選んだ理由は何ですか。
見学に来た時に研修医の先生方がすごく仲がよさそうで、そして研修医の先生方がいろいろ教えてくれたことです。他の病院では上の先生が教えてくれることは多いのですが、研修医が学生に対して教えてくれることはなかったので、普段から研修医がよく教え合っている感じがとてもいいと思いました。
——なるほど。確かに見学に来られた学生さんには、指導医ばかりでなく研修医の先生方もしっかり面倒を見ていますね。それに当院は研修医同士がとても仲が良いですね。毎年、見学学生さんのアンケートに当院の魅力を聞いていますが、約70%が「研修医が生き生きしている」ことを理由に挙げてくれています。研修医のチームワークが非常に良いので、生き生きとした姿で研修されているのだと思っています。
また、希望される学生さんには研修終了後に研修医2人との飲食会を準備していますので、実習終了後にも研修医の先生にいろいろ聞けますね。
ところで下地先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
1日ずつ2回見学に来ました。総診と救急で1日、外科と小児科で1日の合計2日間見学に来ました。
——なるほど。最初に研修で重要な診療科を見て、2回目で興味のある診療科を見たのですね。総合診療科の見学はどうでしたか。
総診はカンファレンスで研修医が患者さんのプレゼンを全部一人でしていて、すごいと思いました。自分もそのような研修医になれるのかと期待しました。
——確かに。総合診療科は、研修医の先生が主役の診療科ですので、研修医の先生には週に2回、新規受け持ち患者さんのプレゼンをしてもらっていますね。最初は要領を得ない研修医の先生方も、指導医の指導を受けて練習するうちに1カ月くらいでみるみるプレゼンスキルが上達されていますね。
外科の見学はどうでしたか。
外科は人によってはピリピリとする雰囲気で手術をしていることもあると思うのですが、外科部長の加藤先生について手術に入ったところ、Ope中も楽しい雰囲気で手術をされていて、楽しそうでいいなぁと思いいました。
——加藤先生は副院長(現顧問)ですのに、誰にでも挨拶をしてくださって宴会でも盛り上げてくださる大変気さくな素晴らしい先生ですよね。外科のOpeの雰囲気が想像できます。
実際に働いてみて、イメージが変わったところとかありましたか。
1日で見学したときと比べて、実際に回ってみると忙しさという点では特に総合診療科などは思っていたよりメチャメチャ大変だと思いましたが、割とみんな仲良くやっていて、イメージはそんなに違ったということはなかったです。見学で感じた通りの雰囲気でした。
——総合診療科は、研修医ができるだけ自分で考えて判断することを重視していますからね。とても大変だと思いますが、研修医の先生方が一番やりがいを感じていただけるところですね。
ところで先生は今後、心臓血管外科を専門として選ばれたのですがなぜですか?
もともと循環器系を考えていたのですが、頭を動かすよりは手を動かす方が好きなので、外科を選びました。
——先生はしっかり循環器や全身管理のことを勉強されていて、頭を動かして立派に働いておられると思いますよ。2年間の当院での臨床研修の経験で、役に立ちそうなことはありましたか。
直接というわけではないのですが、外科系の上の先生に聞くと内科のことは全然知らないという先生もいると聞いたので、内科もしっかり勉強したことである程度の力はついたかなと思っています。
——外科系の先生も全身管理に大変強い先生がたくさんおられますから、安心してくださいね。下地先生は2年間の研修で患者さんの全身管理ができる力はしっかりと身に付けていますね。きっとこれから心臓血管外科の道を歩む際も、役に立ってくれると思います。
次に研修生活のことについてお伺いしたいと思います。特に一番忙しかった総合診療科での研修中は、どのような生活でしたか。
1年目は7~8月に総診を回りましたが、最初は抗生剤の名前もわからず、輸液も何をオーダーしていいかわからず、当たり前のことができなかったので大変でしたが、土井先生をはじめとしてみなさんに丁寧に教えていただいたのでできるようになったかと思います。
——2年目で総合診療科を回ってできるようになったと思うことはありますか。
基本的なことはできるようになりましたし、カンファレンスでどんなことを話したらよいのかわかってきました。また、退院した後とかのこととかもちょっと考えられるようになってきたと思います。全身管理もかなり自信をもってできるようになりました。
——総診の時も休日は休めていましたか。
休みもしっかり休めていました。帰るのは21~22時になっていましたが、睡眠時間は6~7時間は休めていました。朝は総合診療科の時は受け持ち患者さんの血圧がちょっと低いだけでも心配だったので、6時ごろに来ていました。今は8時くらいに来ています。
——そんなに早く来られていたのですか。私は知りませんでした。命を預かっている責任感を感じて研修されていたのですね。大変素晴らしいことだと思います。先生が特に記憶に残っている症例はありますか。
2年目の5月ごろに内科当直中での外来患者さんで、インターフェロンによる薬剤性の急性腎障害の方が受診されて、中心静脈ラインと動脈ラインをいれてICUで一晩ずっと張り付いてノルアドレナリンまで使って治療していた経験が一番記憶に残っています。
——それは大変な経験をしましたね。その患者さんは無事に退院できましたか。
翌日には割と血圧も安定して、尿も出てきて、回復することができました。
——良かったですね。ICUの症例は刻一刻と変化するので、気になって眠れなくなることもありますね。特に自分が初診で見ていた症例ともなるとなおさらですね。下地先生はICU症例はどれくらい持ちましたか?
30例くらいは持ちましたね。
——すごい数ですね。循環動態の管理もいっぱい経験できましたか。
そうですね。
——ところで、先生は学会発表などはされましたか。
伏見医師会主催の総合診療臨床カンファレンスで発表しました。
——そうでしたね。このカンファレンスは当院の私(総合診療科 中前)と皆さん方研修医、京都医療センターの指導医の小山先生と研修医の先生方、伏見医師会に所属される多くの先生方を交えて、当院と京都医療センターから1例ずつ持ち寄って年2回の合同カンファレンスを行っている企画ですね。先生には立派に演題発表を務めていただきました。当院で毎週やっている救急症例検討会と同じ1時間の討議形式ですが、他院の研修医の先生方とされることは大変良い刺激になっていると思います。
先生にとって当院で学んだ2年間の研修はどうでしたか。
一番はすごく楽しく2年間過ごせたというのがあります。いろいろ勉強しなくてはいけないことも多かったですし、大変なことも多かったのですが、上の先生に困ったことがあってもすぐ聞けるような雰囲気ですし、今も同期の先生や上の先生にもいろいろ聞いたらよく教えてくれるところがよかったと思います。
——良かったですね。私も大変嬉しく思います。これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。
個人的には研修医の数が少なすぎると寂しかったりしてどうかなと思いますし、逆にかなり多すぎても経験症例が少なくなりすぎるように思います。それに、指導してくれる上の先生の数がどれくらいいるかというのもすごく大事かと思います。指導医の先生の数が少ないと教えてくれる余裕もないと思いますから。後は、内科の基本的なことはどの科に進んでも100%大事だと思いますので、それがしっかり勉強できるところがいいですね。
この病院は症例も多くて、手技もいろいろできるところがいいところだと感じていて、それでも手技ばかりで勉強できないこということでもなく、しっかり勉強もできるところがいいと思います。
——本日は大変ありがとうございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。