臨床研修について聞きました
インタビュアー:プログラム責任者 中前 恵一郎
2年目研修医 泉先生へのインタビュー
本日は大阪市立大学(現 大阪公立大学)をご卒業後、当院で2年間の臨床研修を終えられ、令和5年度より東京医科大学八王子医療センターの救命救急センターにて救急科専攻医としてご就職予定の泉 千早也先生にインタビューをお願いしたいと思います。
- 泉先生、当院を臨床研修先に選んだ理由は何ですか。
- 病院見学の際に、当院の初期研修では手技や手術などに積極的に参加させてもらえることを肌で感じたので選びました。
- 当院は、手技・手術はいっぱいさせてもらえますからね。
先生のもともとの志望科は何でしたか。 - もともとは外科志望でした。特に肝胆膵外科に行きたいと思っていました。
- なるほど。それで当院での研修を希望されたのですね。専門研修先としては救急となりましたが、研修中にどのように志望科が変わっていったのですか。
- 一つ目に、当直研修を通じて、内科系疾患に関しても急性期病態であれば興味を持って取り組めたこと、二つ目に、手術による確定診断と治療だけではなくて、問診や身体所見による臨床推論にも興味が出てきたため、急性期病態における内因・外傷を問わない診断と治療ができるようになりたいと思ったことで、救急医を志すようなりました。
- 臨床推論に興味を持ってもらえたのは、総合診療科医の私としては大変うれしく思います。特に私が当院に赴任してからすぐに始めた救急症例検討会については、これまでは私は病態や解剖学的な点から網羅的に鑑別リストをあげて、合う点・合わない点を考えながら疾患を絞り込むことを重視していましたが、泉先生の御提案で救急隊情報から頻度の高い疾患・重症度の高い疾患の二つの軸から鑑別リストをあげて考えていく方向性に変えていきましたね。救急症例検討会としては、総合診療科としての私の病態別の考え方よりも、実践に即した形になってよかったと思います。泉先生は常に救急症例検討会をリードしてくださって感謝しています。
泉先生にとって、研修中に強く思い出に残る症例はありましたか。 - 1年目の4月の総合診療科で診た肝膿瘍の症例です。血液培養で起炎菌がFusobacterium nucleatumと判明しました。文献検索により、本菌種は消化管常在菌でありながら、大腸癌の発症や進行に大きく関わっており、大腸癌の部位をエントリーとして肝膿瘍を形成しうるということを知りました。肝膿瘍治癒後に、消化器内科での下部消化管内視鏡検査を勧めたところ、実際に早期大腸がんが発見され、手術により根治されました。肝膿瘍を見たときにエントリーを探すことの臨床的重要性を学べただけでなく、臨床上の疑問に対して、文献検索により、他科領域の診断治療にも繋げる経験が出来ました。当時外科志望だった身としては、内科的推論と診断によって分かることの幅広さに感動しました。
- 大変珍しい菌に当たったのですね。しかも、研修1年目の4月というもっとも感受性の高い時期に、一つの感染症から癌の発見と治療につながるような貴重な経験をされたのは大変幸運でしたね。
泉先生は、学会発表をした経験はありましたか。 - 第77回消化器外科学会総会に研修2年目の7月に緩和型アニサキス症の2症例について報告しました。
- 緩和型アニサキス症ですか。救急症例検討会には提示されたことはないですね。泉先生は、この症例を診たことがあったのですか。
- 実は、緩和型のアニサキス症は経験していなかったのですが、この発表を勧められる直前に劇症型の(いわゆる普通の)アニサキス症を見ていたので、この発表を勧められた時に是非やってみたいと思いました。
- なるほど。緩和型アニサキス症というのは、どのくらいの頻度なのですか。
- 無症候性に消化管粘膜下に好酸球性肉芽腫を形成し、多くの場合、自然治癒する疾患のため診断される頻度はとても低いのですが、たまたま場所が悪いと腸閉塞などをきたしうる疾患です。私が発表した症例のうち、1例目は健診で偶然にSMT(粘膜下腫瘍)として発見されて、当院で超音波内視鏡とEMR(内視鏡的粘膜切除術)をして診断された症例でした。2例目は若年女性の閉塞起点が不明な小腸閉塞に対し、外科的切除によって診断された症例でした。ちなみに、アニサキスに対する初回感染は、緩和型をとるのではないかと言われており、いわゆる急性腹症として来院するのは2回目以降の感作ではないかという説があります。
- それは大変面白い説ですね。初回感染は感作だけが成立するので、感作後の2回目の抗原暴露で蜂アレルギーのように重症のアレルギー反応をきたすということですね。サバやホタルイカを食べた後に、症状もないのに病院に行きませんからね。
泉先生は研修期間中の2年間でいろいろと経験を積まれておりますが、先生が一番勉強になったことは何でしたか。 - 研修2年目の当直研修だと思います。救急搬送と違ってWalk in症例もたくさん診ることになり、1年目と違ってマルチタスクを要求されることが増えます。その時にどの患者の検査を優先的に進めるかなど、自分の中で対応に濃淡をつけなければいけないという救急的な考えを学ぶことができたのは大きかったと思います。
- なるほど。少し解説すると当院では1年目は全科の救急車対応なのでマルチタスクをこなすことはほとんどないですが、2年目からは内科のWalk inと内科救急の両方を内科当直医と一緒にこなさなければならないので、自分の中でトリアージをつけながら外来をこなしていく能力が求められますね。これは、先輩医師として申し上げると医師としての大変重要な能力で、私など常に5~10個以上日常生活の中でマルチタスク状態なのですが、片付けられるタスクはすぐに片づけておき、時間のかかるタスクは優先順位をつけて後回しにしながら期限内に処理するということが常に求められます。当院の外来当直研修で外来診療のマルチタスクをこなされたことは、先生の医師としての能力を高めるうえで、必ず役に立つと思いますよ。
ところで、2年目の当直研修では、通常はどれくらいの人数(タスク)を、最大で何人くらいの人数(マルチタスク)をしていましたか。 - 普段は2-3例同時に検査を出すことはよくありましたが、多い日、特に日直の時は5-6例の症例を同時に対応することもありました。
- それは、しっかり鍛えられましたね。十分、救急医としても一般外来診療をこなす上でも、実践力が養われたと思います。
ほかに臨床研修以外で楽しかったことや、思い出に残ったことはありますか。 - コロナ禍であったこともあり、思い出は殆ど病院にいたときのことしかないです。病棟で学びながら働くのも楽しかったのですが、研修医室で時に学生同士のように研修医同士でわいわいできたのも楽しかったです。特に、病院が主導している勉強会とは別に、自分たちで興味を持った内容に関して本を読んだりして、スライドにしてシェアするなどの自発的な勉強会はたくさんやりました。例えば、救急外来において最低限の情報から疾患を想起するトレーニングとして、「症例の100本ノック」というスライドを作って、みんなで4-5回やりました。地域研修で宮津に行っている時にずっと作っていて、めちゃめちゃしんどかったのですが、めちゃめちゃ楽しかったです。休憩時間にはネットで探してきた、東南アジアの変わったお菓子を食べながら症例について話し合ったりして、funnyとinterestingを両方兼ね添えた生活を送ることができました。この姿勢は私が今後医療に臨む上での基本的なスタンスになるだろうと思います。
- ありがとうございます。つまり400-500例の症例クイズを皆さんで自発的にやり遂げていたのですね。それは本当にすごいことだと思います。
泉先生と同じように、救急を志す方にとって当院の臨床研修のよいところ、悪いところを教えていただけますか。 - 大前提として、何科を志すにしても(特に診療科が決まっている人にとって)、自分の志望する科のことだけを初期研修の2年間で勉強すればよいわけではないと思います。特に救急科は、超急性期から急性期であれば、理想であれば全診療科において十分な知識を持っていなければいけないと思います。私の中では救急科とは、より正確に言えば、急性期科なのです。この考えのもとで、当院の各診療科で急性期のことを学びたいとアピールすれば、指導医の先生方がそれに合わせた指導をしてくださいました。例えば、糖尿病科ローテートでこの話をしたところ、重症患者の栄養管理や、高血糖緊急症を重点的に診させていただきましたし、逆に内科領域を志望する同期の研修医は、慢性期の血糖管理について指導をして頂けたようです。研修医の目的がしっかりしていればしているほど、それに指導医が応えてくれました。悪い点としては、当院は三次救急の施設ではないので、多発外傷や重症中毒は診る機会がありません。私が来年度以降救命救急センターで働くにあたり、個人的に重点的に補強しないといけないと思っています。
- 良く分かりました。当院は三次救急の病院ではありませんので、多発外傷や重症熱傷などの症例は来ませんからね。ただ、内科疾患は二次・三次関係なく重症例が運ばれてきますし、またいつも救急の中谷先生がおっしゃっていますが、三次救急はあまり診断に悩むことは無いということで、臨床推論を鍛えるという点では、二次救急の面白さがありますよね。
最後に、これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院としての当院の魅力について教えていただけますか。 - 医仁会武田総合病院は救急搬送数も中くらいで、いわゆる症例が雨あられとある病院ではありません。しかし、上級医の質がどの科も高いので、症例が少なくても1例1例を掘り下げてくれたり、過去の症例を持ち出してディスカッションしてくれたりと、研修医の熱意にどこまでも応えてくださるところが一番魅力的だと思います。私は研修医として学ぶにあたっては、自分が学びたいことや、できること、できないことをしっかり整理して言語化していくことが、密度の高い臨床研修をするうえで重要なポイントだと思います。それに応えてくれる環境が当院にはあると思います。
- 本日は貴重なお話を大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 嘉手苅先生へのインタビュー
本日は琉球大学をご卒業され当院で2年間の臨床研修を終えられ、令和5年度より兵庫県立尼崎総合医療センターでER総合診療科にて内科専攻医としてご就職予定の嘉手苅 桃子先生にインタビューをお願いしたいと思います。
