本日は平成29年3月までで初期臨床研修を修了予定で現在当院で2年目の初期研修医をされていらっしゃる山下先生に医仁会武田総合病院での初期研修を選択された背景や当院での研修生活などについてお伺いしてみたいと思います。
——山下先生、さっそくですが当院を臨床研修病院として先生がご選択された理由は何だったのでしょうか。
僕は父が脳外科医で脳外科にあこがれていたため、将来は脳外科に行く事にことに決めていました。そのため、学生時代に脳外科で教育体制のしっかり整った病院を探していたところ、医仁会武田総合病院の脳神経外科が症例も多くて教育体制も充実していると感じたので当院に初期研修に来ることに決めました。
——学生時代から将来のビジョンを決めてその目標に向かって進んでいらっしゃるのは大変すばらしいですね。その医仁会武田総合病院での2年間の初期研修ももうすぐ終わりになりますが、先生にとってはどのような研修でしたか。
普通、初期研修であるという立場からは指導医や上級医の指示のもとに診療行為にあたることが多く、どちらかというと下働き的な役割で学んでいくような研修が多いように思うのですが、医仁会武田総合病院での研修は研修医が実際に患者さんを見てまず自分で考えないといけない場面がたくさんあったので、非常に勉強になりました。
また、研修医のバックアップ体制も充実していて研修医は診療行為について指導医と常に相談しながら診療にあたることができますし、実際に悩んだり困ることがあれば診療科の指導医だけでなく診療科をまたいだどの上級医にも聞きやすい環境があったので、とてもやりやすかったです。
——なるほど。研修医として主体的に患者さんを見ることができるので、指導医の指示に従ってやっているよりも勉強に対する意気込みは全然違いますよね。実際に山下先生が困った経験はどのようなものでしたか。
例えば発熱患者の肺のCTの読影で悩んでいた時に、呼吸器内科の上級医の先生に実際にすぐに供覧していただいて教えていただいたり、循環動態の悪い患者さんがいれば、循環器内科ローテート中でなくても循環器の先生に心臓の評価をベッドサイドでしていただいたりなどと、多くの診療科の先生にいつでも気軽に相談しやすかったです。
——確かに当院は若い上級医の先生も多くてなんでも聞きやすい環境にありますよね。また、院長やプログラム責任者をはじめとする指導医の先生方も当院が教育病院であるということを日ごろから常に意識して教育や指導に取り組んでいますので、病院全体で研修医を育てようという雰囲気がありますよね。実際に多くの先生方やコメディカルの方々が常に研修医の先生方の研修状況や心の状態を気にして下さっています。
ところで山下先生は自由選択期間にはどのような科を回りましたか。
神経内科に春6週間と秋に4週間、ほかに救急センターを必修の8週間の他に自由選択でさらに4週間、他は放射線科3週間と脳神経外科を10月と1月に4週間ずつ回っていました。
——なるほど。脳神経外科医になるために必要な科を上手に配分したのですね。大変立派だと思います。脳神経外科での研修はいかがでしたか。
脳腫瘍や脳血管内手術、脊椎の前方固定術や後方固定術、Hardyの手術や内視鏡的脳内血腫除去術、脊椎脱臼整復術なども含めて、40例ほどの手術に入ることができました。
——それは素晴らしいですね。手術中は教えていただけるのですか。
顕微鏡手術なので、術中にモニターを見ながら解剖から手術上の注意点まで細かく教えていただいていましたし、実際に使う器具や顕微鏡を用いて人工血管で微小血管吻合の練習させていただくこともできました。
——忙しい手術の中でそこまで教育に時間をさいていただいて大変うれしいですね。手術以外の時間でもしっかり教えてもらえましたか。
脳外科は朝8時からカンファレンスをしていることが多いので、いつも参加させていただきました。また、毎週抄読会もしていてそちらも参加しました。他にも貴重な症例を経験しましたので今度の4月に脳神経外科学会の近畿地方会で発表予定ですし、またその症例について論文執筆も指導して下さり、現在、論文発表の最終段階まできていて近々掲載される予定です。
——先生は忙しい初期研修医の立場でありながら本当に頑張っておられますね。ところで現在、山下先生は総合診療科をローテート中ですが、総合診療科での研修はいかがですか。
毎朝8時ごろに病院に来て、まず電子カルテでカルテ回診をしています。そのあと、ベッドサイド回診をして、指導医が来てからは週2回のカンファレンスを含めて新患や治療中の入院患者のディスカッションをしています。午後からは中心静脈ラインを取ったりといった手技をしたりカルテを書いたりしていますが、特に忙しくない日は早めに仕事を終わらせて自習にあてています。
忙しい日は様々な病棟業務だけで一日が終わることもありますが、忙しくても20時までには仕事が終わる感じです。経験症例としては、急性細菌性感染症、真菌感染症、伝染性単核球症、電解質異常や偶発性低体温症、敗血症、腎不全、摂食障害、アミロイドーシス疑い、担癌患者、心不全、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群などの患者さんを見ています。
また高齢者やADLが低下した患者様の退院調整まで研修医が主体となって調整する経験を積むことができ、大変勉強になりました。また、プライマリケア外来での外来研修では、白血球減少症の症例を受け持たせていただき、鑑別について学ぶことができました。
——様々な種類の症例を経験されているのですね。医仁会武田病院の総合診療科は若年者や高齢者の様々なコモンディジーズの診療を経験できますし、他の診療科では診断のつかない原因不明の疾患の診療の経験も数多く当たることができますね。
また、重症患者のICU管理なども研修医の先生方が診療の中心となって行うことができますので、2年間で様々な内科的疾患の全身管理をしっかりと身に着けることができますよね。
他にも総合診療科研修中には近医からの紹介患者さんを特別枠で指導医と1回1時間以上の時間をかけて数週間かけて継続的に診療するという初期研修中では珍しい外来研修にも力を入れていますので、問診や身体診察法、系統的診断技術を実践的に学ぶことができますね。
また、総合診療科と救命救急センターでの研修期間中は常に1年目と2年目の先生が一緒に回るようになっていますので、お互いが学びあいやすい環境となっていますよね。
山下先生は医仁会武田総合病院での2年間の研修を振り返ってみていかがでしたか。
実践の中で常に指導医とともに第一線に研修医がいますので、1年目の最初は何もできないところから始まりますが、何をすべきか常に考えさせられるという経験の積む中で、2年目の研修医の先生方や若手の先生方の助けを借りながら日々悩みながら気がついたら少しずつできることが増えていき、自然に成長していくことができたと思います。
2年目になるとある程度、自分の将来のことを考えて専門的な勉強ができるようになりましたし、後輩の指導をする中で自分もまた成長していました。
——当院での研修が手厚い研修環境の中で実践を主体とした数多くの症例経験に基づいていることを、上手にご紹介いただいてありがとうございました。最後に武田病院での研修を考えている、または悩んでいる学生さんに一言をお願いします。
すごく忙しいというわけではないですが、症例自体は豊富にあるため、望めばいくらでも経験は積めると思います。また、総合病院なので志望科を決めていなくてもいろいろな科を見て研修中に決めるということも可能です。僕の場合、脳外科を志望していましたが神経内科がしっかりしている病院ということも当院を選んだ理由でした。
総合病院で症例も豊富だからこそ、いろいろな形で自分の将来に役に立つ研修ができると思います。興味を持っていただいた方はぜひ当院に研修へいらしてください。
——ありがとうございました。