- 嘉手苅先生、当院を臨床研修先に選んだ理由は何ですか。
- 京都で働きたくて、かつ、同期が多すぎず少なすぎない病院を探していて、また総合診療科が強いところを探していたところ、見学に実際に来た時に研修医の先生方が楽しそうに活発に働いていたことが当院を選んだ理由です。また、座学よりも動くタイプの研修が私にあっていると思ったことも当院を選んだ理由です。
- なるほど。多くの研修医の先生方が当院の研修医の仲の良さを見て選んで頂いています。また、当院は座学としてのセミナーも1年目は週3回ありますが、実際に動いて学ぶことが大変多いですね。
ところで、嘉手苅先生は学生時代にはどのような診療科を目指していましたか。 - 学生時代は、産婦人科と泌尿器科に興味がありました。どちらの診療科も初診から診断、治療とその後のフォローまで一貫して出来ること、さらに内科的側面と外科的側面のいずれの側面もあることに惹かれていました。
- 先生は、病院見学の時からそのようにおっしゃっていましたね。しっかりと将来の志望科を考えているので大変印象的でした。現在は内科専門研修へ進む道を選ばれたわけですが、研修中にどのように志望科が変わっていったのですか。
- 一つは、昨年10月まで総合診療科の指導医だった武田拓磨先生から患者さんの診察を通して問題を解決するという総合診断の楽しさを教えてもらったことと、もう一つは、根本的に見られる範囲は全部見るという総合診療科のスタンスが自分に合っていたことでした。研修を進めていくうちに、専門的な診療科では内科的管理が弱くなってしまったり、産婦人科であれば女性しか見られなかったりという偏りがあるのを感じて、全身管理ができるようになりたいという気持ちが次第に強くなってきました。その結果、2年目の初め頃より志望科が内科に変わってきました。また、ローテーションしていく中で自分の考え方が外科的というよりも内科的だったというのも決め手だったと思います。
- 自分が見ることができることはすべて見るというのは、私もすごく大切にしており、先生のご意見に強く共感しますね。全身管理ができる医師になりたいという点も私も全く同感です。そのような気持ちからメジャーな診療科が先生に向いていたということですね。さらに、先生が外科的よりも内科的だと自分が思ったのはどのような点なのですか。
- 研修をしていくうちに、外科は手術毎に決まった術式があり、その精度を高めていくということを逆算して考えて治療していく方向性だと思ったのですが、一方で内科はゴールが分からないものにアプローチしてゴールを探していく方向性だと思いました。内科は外科とアプローチが逆だと感じるようになって、私自身は職人として精度をあげていくよりも、診断がつかなくても対応していけるという内科系の方がより楽しいと感じて内科を選びました。結局は、手術という手技は好きでその点で外科系は好きなのですが、解決策を考えていくというアプローチの方が好きで得意かなと感じて、自分は内科的だと思いいたりました。
- 私も診断学的アプローチが好きなので、総合診療科をやっていてとても楽しいのですが、先生が外科との違いを上手にまとめていただいて大変驚いています。2年間の研修で本当に多くの診療科で経験を積んでいただいたことだと思って嬉しく思います。
嘉手苅先生にとって、研修中に強く思い出に残る症例はありましたか。 - 総診で見た患者さんで、身寄りがなくて誤嚥性肺炎を何回も繰り返して看取りに向けた退院までを決めていくという患者さんを経験しました。その患者さんは次第に口から食べられなくなり、最後は意思表示もできなくなっていきました。私は担当医として最初は一人で思い悩んでどのようにすべきか考えていたところ、指導医の先生からこのような症例こそチーム医療が重要であり、多職種連携して最後まで見ていくことが大事だと教わりました。そして、チーム医療で社会的背景も考えて最後の方向性を決めていくという、医師国家試験でも全く学ばなかった経験をさせていただいて、今の自分の診療科の決定にも影響しているのかと思います。
- それは大変な症例を経験できましたね。総合診療科では高齢者で食事がとれなくなったような患者さんを多く見ますが、胃瘻を作るのか、作らないのか、家に帰るのか、施設に入るのか、病院に入るのか、家族背景や社会的サービスを含めて本当に様々なことを考えて退院調整を進めていきますね。医師一人ができることは本当に限られてくるので、ご本人、ご家族、ケアマネ―ジャー、訪問看護師、病棟看護師、そして患者サポートセンターのスタッフなど多くの方に協力いただいて退院調整を進めていますね。この経験は先生がどのような診療科に行ってもきっと役立つものですが、総合診療科では研修医の先生に病状説明をしていただいたり、チーム医療のメンバーとして主体的に経験を積んでいただいています。先生が一番思い出に残る症例がそのような退院調整をされた患者さんだというのは、人間としても大変素晴らしいことではないかと思います。
ところで、嘉手苅先生は、学会発表をした経験はありましたか。 - 私は3症例の学会発表の経験をしました。
1年目の秋にIgG4非関連の炎症性腹部大動脈瘤の術前ステロイド療法を行った症例報告と、2年目の4月に外科で十二指腸穿孔を保存的治療で見たという4例をまとめた症例報告と、2年目の夏に泌尿器科でアデニン結石という遺伝性尿路結石症の症例報告をしました。半年おきに3回発表をしたので、徐々に調べる方法やまとめる方法の精度があがり、人にどのように伝えるかというノウハウが上手くなったと思います。普段自分で経験して、あれっ?と思った症例については症例報告をしていくという意識をこれからも持ち続けたいと思いました。 - 最初の1例目は私と一緒にまとめた症例ですね。学会発表が上手になるということは、その症例を他人に伝えるために何を取捨選択していくのか、さらにどれだけ掘り下げていくのかということを、制限時間内にプレゼンテーションしていくということで、医師にとってなくてはならない経験・技能だと思います。当院では最低1例の学会発表を課していますが、3例も発表されたのは大変良かったです。
研修期間中の2年間で先生が一番勉強になったのは何でしたか。 - 定期の勉強会以外にも研修医同士で各自の救急症例や入院症例をディスカッションしたことはすごく勉強になりました。研修医室で日々、些細なディスカッションがあちこちでありましたし、それも研修医だけでなく、上の指導医も交えてやることがありました。同期の研修医が研修医向けに何度も症例クイズ大会もやってくれて、活発にディスカッションができたのが良かったと思います。
- 指導医と別の研修医室という部屋があるのもよかったですね。それに一人一人が経験できることは限られるので、研修医同士でディスカッションすることは先生方の経験を何倍にも増やしてくれていると思います。症例クイズは私も参加させていただきましたが難しかったですね(笑)。
ほかに臨床研修以外で楽しかったことや、思い出に残ったことはありますか。 - 私は京都に住むことが小さいころからのあこがれで、ようやく来たらコロナで街に出ることができなかったのですが、研修の合間を縫って同期や先輩・後輩と食事にいけたのはいい経験になりました。それに、たまに鴨川を見に行って私は京都に住んでいると実感するのが楽しかったです(笑)。後は、桜、紅葉、雪という美しい京都の四季を楽しめたのはよかったです。
- たしかに、COVID-19の影響で京都観光どころではなかったのは本当に残念でしたね。それに、これまで毎年行っていた研修医歓迎会や納涼祭、修了記念パーティーも全く開催できず、仕事以外のことを話す機会もなかなかなかったのが残念でしたね。でも、先生が少しでも京都を楽しんでいただけたのは何よりでした。
最後に、これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院としての当院の魅力について教えていただけますか。 - 一番は上の先生方が研修医の指導に熱心なのが、非常にありがたいと思います。バック(背後)に先生がいるという安心感でのびのびと自分の考えたようにやらしてもらえましたし、各科のハードルも低かったので、一度回った診療科にはローテーションをしていなくてもなんでも相談できたこともありがたかったと思います。
- ありがとうございます。先生と同じように、将来の専門とする診療科や研修病院の決め方にも迷っている医学生さんに、何かアドバイスを頂けますか。
- 私は同期の人数でこだわったところもあったのですが、今は案外、同期の人数にはこだわらなくてもいいと思っています。また、ハイパー・ハイポとか個人の中である程度どのような研修医生活を送りたいという考えがそれぞれあると思いますので、無理なく研修生活を送れる病院を探すことが大事かと思います。最初の選択もそうですし、背伸びをしすぎてきついところに行ってしまって入ってみて合わないとかがあれば、病院を変えて研修生活を変えた人も私の同期には意外といるので、自分がしんどいと思ったら研修先を変えるという選択肢があることを覚えておいてほしいです。自分の体や心が健康ではないと人生が豊かにならないと思うので、変に病んで落ちていくよりも、無理をせず自分に合ったところを探して研修先を変わっていくのも重要だと思います。
また、将来の診療科については、自分がやってて楽しいと思えるところを選んだ方がいいと思います。最後になりますが、専攻医の病院見学については、私は遅かったので(笑)、早め(1年目の後半くらい)に動き始めた方がいいと思います。 - 本日は貴重なお話を大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
たすき掛け研修医 石原先生へのインタビュー
本日は滋賀医科大学のたすき掛けとして当院で1年間研修された石原 大梧先生にお越しいただきました。
- 石原先生、先生がCプログラムで当院でのたすき掛け研修を選んで頂いた理由は何ですか。
- 私は学生時代にいくつかの病院見学に行ったのですが、5年生の時に医仁会武田総合病院に見学に来た際に、研修医1年目の先生方が研修医同士で症例について話し合っている姿を見て、自分もこんな環境で研修が出来たらいいなと思ったのがきっかけでした。研修医同士がすごく仲が良くて雰囲気もよかったことだけでなく、見学の際に優しくして頂いたこともいいなと思いました。後、志望科があまり決まっていなかったのですが、内科系、外科系どちらも志望する研修医が多く偏っていなかったため、志望が決まっていなくても研修をしやすいと感じて医仁会武田総合病院を選びました。
- ありがとうございます。先生は当院の研修医の先生方の雰囲気をみて、選んでいただいたんですね。当院は研修医の先生方のやる気やチームワークをとても大事にしているので、毎年いい雰囲気で研修をされていると思います。そのような姿を見ていただいて決めていただいて本当にうれしく思います。
ところで来た時にはまだ志望が決まっていなかったということですが、石原先生の今の志望診療科は何ですか。 - まだ決まっていませんが、外科系で考えています。
- なるほど。当院の外科系ローテーションでは、1年間でどのようなことを経験できましたか。
- 手術は全部入らせていただいて、やりたいと思うことを少しずついろいろやらせていただけました。最後の方では、鼠経ヘルニアの前方アプローチ手術について、指導医の監督下でかなりのことをやらせてもらえました。
- なるほど。整形外科はどうでしたか。
- 整形外科も縫合などはよくやらせていただきましたし、整形外科の専門の機械も触らせていただきました。また、整形外科の外来も週2回見せていただいて、腰痛や術後のフォローなどもたくさん見せていただきました。
- 手術だけでなく外来も見せていただいたのはいいですね。内科系を志望する先生にとっても、整形外科の患者さんは数多く見ることになるので、整形外科の外来研修は私も是非お勧めしたいです。
石原先生は、この1年間で手技はどれくらいできましたか。 - CVは5-6回、腰椎穿刺も5-6回、挿管も麻酔科以外で2回行いました。胸腔穿刺・ドレーン留置や腹水穿刺もやらせていただきました。機会があったらどの先生も声をかけてくださったので、すごく経験を積ませていただいてありがたかったです。
- それはよかったですね。当院はローテーションしていない診療科の先生からも、手技があるときに研修医にやらせようとしてくださる方が大勢いらっしゃいますので、手技の経験はたくさんできると思います。
石原先生にとって、この1年間で記憶に残る症例はありましたか。 - 総診で、肺炎・腸炎から急性腎不全に至ってICU入院となった症例を受け持たせていただきました。総診ローテーションの初めの頃で、輸液のオーダーも分からない状態から、日々治療方針を一からすべて相談させてもらって、中心静脈栄養の作り方から循環動態の管理まで指導医と相談しながら自分である程度考えて出せるようになりました。その患者さんが最後、歩いて退院できたのを見て、すごくやりがいを感じることができました。
- 無事に退院できてよかったですね。私も研修医の頃に受け持った重症患者さんは、今でも記憶に残っています。初期研修医の頃は症例を受け持てば受け持つほど、考えさせられれば考えさせられるほど、知識をどんどん吸収して成長していくことができると思いますので、指導医の先生に手取り足取り教えていただける総合診療科は皆さんの成長に役立っていると思います。
石原先生は学会発表は、どうでしたか。 - 私は学会発表はまだできていないのですが、循環器内科の研究会で、EGPA(好酸球性多発血管炎)に合併した好酸球性心筋炎の1例について発表させていただきました。初めての発表なので、スライドの作り方からわからないことも多かったのですが、時間を作って相談にのって頂いたり、当日も会場に来ていただいて、手厚くご指導いただきました。今後、循環器内科の地方会で発表も予定しています。
- お疲れ様でした。私も毎年2-3名の方の学会発表を指導していますが、各科の先生が研修医の先生方に学会や研究会での発表を指導していただいていますね。
石原先生がこれまでの1年間を振り返って、当院での研修はとても大変だったという思い出はありますか。 - 大変だったのは、総合診療科のローテーション中は、方針を全部考えさせてもらっていたので、休みの日にも気になって病院に来たりしていましたし、その2カ月間はいっぱいいっぱいになって大変でした。しかし、その分すごく勉強になることも多かったです。1年間で忙しい時期もあるのですが、自分の時間がしっかりとれる時期もあるので、バランスの良い1年間を過ごせたと思います。
- ありがとうございます。当院は1年目で総合診療科の研修を終えると研修医の先生方が見違えるように力をつけているのを感じています。忙しい分、しっかり力をつけていらっしゃいますね。
逆に、先生がもう少し勉強したかった点はありますか。 - 1年目の間は当直は救急対応が主体なのでwalk in患者がなかなかみれなかったので、たすきがけプログラムの方はタイミングがあえば早いうちからwalk in患者さんを見せてもらった方が良かったと思います。
- そうですね。当院の研修医の日当直では1年目は重症患者の救急対応、2年目から幅広い内科系患者の外来対応を学ぶようにしていますが、1年目の先生も希望があれば2年目の当直の役割を担えるように今年度から変更しました。しかし、義務化してはいないので、実際に入られる方は少ないです。私の内科外来にも土曜日にはいつでも入っていいと告知しましたが、石原先生しかご参加いただけなかったですね(笑)。外来研修や当直研修については、1年目からしっかりと研修ができるようにもう少し考えていきたいと思います。
最後になりますが、これから病院見学・就職活動を考えている医学生さん、また、たすき掛けプログラムを考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。 - 研修医の雰囲気が病院によっても全然違うので、自分に合う病院を選ぶのが大切だと思います。僕は割と直観の部分が多かったのですが、来てよかったと思っています。
- ありがとうございます。学生さんにも直観を大事にして、研修病院を選んでくださいということでいいでしょうか(笑)。
- いいと思います(笑)。
- 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 相原先生へのインタビュー
本日は香川大学をご卒業され当院で2年間の臨床研修を終えられ、令和4年度より京都大学医学部付属病院で麻酔科にご就職予定の相原先生にインタビューをお願いしたいと思います。
- 相原先生、当院を臨床研修先に選んだ理由は何ですか。
- 関西地方は医局の影響が強く出る地域だと思っていたのですが、今後専門医を目指すにあたって初期研修中にいろいろな医局を見て回りたいと思っていました。そこで、進路の縛られない研修病院を選びたいと思って当院を研修先に選びました。
- なるほど。見学に来た時の感想はどうでしたか。
- 院内の先生方の雰囲気がすごくよかったのと、各科の先生が垣根なく過ごされているのがよかったです。また、初期研修医の先生方が本当に何から何まで自分でされているのを見て、自分もそのような環境で研修ができたらいいなと思いました。
- ありがとうございます。ところで相原先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- 2回です。6年目の春に総診と脳神経内科を見学に来て、夏の説明会の時に総診と救急を見学しました。
- 2回来てくれたのはうれしく思います。
ところで、先生が麻酔科を目指そうと思った理由は何でしたか。 - 自分の性格の向き・不向きを考えてというのもありますが、麻酔科の先生に一から十まで全部教えていただいて、もともと生理学などは興味はあるもののかなり苦手意識があったのですが、生理学の大事さや分かった時の面白さを教えていただいて、1年目の終わりごろから麻酔科を目指そうと思いました。
- 麻酔科は私も臨床の現場で生理学の知識が役に立つことを感じて、私も一時憧れた診療科ですね。
研修中に思い出に残る症例はありましたか。 - 麻酔科では、自分が直接最初から担当した症例ではなかったのですが、CD腸炎で大腸全摘になっている方の全身麻酔を途中から引き継いで経験しました。CD腸炎というと、普段は内科ではメトロニダゾールを投与してよくなっており、感染対策が大変だなくらいしか考えていなかったのですが、その症例は大腸の粘膜壊死を起こしているためにその部分から体液喪失が著しく、ポンピングをしながら大量輸液をしつつ昇圧剤を高容量で投与しているのに血圧がなかなか保てませんでした。麻酔科の指導医と相談しながら対応し、途中で周りの先生にもポンピングを手伝ってもらうような状況で、なんとか手術を終えることできました。この症例を経験して、循環管理は本で読んで知識としてはあることでも、いざ自分で対応しようとするとパニックになってなかなかできないこともあるということを感じ、勉強のモチベーションにすごくなりました。
- それは大変な症例を経験できましたね。
他に、学会発表をした症例はありましたか。 - 麻酔科の地方会で、症例を発表させていただきました。コロナ中でオンライン発表のため、スライドの投稿とチャットでの質疑応答になっており、いわゆる通常の学会発表とは違っていたとは思います。内容は、100歳代の超高齢で術後せん妄を起こすリスクが極めて高い患者さんの麻酔管理を経験し、高齢者の術後せん妄を起こさないような麻酔管理について、症例経験を発表するというものでした。初めての発表だったので、指導医の先生にはかなり何度も添削をしていただいたのですが、最終的にはしっかりと発表に至ることができました。
- 当院ではすべての研修医に学会発表を最低一度はしてもらっていますが、学会発表できちんと症例をまとめて発表できる機会は大事ですね。
研修期間中の2年間で一番勉強になったのは何でしたか。 - 学ぶことが全て初めてだったので、何をやってもすべて勉強になったと感じています。本当に一番最初の時は、カルテの使い方やオーダーリングの仕方から分からないことだらけで、しかも分からないときに誰に聞いたらいいかもわからず、2年目の先生方や指導医の先生方に何度も教えていただきました。こうして実際に病棟の患者さんを持たせていただくことで、日々実際に直面する様々な問題を解決していくことを学びました。特に総合診療科は、患者さんに対しての研修医の自由度が一番高かったので、いろんなことを経験させてもらえてとても勉強になったと感じています。
- 確かに始めて研修を始めた時は、国家試験の知識では対応できず、殆ど何もわからないことから始まりますからね。それが先生も2年間で最後に総合診療科を回っていただいていますが、患者さんの病状を把握して方針を指導医に提案してきちんと実行していただけるようになり、本当に立派に成長されたと感じています。
ところで、臨床研修以外で楽しかったことや、思い出に残ったことはありますか。 - コロナで自粛続きでしたのでいわゆる遊びに行ったりとかは無かったのですが、割とその分研修医室で雑談して残っていたりとか、いろいろと学ぶことが多かったと感じています。研修医の先生方の雰囲気の良さや、みんなで勉強しようというよい雰囲気で2年間の研修ができて、普通に楽しい研修生活を送れたなと思っています。
- 研修生活にとって、研修医の先生方が仲良くされることが一番大事だと私も思っています。
これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院としての当院の魅力について教えていただけますか。 - かなりいろんなことを上の先生から直接教えてもらえました。その科の先生だけでなくて、違う科の先生からも、その科の視点からいろいろと教えてもらうことができました。科同士の垣根がかなり低いので、いろいろな科の先生に相談がしやすい雰囲気なのが医仁会武田総合病院の魅力だと思います。
また、上のスタッフや研修医もかなり雰囲気が良かったので、ストレスなく研修ができるのも魅力だと思います。
やりたいといったことは、だいたい間違いなくやらせてもらえるのもよい点だと思います。 - ありがとうございます。先生と同じように、将来の専門とする診療科や研修病院の決め方にも迷っている医学生さんに、何かアドバイスを頂けますか。
- 私の場合は、学生のときは漠然と内科系なのかなと思っていて、マイナー科や麻酔科も全く興味はありませんでした。ところが実際に回ってみたら、思った以上に外科や麻酔科も楽しかったので、麻酔科に進むという道を選ぶことが出来ました。研修先を選ぶにあたっては、診療科が偏っておらず、いろんな科が回れる当院のような研修病院を選ぶと思います。また、内科以外の科に進むとしても、手術は患者さんの流れの中の一つの出来事なので、全体をつかむという意味で内科がしっかりと研修できる病院を選ぶとよいと思います。その意味でも当院はお勧めの研修先だと思います。
- 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 佐々木先生へのインタビュー
本日は京都府立医科大学をご卒業され当院で臨床研修を履修されました佐々木圭先生に、2年間の研修を振り返って頂いてインタビューをお願いしたいと思います。
- まずは、佐々木先生、先生が当院での臨床研修を選んだ理由は何ですか。
- 一つは、救急と総合診療科が8週間と長かったので、初期研修の時期にプライマリケアとして重要な部分をしっかり学びたいと思ったことです。もう一つは、大学などの医局の関係のない京都市内の研修病院で働きたいと思ったからです。
- 大学から離れてみたいと思ったのはなぜですか。
- 学生時代からずっと府立医大だったのですが、大学の医局に入ることとか、関連病院を進められることが多かったので、逆に大学と全く関係のない職場で働こうと思ったからです。
- なるほど。先生は専攻医としてまた府立医大の呼吸器内科に進まれましたので、研修期間中は一度、離れてみたかったということですね。先生が当院に見学に来た時の感想はどうでしたか。
- コロナ前だったので、見学後に研修医の先生お二人と飲みに連れて行ってもらえたのがよかったです。ほかの病院は指導医の先生が一緒についていくことが多かったのですが、研修医だけでのみに行けたのは、私の見学先では当院だけでした。また、5回生の冬季と6回生の時の夏季病院見学説明会に参加したときには、多くの部長の先生方とお話ができたこともよかったと思いました。
- なるほど。当院は見学学生さんに研修医と一緒に過ごす時間をできるだけ多くしていただこうと思っていますので、評価していただいてうれしいです。また、年3回の春季・夏季・冬季病院見学説明会では主に指導医の先生方と多くお話しできる場を提供していますからね。ところで、佐々木先生は当院には当院を受験される前に何回、見学に来られたのですか。
- 4回です。
- それはかなり多く来られましたね。私としては非常に嬉しいです。ところで先生が呼吸器内科を志望すると決めたのはいつ頃でしたか。
- 研修初期から呼吸器内科と脳神経内科で迷っていたのですが、1年目の最後頃に呼吸器内科と決めました。
- 呼吸器内科を選んだ理由は何ですか。
- ある程度、手技ができる内科がよかったことと、肺癌やCOPDなどの症例が多く、需要が高いことと、呼吸器内科の専門医が非常に少ないと聞いていたので、自分が専門医になって働きたいと思いました。
- 大変、立派なお考えですね。呼吸器内科のローテーションはどのような症例を経験できましたか。
- 肺癌が多かったですが、活動性結核や非定型抗酸菌症(MAC)なども経験出来ました。また、総合診療科に回った時に呼吸器内科と併診で受け持ったのですが、抗MDA5抗体陽性間質性肺炎の症例を受け持てたことが、非常に大きな経験になりました。
- 私も入院当初にCT画像を拝見していましたが、あの症例は5月頃の新型コロナ感染症の流行初期に入院となり、COVID-19肺炎と初期の肺炎像が非常によく似ていて、抗MDA5抗体陽性間質性肺炎との診断に苦慮した例でしたね。同様の症例はその後、学会でも多く報告されていましたよ。
- そうですね。1カ月以上、人工呼吸器を使った集中治療をしていました。ステロイドパルス、エンドキサン、タクロリムス、JAK阻害薬、血漿交換療法など、かなり強力な免疫抑制療法を組み合わせて治療しましたが、結局救命できませんでした。
- 大変残念でしたね。その症例には先生はどのようにかかわっていましたか。
- 研修医2年目として受け持ちましたが、院長先生が膠原病の専門医なので、院長先生と相談しながら治療法を指導医と相談して考えたり、呼吸管理や輸液の選択、下痢の対応を行ったりなど、指導医と相談しながら積極的に治療に携わることができました。
- それは大変良い経験でしたね。他に研修中に思い出に残る症例はありましたか。
- 1年目の最初の頃に総合診療科で経験した症例ですが、看取りの患者さんを引き継いだ時に、最初は看取りの対応が分からず、食事を再開しようとしたりしていたのですが、主治医の先生と一緒に再度、病状説明にはいってから、なんでも救命をすることだけが医療ではなく、家族さんの気持ちに寄り添って治療を行うことも大事なんだということが非常に心に残って勉強になりました。
- それはよい経験をしましたね。総合診療科では、ADLや様々な社会生活環境を考慮して地域へ帰す退院調整を行うことや、看取りを行う症例を多くみることができるのも研修医として大事な経験になると思います。
ところで、先生は、3年目から内科専門研修に進むことになりましたが、研修医時代にどれくらいの症例を集めることができましたか。 - J-OSLER(注:内科専門研修で利用する症例登録システム)では160症例の登録が必要になりますが、症例数としては2年間で内科系は140例ほどは持たせていただいて、そのうち、70-80例はJ-OSLERに登録できる症例が集まったと思います(注:初期研修の症例として半数の80例を登録可能)。呼吸器内科なので、呼吸器内科、膠原病、感染症、後期高齢者の症例は専門研修でも経験できるのですが、それ以外の消化器内科や循環器内科、腎臓内科、糖尿病、内分泌科、血液内科などの症例を初期研修に集めたいと考えていました。その結果、2年間で消化器内科と血液内科はほぼすべて集まりましたし、あとは循環器内科で2-3例、腎臓内科は2例程度、内分泌内科で1例程度不足している他は、ほとんど集めることが出来ました。
- 先生は呼吸器内科を2年目に回りながらも、他の内科系疾患を十分に集めることができたのはよかったですね。3年目からは安心して呼吸器内科の専門研修を続けながら、残りの症例を集めることができそうですね。
2年間の研修中は大変忙しかったのかと思いますが、プライベートと研修の両立はできていましたか。 - 両立はできていたと思います。僕はピアノが趣味なので、週4-5日、1日1.5時間程度は練習ができていました。
- それはすごいですね。睡眠時間はとれていましたか。
- 6-7時間は眠れていました。
- 食事はどうしていましたか。
- 自炊していました。六地蔵のFrescoで買い物をして、帰ってから作っていました。2年間、外食はほぼしていないと思います。
- それは素晴らしいです。私も見習いたいです。ほんと、感動的です(笑)。
ところで、2年目の研修中はかなり新型コロナウイルス感染症で影響を受けたと思いますが、研修で影響を感じたことはありますか。 - 2年目の時は、患者さんがすごく減ったのがいいのか、悪いのか、影響を受けたと思います。当直は以前なら一晩で10人-15人程度は来ていたと思いますが、COVID-19流行してからは、平均一晩で4-5人程度でしたね。発熱は別の診察室で上の先生が見ることもありましたし、かなり少なかったと思います。一晩、5時間程度は眠れていましたし、徹夜ということはほとんどありませんでした。
- 発熱患者の対応は経験出来ましたか。
- 診ることはできました。ただ、例年に比べたら少なかったかなと思います。
- 発熱の救急対応はしっかりできていましたか。
- 僕は2年目の8月に救急科をローテートしていたので、普通にかなり見ていたと思います。
- 少し症例が少なくなったということですが、3年目から内科当直をする自信はつきましたか。
- 怖いのは怖いですよね。でも、いろいろな診療科と相談しながら対応することは研修できたと思います。
- そうですね。当直は独りよがりにならずに、周りの先生やスタッフに相談しながら対応することが何よりも大切です。
最後にこれから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、当院の魅力について教えていただけますか。 - 医仁会武田総合病院の研修医としては、積極的に研修をする人が求められていると思います。自分でやろうと思えばどこまでもさせてくれますし、総合診療科も研修医にしっかり考えさせてくれました。お陰様で任せられるという責任感を感じながら、多くを学ぶことができました。
また、コロナウイルス感染症流行前はかなり数が多く見れましたので、症例経験もかなり多く得られる病院というのもメリットです。
また、仕事が終わったら全然帰って良い雰囲気で、その意味でOn-Offがしっかりつけられるのがとても良かったと思います。
また、コメディカルの方がかなりやっていただけるし、いろいろ相談に乗ってもらえて、すごく頼りになるのも当院の魅力だと思います。 - 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 山口先生へのインタビュー
本日は獨協医科大学をご卒業され当院で2年間の臨床研修を終えられ、令和3年度より滋賀大津市民病院で糖尿病内分泌科にご就職予定の山口先生にインタビューをお願いしたいと思います。
- 山口先生、当院を臨床研修先に選んだ理由は何ですか。
- 関西は京大系列や阪大系列など、系列病院がはっきりしている傾向が強いと思っていたのですが、この病院はそんなことはないと言われていたので、関東からも受けやすいと感じていました。また、実家から近かったのも一つの理由でした。
- 見学に来た時の感想はどうでしたか。
- 実際に当院に見学に来た際に、研修医室や指導医の先生方の雰囲気がとてもよく、指導医の先生方に何でも聞きやすい環境があると思いました。また、研修医のためだけの部屋があることがとても良いと思いました。
- ありがとうございます。ところで山口先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- 3回です。総合診療科と救命救急センターに1回です。2回目は皮膚科と眼科、3回目は6年目に夏季病院見学説明会に参加しました。
- 先生が糖尿病科医を目指そうと思った理由は何でしたか。
- 研修医1年目の納涼会(注:研修医が集まる同窓会)で当院OBの北江彩先生に声をかけていただいて、その時に1度、京都府立医大の糖尿病科に見学においでと言われていました。実際に見学に行ったところ、医局の雰囲気がよかっただけではなく、女医が家庭と仕事を両立して働いている姿を見て、自分もやっていきたいと思いました。また、私は人と話すことが好きなので、糖尿病患者さんとのお話を通じて治療していくスタイルがとてもいいなと思って選びました。
- 研修中に思い出に残る症例はありましたか。
- 2年目の4月に糖尿病科にローテーションをしたときに、糖尿病性ケトアシドーシスとアルコール性ケトアシドーシスと敗血症性ショックを合併した方の集中治療を通して、その時に血糖管理だけではなく全身管理を行って、最後は元気になって退院されたことがとても思い出に残っています。
また、出血性ショックで入院したその日に亡くなった50代の方を当直で受け持ったことがあり、自分でできることは全部やったと思っていましたが、振り返ってみるともっと注意すべきことがあったのだとその症例を通して学んだことが心に残っており、今後の臨床に生かしていきたいと思いました。 - 学会発表をした症例はありましたか。
- 呼吸器内科の症例で、サルコイドーシスでは非常に珍しい画像所見の一例を報告いたしました。最初、転移性肺腫瘍を想像させるようなCT所見であり、しかもACEやリゾチームなどの生化学的検査ではすべてサルコイドーシスを疑う異常が認められず、最終的に生検をしたところ、類肉芽腫細胞を認めステロイドに対する反応性が良好であったことからサルコイドーシスの診断に至りました。
- 研修期間中の2年間で一番勉強になったのは何でしたか。
- 総合診療科で診断がついていない人を受け持ち、自分で検査の内容や治療方針をその場で日々考えていくことが一番勉強になったと思います。また、予想外のイベントが行ったときに、上級医と相談しながら臨機応変に対応していくことは、自分の今後の臨床力を高めるうえでとても勉強になったと思います。
- 臨床研修以外で楽しかったことや、思い出に残ったことはありますか。
- 1年目の時には、同期や2年目の先生と一緒に琵琶湖に行って、バナナボートに乗った時が一番思い出に残っています。後は、外科の先生や上の先生たちと飲み会とかで普段病院では話さないようなことをたくさんお話しできて、仲良くさせていただいたことが一番楽しかったです。
- これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院としての当院の魅力について教えていただけますか。
- やはり、症例はすごく多いと思います。また科にはよりますが、On-Offはしっかりしていることもとてもよかったと思います。
同期の数も少なすぎず多すぎず、みんな仲良くなれるし、先生方も全体的にフレンドリーでいつでも丁寧に対応していただけるのもいいポイントだと思います。
病院は建物は古いかと思うのですが(笑)、それ以上にコメディカルを含めてスタッフがとても優しくていろいろなことを教えて下さることがよかったと思いました。 - 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
たすき掛け研修医 上松先生へのインタビュー
本日は滋賀医科大学のたすき掛けとして当院で1年間研修された上松先生にお越しいただきました。
- 上松先生、先生が当院のたすき掛け研修を選んだ理由は何ですか。
- まず、大学での研修とはタイプの違う病院で研修をしたいと思っていました。医仁会武田総合病院に見学に来た際に、研修医が主体的に診療にあたっている姿を見て、私もこんな風に自分の頭で考えて動ける研修医になりたいと思ったので当院を選びました。
- 上松先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- 6年目の春に見学に来ました。そこで、今の2年目の先生と一緒にご飯を食べに来ました。研修医の雰囲気や仲もとてもよく、切磋琢磨されている姿を見て、当院をたすき掛けの研修先として選びました。
- 先生の将来の専門領域は何ですか。
- 今は腎臓内科を考えています。研修を通して体液循環管理に興味を持ったこと、特に集中治療においての体液管理に悩むことが多かったので、その領域に興味も出てより深く勉強したいと思い、腎臓内科を第一候補に考えています。
- 集中治療で体液管理を学んだ症例とはどんな方ですか。
- 総合診療科で、ペットの犬にかまれてCapnocytophaga canimorsusによる敗血症性ショックをきたした症例の診療にあたったのですが、ショックによる急性腎不全でCHDF(持続血液ろ過透析)を使っていました。その時にショックからなかなか離脱できずにノルアドレナリンと同時に急速大量補液を継続しましたが、なかなか血圧も改善しないためにCHDFによる除水が進まずに体液過剰に陥ってしまいました。血圧が低いときにCHDFすら回すのがきつい状況になっていましたが、当院の臨床工学技師さんにもいろいろと相談に乗ってもらって体液管理をしていくうちに、体液管理の重要性を実感して、非常に興味を持つことができました。そのため、将来は腎臓内科に進みたいと考えるようになりました。その症例を診ているときに、ありとあらゆる科にコンサルトをしていましたが、親身に相談に乗っていただける先生方多く、この病院の垣根の低さや、病院全体で研修医を育てようとしている雰囲気を感じることができ、大変勉強になりました。
- 先生は他には、特に記憶に残っている症例はありましたか。
- もう一例は内科学会近畿地方会で演題発表をした症例ですが、自宅で虫に刺されて右大腿部に15cmほどの発赤と発熱を主訴に、当院に来院された方を経験しました。時期は9月末でしたので、最初はツツガムシやマダニ感染症を疑っており、特に汎血球減少を伴っていたので、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を疑ってPCR検査も出したのですが、結果としてはいずれも陰性でした。そうこうしているうちに末梢血から芽球が出てきたため白血病ではないかということになり、骨髄生検で確定診断にいたりました。文献などを調べてみると、血液悪性疾患にり患している症例が、虫刺されにより皮膚過剰反応をきたす報告例あることに気づき、学会発表をいたしました。今回は芽球が出てきたから診断に至ることができたようになったのですが、いろいろな知識をもって鑑別診断を考えることが面白いと思うようになりました。
- 大変だったとおもいますが、忙しさはどうでしたか。
- 科にもよりますが、忙しくない科は18時頃に帰宅して、コロナの時期だったのでおうち時間を楽しんでいましたが(笑)、総合診療科のような忙しい科では毎日血圧が落ち着かなくて、次の一手をどうしようかと毎日相談したり、自分で考えたりして、日が変わるまで働いていることもありました。その時が一番、自分が勉強というモチベーションを感じた時期でもあったので、大変でもあったのですが、その症例を経験できてよかったなと思っています。
- 土日はゆっくりできましたか。
- 土曜日は患者さんを診に来たりしていましたが、土曜日の午後や日曜日は自分の時間にしっかりあてて、自炊を頑張ろうと思ったりして、平日分の作り置きとかをめっちゃしていました。
- すごいですね。
睡眠時間はどのくらいでしたか。 - もともと割と夜型なので、24時~1時ごろに寝て、朝は8時から8時半に来れるように6時間半くらいは寝ていました。寮が近くて通勤時間がすごく短くて住めるのがありがたかったです。
- 女医として、勤務のしんどさはいかがでしたか。
- 私はもともと体育会系ではなく、それほど体力に自信がある方ではなかったのですが、当直は寝れるときには6時間眠れて、眠れないと1時間程度でしんどいこともありましたが、基本上級医の先生は仕事が終わったら帰ってっと言ってくれましたので、体力に自信のない女医さんでもやっていける環境にあったと思います。
- 1年間で手技はどの程度できましたか。
- CVは14~15件程度はいれていると思います。当直帯の時も、上の先生についてもらって入れることも多かったですし、その点は市中に出てきて一番良かった点かなと思っています。挿管は麻酔科での研修中は1日3件位させていただいたのは大きかったですし、麻酔科を回った後は当直中にCPAが来た時に挿管もうまくいくことができました。研修医に手技をいっぱいやらせてあげようという環境があるのがすごくありがたかったです。
- 研修について、1年間を振り返ってどうでしたか。
- 初めて市中病院で研修を始めて、やっぱり病気だけでなく患者さんの背景を考えたり、患者さんが何を求めているのかということを身近で感じることが多かったので、症例数が多かった分、いろんな患者さんに接することができたのが良かったと思います。内科に将来進もうと思っているので、尿路感染症や肺炎など、どこの科に進んでも出会う症例をたくさんみれたので、そこも3年目以降につながる経験になったかと思いました。
- これから病院見学・就職活動を考えている学生さん、特に、たすき掛けのプログラムを考えている学生さんらに、当院でのたすき掛け研修について何かアドバイスはありますか。
- 1年間という半分の期間の研修ですが、内科系、外科系、救急・小児科・産婦人科をバランスよくすべて回ることができるので、市中に出て診てみたいなと思う症例を一通り見ることができたのが、まずよかったと思います。
どうしても自分の専門外になる診療科については、稀な症例を経験するよりも、頻度の高い症例を診ることが大事だと思うので、医仁会武田総合病院での研修ではそのような症例をいっぱい見れたのが良かったと思います。
それから、研修医の仲が良いのもあって、自分が救急で入院させた症例について主治医の先生方から初期対応のフィードバックを頂いたり、各診療科でどうなっているのかということをアドバイスを頂いたりできたので、より多くの症例を間接的にでも多く診れたのも当院に来てよかったと思いました。
繰り返しにはなりますが、初期研修の間は、その時しか見れない自分の専門外のことを勉強する期間だと思うのでコモンディジーズを多く診れる市中の病院で経験しておくことが大事だと思いました。特に医仁会武田総合病院の総合診療科や救急では、研修医のアセスメントを上級医がしっかり聞いてくれる環境にあると思うので、自分でしっかり考えて勉強するというモチベーションをいつも感じながら勉強することができたことが良かったです。これから大学に戻っても上の先生の方針について学ぶだけでなく、自分でしっかり方針を考えられるようにしていきたいと思うようになりました。 - 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
たすき掛け研修医 井上先生へのインタビュー
本日は滋賀医科大学のたすき掛けとして当院で1年間研修された井上先生にお越しいただきました。
- 井上先生、先生が当院でのたすき掛け研修を選んだ理由は何ですか。
- 医仁会武田総合病院は内科系が充実していて、診療科間の垣根が低そうで、研修がしやすそうだったからです。
- 先生の将来の専門領域は何ですか。
- 腎臓・内分泌・代謝などです。生化学などが好きなこと、慢性疾患の患者さんとお話しするのが好きなことから、将来の専門にしたいと思っています。
- 当院の1年間ローテーション中にはどのようなことを経験できましたか?
- 基本的な手技から、書類作成などのデスクワークにいたるまで、様々なことを経験できました。また、症例をたくさん持てたと思います。
- 手技はどれくらいできましたか。
- 静脈採血や動脈ガス採血などは、最初は2年目の先生についてもらわないとできなかったのですが、救命救急センターを回ってからはかなり数をこなして自分ですべて判断してできるようになりましたし、胸水穿刺とか腹水穿刺とかも何度かやらせてもらえて、だいたいできるようになりました。また、内科志望・外科志望関係なく、外科的処置をいろいろさせてもらったので、縫合なども救急や外科の先生に上手だと褒めていただけるようになって嬉しかったです。中心静脈カテーテル挿入はあまり出来ていなくて、PICCと併せて10回程度でした。
- 内分泌代謝の症例は持てましたか。
- ウェルニッケ脳症やビタミンB12欠乏の乳児の症例は私の中で一番興味深い経験になりました。
- 乳児の症例というのはかなり珍しいと思うのですが、どのような症例でしたか。
- 貧血と活気がないということで受診されたのですが、小児の貧血が珍しく、貧血の原因精査でビタミンB12欠乏が原因と分かりました。そこでお母さんに詳しく問診をしたところ、幼少期にお母さん自身が先天性小腸閉鎖のために回盲部切除をしていたことがわかりました。そこで母乳のB12濃度を測定したところかなり低値だったことがわかり、母乳中のビタミンB12欠乏による乳児のビタミンB12欠乏症をきたしていたと診断しました。大人のB12欠乏症であれば、本人の問題だけを考えればよかったのに対して、小児の場合には母親の既往歴まで確認しなければならないと学んだことは、大変勉強になりました。
- それは、成人しか普段見ていない私にとっても大変興味深い症例です。他にどのような興味深い症例を経験出来ましたか。
- 抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎、成人スティル病、原発性胆汁性胆管炎と自己免疫性肝炎のオーバーラップ症候群、傍脊柱起立筋に発生した軟部組織原発悪性リンパ腫、IgA血管炎などの入院症例を経験しました。
- なるほど。大学であればこのような症例は多く経験できるのだと思いますが、市中の病院である当院でも学術的に興味深い症例が数多く経験できてよかったですね。
学会発表はどの症例で行ったのですか。 - 先ほどの乳児のビタミンB12欠乏症の症例と、病理解剖で詳細に検討した感染性腹部大動脈瘤破裂の症例の2例について発表を行いました。
学会発表をすることで、自分の症例を整理するきっかけになりましたし、また、発表の準備のために論文をたくさん読む機会になりました。小児のB12欠乏症の論文は全部英語だったので、とりあえずすべて頑張って読みました。 - それはよい経験になりましたね。医師として働いていくうえで、論文検索や学会発表になれていることが大変重要だと思います。 先生は滋賀医大のCプログラムによりたすき掛けとして当院で1年間研修されましたが、1年間当院で研修して良かったと思われる点、大変だったと思われる点について、教えてもらえますか。
- 良かったと思う点は、コモンディジーズをたくさん経験できたことです。大学だと自分で処方したり検査をしたりという決定権があまりないのですが、医仁会武田総合病院ではかなり研修医の裁量権を認めてもらえているので、主治医に聞く前にまずは自分で考えないといけないということが多く、大変勉強になりました。さらに、貧困とか高齢者の独居、DVといった社会的な問題をたくさん抱えている方が多く、そのような社会的背景を考えながら疾患の治療にあたることが非常に重要だということを、学ぶことができました。
また、大学などでは上級医と研修医の関係が多いのですが、医仁会武田総合病院だと臨床工学技士さんとか、看護師さん、検査技師さん、薬剤師さんなど、みんなが研修医にいろいろと教えてくれる環境があって、各職種の垣根もすごく低いと思うところがいいところだと思いました。
逆に大変だったと思う点は、施設を1年で変わるために、J-OSLERの症例登録に最後すごく追われてしまったことです。私の場合、年を明けてから内科が3つ続いたこともあり、せめて3月は時間の余裕がある科に回るべきだと思いました。 - 大変重要なアドバイスありがとうございます。今後のたすき掛けの方には、4月にそのことを強く説明しておきますね。 研修について、1年間を振り返ってどうでしたか。
- 1年間振り返ってみるとできることもいっぱい増えたのですが、自分ができないことも浮き彫りになってきたと思います。指導医の下で言われていることだけをしていると気が付きにくいとおもうのですが、自分で外来を担当してみると、どこまで聞いていいのか、どこまで検査したらよいのかということについて判断に迷うことが多くありました。また、例えば、腸炎を腸炎と診断することや、風邪を風邪と診断することが大変怖いと思いました。特に若い女性っていうだけで、いろいろと悩むことが増えて難しいと感じました。
問診の技術や必要な検査のプランなどは、医師になってからも一生学び続けないといけない技術なので、これからも経験を積んでいくしかないですね。問診や診断の技術を磨くことは、当院で毎週やっている救急症例検討会でやっているように、検査前確率を挙げていくために問診や身体診察からしっかり考えて、検査後に自分の診断が正しかったのかどうか、検証を続けていくことで身についていくのだと思います。 - これから病院見学・就職活動を考えている学生さん、また、たすき掛けのプログラムを考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。
- お給料がいいとか、立地がいいとか、施設がきれいとか、いろいろと選ぶポイントはあると思うのですが、やはり自分にとって心地いい雰囲気というのはとても大事だと思います。マッチングの人気病院ではなくて、自分の感覚でいいと思う病院に行った方がいいと思います。また、私は12病院に見学に行ったのですが、欲張ってあまりたくさん見学に行きすぎない方がいいと思います。自分がいいと思った病院は結局3つくらいに絞られるので、いいなと思った病院に何度か行く方が良いと思います。
- 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 大前先生へのインタビュー
本日は当院で初期研修を2年間研修された大前先生にお越しいただきました。
- 大前先生、先生が当院での初期研修を選んだ理由は何ですか。
- もともと京都で研修をしてみたいという気持ちがあって、京都府内で研修病院を転々と見学していたところ、当院を見学した際に研修医の先生方が積極的で仲良くされていたのが一番最初のきっかけでした。 研修医の間は内科をしっかりしたいと思っていたので、総合診療科と内科があった当院は非常にあっているなと思いました。また、脳外科を学生時代から志しており、市中病院にもかかわらず脳外科の専門医が5~6人いらっしゃる病院ということで当院を選びました。
- 先生はなぜ脳外科を目指しているのですか。
- きっかけは学生実習の時に、脳外科の先生によくしていただいたことがきっかけでした。やっぱり手術をしたいと思っていたし、また、脳外科は仕事が好きな人が多く集まっている診療科でしんどいながらも楽しくしているところが魅力的だと思いました。
- ところで大前先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- もともと当院を見学した知人に当院がとてもよかったと聞いていたので、5年の冬に一度見学に来て、再度5年の春休みの春季病院見学説明会に見学にきました。いろんな地域から学生が集まっているのには驚きましたし、面接に来られるような先生とも直接話ができてよかったと思いました。その後、普通の見学は1回で、夏の夏季病院見学説明会に参加しました。
- 2年間の当院での臨床研修の経験の中で、今後の専門領域はどのように決めました?
- 研修を始めたときは、脳外科などの外科系で悩んでいましたが、当院での研修を通して、身近にかかわることが多かった内科系、特に循環器内科に興味を持つようになりました。1年次の間は、脳外科をローテートすることができなかった分、この診療科と決めずにローテートするすべての診療科でしっかり学ぶことに努めていました。2年目の6月に脳神経外科を回り、7月に循環器の中でも不整脈に興味があったので不整脈科にローテートしましたが、8~9月はずっといずれにするか悩んでいました。最終的に脳神経外科に決めたのは、やっぱり手術をしたいという気持ちがシンプルに強かったからだと思います。また、脳神経外科は血管内治療がも盛んに行われるようになってきたのも一因でした。
- 脳外科のローテーション中にはどのようなことを経験したのですか?
- 2回回ったのですが、6月にはまだ専攻を決めていない時期だったので、とにかく手術に入るようにしていました。4週間でほぼ毎日の合計20例位の第2助手として手術に入らせてもらえました。簡易用の手術用顕微鏡とかも扱わせてもらって、血管吻合などのシミュレーター実習をさせてもらうことができました。2回目に1月に回った時には、脳神経外科と決めていたので、周術期管理や夜間の緊急手術にも積極的に参加し、またカンファレンスでも発表をさせてもらいました。
緊急手術は、週に3回くらいSAHが来たことがあったので、3週間で緊急手術を4回経験しました。
当院の脳外科は脊椎の手術をやっているので、当院ではかなりの症例をやっているので、専門医登録のための症例数にカウントはできないのですが、すごく大きな経験になったと思います。 - 先生が迷っていた不整脈科はどうでしたか?
- 先生方が皆さん優しくて、僕がローテートした年から当院研修医OBの若手の先生が不整脈科や循環器のことにとどまらず、内科的な管理一般について丁寧に教えていただけました。不整脈のアブレーションについても、最初にシース入れたりなどの処置や介助は若手の先生と一緒にやらせてもらえましたし、若手の先生が主治医としてPM埋め込みやアブレーションもされている姿は、当院の魅力の一つだと思いました。
苦労話は、アブレーションは週2回でしたが、朝9時から開始して、1日3件で終わるのが23時とかの日もありました。 - 研修中に思い出に残った症例はありますか。
- 1年次の夏に救急外来対応した高齢女性の症例ですが、ショック状態で運ばれ、最初は、敗血症性ショックを疑って加療しましたが、治療反応に乏しく来院後6時間という急速な経過をたどって死亡されました。死因について検討したところ、血培は陰性で敗血症性ショックの可能性は低いということが分かったのですが、原因はわかりませんでした。死因について院内でも話題になったところ、総合診療科の土井先生にもしかして巨大な食道裂肛ヘルニアが原因で緊張性気胸のように心臓を外から圧迫して、閉塞性ショックを至った可能性があるのではないかと指摘されました。そこで、大変興味をもって論文などを調べたところ大変珍しい病態の可能性が高いと思い、学会発表をしようと思い、2年目夏に京都医学界に発表をしました。また泌尿器科の山田副院長からも研修医の間に論文を書くように言われていたので、この症例をチャンスと考えて土井先生にお願いして指導していただきながら論文にしようと思いました。10月頃から書き始めて、12月頃にはいったん完成させて京都医学会に投稿し、修正を2回して2月の終わりに最終校正が終了しました。執筆作業は予想以上に難しく、英語も含めて論文を読まないとかけないということを改めて感じました。再度英語の重要性を感じました。経験してとてもよかったと思います。
- 普段の研修中は、どのような生活でしたか。
- あまり忙しくない糖尿病科や脳神経内科、耳鼻科では朝8時過ぎくらいに出勤して、17時半には仕事が終わっていました。仕事が終わった後は居残りをして勉強したり、同期と飲みに行ったりしていました。
- 脳外科はどうでしたか。
- 6月は同じくらいでほぼ予定手術しかなく、17時半には終わるような感じでしたが、たまに緊急手術に呼ばれることがありました。1月の時は、緊急手術が多かったので、内科当直を挟んで2日ほど帰れないことがありました。
- 普段の睡眠時間はどのくらいでしたか。
- 6時間でした。
- 手技はどの程度できましたか?
- CVは2年間で30例くらい、ルンバールは2年間で10例、胸腔ドレーン挿入は2年間で4例程度です。
- 全身管理はどの程度できるようになったと思いますか。
- 夜間に来た内科救急の患者で敗血症性ショックや電解質異常など内科的対応だけでしたら、循環動態を安定させて命をつなぐことができるように思います。 外科的技能については、どの程度自信がつきました。 自信はないですが、なんとかなるだろうと思うくらいの経験はできました。
- 研修について、2年間を振り返ってどうでしたか。
- 先輩方と同じようにいい同期や後輩に恵まれていました。積極的にしたいことを言えばやらせてもらえましたし、当直もしたいと言えばどんどんやらせてもらえました。外科にしろマイナー科にしろ全身管理は必要ですので、内科は重要でしっかり学ぶことができたと思います。
- これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。
- まず、研修病院の数が多すぎるので、場所をまず決めることだと思います。そのうえで、いろんな科がそろっているところで、病床数を同期の数で割って数が多いところで、自分が将来考えている専攻科があるところが良いと思います。
一個上の先生方の雰囲気が同期の雰囲気と似ていると思うので、一個上の先生の雰囲気がいいところがいい病院だと思います。
当院は、ちょっと上の学年の先生によく教えてもらえる環境があり、また、後輩にも伝えるセミナーや勉強会が多く、自分の中でも復習できたことが良かったと思います。 - 京都はなぜ?
- テレビを見ているとご飯屋さんが多いところで、京都と横浜で迷いましたが、横浜は遠いのでやめて、京都にしました。
- 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 應儀先生へのインタビュー
本日は大阪医科大学をご卒業され当院で2年間の臨床研修を終えられ、令和2年度より当院にて内科専門研修中である應儀達徳先生にインタビューをお願いしたいと思います。
- 應儀先生、当院での臨床研修を選んだ理由は何ですか。
- もともと出身大学の先生も多いし、もともと市中病院で研修することを考えていたので、修了後に残れることも考えて当院での研修を選びました。
- 見学に来た時の感想はどうでしたか。
- まず、病院が古いとおもいまいた。しかし、ちょうど1年上の研修医の河合先生が脳神経内科を回っていて、主体的にやらせてもらえるのを見て、体を動かすことができる研修生活だと感じました。
- 先生はなぜ脳神経内科を目指しているのですか。
- 単純に主に変性疾患、高次機能障害に興味があるからです。
- ところでおうぎ先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- 2回です。総合診療科1回と神経内科1回です。5年の12月に1回来て、2回目は6年の面接試験直前に神経内科に来ました。
- 脳神経内科のローテーション中にはどのようなことを経験したのですか?
- 1年目と2年目で4週間ずつローテーションしましたが、1年目の時には主に細菌性髄膜炎を見させてもらい、ひたすら腰椎穿刺をしていたことをよく覚えています。2年目に回った時には、ひたすら脳梗塞を見て学んでいました。
- 研修中に思い出に残る症例はありましたか。
- 総合診療科の時に見た感染性心内膜炎の症例ですが、熱源不明の感染症疑いで入院となり、経胸壁壁エコーで診断できたのですが、脱水症と頻脈性心房細動がありましたが、年齢がちょうど99歳11か月で、100歳まで後1ヵ月半頑張って生きてほしいと思い、治療にあたりました。心不全になりがちであり、βブロッカーの飲み薬、張り薬、点滴薬の使い分けや、抗生剤の選択などについて深く勉強することができました。頑張ったことが実って100歳の誕生日を迎えることができたときには、心から嬉しく思いました。
- 先生は、3年目から内科専門研修で当院に残ることになりましたが、研修医時代にどれくらいの症例を集めることができましたか。
- J-OSLERでは160症例必要になりますが、いろいろと幅広い症例をいろんな科にわたってみることができ、ほぼほぼ全例経験することができました。ただし、初期研修からは80例しか専門研修に持っていけないため、80例は専門領域で集めることができると思っています。
- 専門研修が始まってどのような症例を見ることができましたか。
- それはもうCOVID-19の症例ですね。高齢の重症例の方で、治療方針も定まっていない中、いろいろな手段で調べながら主治医として治療にあたりました。ARDSだったので、体液管理が大変重要であり、研修医時代に学んだことを十分に生かすことができました。肝硬変もあったのでトルバプタンやループ利尿薬を併用しつつ、ファビピラビルを投与するとほぼ同時にステロイドパルス療法を併用して治療にあたり、急速に改善させることができました。現在は退院にむけてリハビリをしていますが、COVID-19の感染隔離が終わった時には本当にうれしく思いました。
- 他には、脳神経内科の症例ではどのような症例を経験しましたか。
- 自己免疫性脳炎による近時記憶障害の症例を受け持ちました。治療としてはステロイドパルスを行い、少しずつ改善傾向となっています。
- 学会発表をした症例はありましたか。
- 総合診療科で多発血管炎性肉芽腫症の症例をたまたま1年目と2年目で1例ずつ受け持ち、1例目について2年目の春ごろに京都病院学会で学会報告をしました。2例目を受け持った時には、高いCRPがあるにも関わらず抗菌薬が全く効果がなく、肺にすりガラス陰影を認めて、血尿と腎機能悪化があったことから、多発血管炎性肉芽腫症を疑って自分からPR3-ANCA検査を上級医に相談したころ、結果が陽性で診断治療に貢献できたと思います。肺炎や尿路感染症などのcommon disease以外にも、様々な疾患の治療にかかわることができたので貴重な経験が得られたと思います。
- 手技はどの程度できましたか?
- CVは2年間で30例近くはやっていると思います。ルンバールは2年間で10例はやっています。胸腔穿刺とドレナージは何回かやっています。CPA対応も数多く経験出来ましたので、今ではCV挿入と腰椎穿刺、CPA対応はしっかりできる自信があります。また、皮膚科で褥瘡処置を数多くさせていただいたり、外科でも皮膚縫合をしっかり教えていただきました。
- 研修期間中の2年間で一番勉強になったのは何でしたか。
- 2年目の当直中の外来が一番勉強になったと思います。外来のファーストタッチは2年目研修医がするのですが、一人で初期対応するために、研修医の身分にもかかわらず責任感をもって診療にあたることは大変勉強になりました。それに内科の上級医の先生は相談しやすくて、画像読影が不勉強の時にも外科の先生にたくさん教えてもらいましたし、循環器や脳外科の先生はフットワークが軽く見に来てくれますので、安心感がありました。また、1年目に救急車対応で緊急疾患の除外を勉強したうえで夜間の救急外来を対応することで、心の負担を少なく外来を見ることができました。救急車対応とwalk in対応と両方学べることを選んでおいてよかったと思いました。
- これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、専門研修病院としての当院の魅力について教えていただけますか。
- 中規模の総合病院ながら、uncommonな症例をたくさん見ることができるのは大きな魅力です。J-OSLERの症例もしっかりと集めることができましたし、専攻医になってからも3年目の専攻医でありながらも、指導医の適切なアドバイスのもと、数多くの症例の主治医として症例経験を積むことができています。当院は中期病院で上級医がそろっていながら専攻医レベルの先生が比率として少なく、手技的な面で細かいところまで年の近い上級医の先生がいつもマンツーマンでしっかりと教えて下さるなど教育体制がしっかりしていると思います。また、大学から来られる先生と一緒にカンファレンスを毎週しており、アカデミックな話題にいつも触れることができるなど、教育体制がしっかりしていると思います。
- 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
たすき掛け研修医 余田先生へのインタビュー
本日は滋賀医科大学のたすき掛けとして当院で1年間研修された余田先生にお越しいただきました。
- 余田先生、先生が当院でのたすき掛け研修を選んだ理由は何ですか。
- 大学が滋賀医大の人が多かったので、初期研修先としては滋賀医大の人があまりいない人が良かったからです。あと、京都出身だったのと、いろんな先輩に聞いて、武田の研修は手技が多くて、それなりに症例もそろっていて、雰囲気も良いよって勧めてもらったことで選びました。
- ところで余田先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- ゼロです(笑)。建物の雰囲気だけはちらっと見ました。
- 先生の将来の専門領域は何ですか。
- 小児科です。小さいころから、病児と接触することが多かったので、小児科がいいなって思っていました。
- 1年間の当院での臨床研修の経験の中で、どのように変わりましたか。
- おじいちゃんやおばあちゃんと話すのも好きかなと思ったのですが、やはり小児科になろうと思いました。
- 小児科のローテーション中にはどのようなことを経験したのですか?
- 川崎病を見させてもらったことや、ローテーション中以外でも部長の岸田先生や甲原(きねはら)先生方に直接いろいろと教えてもらったりしてとてもいいなと思いました。
- 研修中に思い出に残った症例はありますか。
- 気腫性膀胱炎の90代のおばあちゃんが、名前もしっかり覚えていただけるほど毎日お話をしていて、よくなってくれたのをよく覚えています。後、忘れられない方は、総診を回り始めて2日目に受け持った最初にお亡くなりになった方です。主訴は腰痛と蕁麻疹で来たご高齢の患者さんですが、低酸素血症と採血にて炎症所見も高く、CTを撮ると肺炎がありました。入院日の夜から下肢の麻痺と温痛覚が全く消失し、MRIでは腰椎の脊柱管狭窄症はあったのですが、後頭部から胸椎レベルまで硬膜外血種を認めており、入院翌日からDICも合併しました。血培からはMSSAが陽性で感受性のある抗生剤で治療をしたのですが、入院3日目に意識障害をきたしてICUに転床となりました。その後は、肺に多発性空洞病変が広がっていき、血培からMSSAもずっと陽性で、いったんは改善しましたが約2週間で呼吸不全が進行してお亡くなりになられました。解剖ができなかったので、結局確定診断には至らなかったのですが、この時期は1年で一番大変な時期だったと思います。
- それはかなり大変な経験をしましたね。周りの先生には助けてもらえましたか?
- かなり助けてもらいました。主治医の先生には毎日ディスカッションして、複雑な病態を整理していろいろ理解の手助けをしてもらいました。また、初日の夜にたまたま研修医室にいた循環器の先生に相談したこところ脳外の先生にも相談した方がいいと言われて、一緒に医局の脳外の先生にコンサルトをしていただきました。次の日も脳外の先生にMRIを朝一で撮る方がいいと言われて、脳外の先生からMRIを朝一に入れていただきました。神経内科の先生にはちょっと良くなった時期にリハビリを一緒に見てもらったり、泌尿器の先生にはICUで一緒に見てもらいました。最後、総診の先生には、亡くなった後で一般的にこの症例から学んでおいた方がいいことを総括として教えてもらえたのでありがたかったです。
- 本当にご苦労様でした。その大変な時期を除いたら、普段の研修中は、どのような生活でしたか。
- 総合診療科のときはカルテを書くのが間に合わなくて、22時頃になることもありました。 総合診療科を除けば、だいたい定時(17時半~18時)に仕事が終わっていることが多かったので、その後は、勉強したり、飲みに行ったり、楽しく1年を過ごすことができました。
- 睡眠時間はどのくらいでしたか。
- 総合診療科の時は、私が夜型なのですが、一番大変な時期は23時に帰って1時頃まで勉強をして2時に寝て、7時に起きるような生活でした。普段は飲みに行かなければ20時ごろには帰って、だらだらしたりして(笑)、24時ごろに寝て、モーニングセミナーなどがあるときは8時に出勤し、無い日は7時半位に起きて8時ごろに来ていました。
- 日当直はどの程度でしたか。
- 日当直は月に5~6回、2月だけ4回、1年で55回日当直入りました。私はあまりひかないタイプだったので、寝れない日は1~2時間睡眠、多くは3~4時間程度、寝れる日は6時間眠っていました。症例は救急車対応としては、6台前後、一番多くて10台くらいでした。2年目の先生の外来見学に行っていたので、救急車が来なくても寝ていない日は結構ありました。
- 女医として、当直のしんどさはいかがでしたか。
- 私は、もともと部活やバイト梯子とかしてて体力がある方なので比較にならないかもしれませんが、普段はそんなにしんどくなかったです。でも、1~2時間しか寝れない日は次の日ちょっとしんどかったです。
- 1~2時間しか寝れない日は何回くらいありましたか。また、当直明けは13時で帰れましたか。
- 月1回くらいですね。当直明けはだいたい13時に帰れますが、カルテ書き等で残っていたことはありました。
- 1年間で手技はどの程度できましたか
- CVは12件程度はいれていると思います。当直帯で2~3回、総合診療科で7回程度、麻酔科で私は少ない方で1~2回です。ルンバールは、2件ほどチャンスを頂きました。
胸腔ドレーン挿入は、見学が10回くらいで自分で入れたのは1~2回です。
挿管は、救急で1~2回、当直で1~2回、総診では挿管まではしていません。麻酔科では1日2~3回(4週間で50回程度)くらいです。 - 外科的技能については、どの程度自信がつきました。
- 救急を回った時や外科を回った時に、総部を縫ったり、ステープラーを使ったりしていました。活動性の出血がある場合や若い女性の顔とかでなければ、縫えるかなぁ・・と思います。
- 研修について、1年間を振り返ってどうでしたか。
- 今まで学生から大学での研修しかできなかったので、The市中!みたいな病院でコモンディジーズをいっぱい見れたことや、退院支援やリハビリ、栄養などを患者さんを取り巻く背景のことを考えながら治療をしていくことを経験できたことはよかったと思います。後は、良い同期や先輩・指導医の皆さんに恵まれて本当に良かったです。
- これから病院見学・就職活動を考えている学生さん、また、たすき掛けのプログラムを考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。
- たすき掛けのプログラムを考えている方は、市中で診る症例と大学で診る症例と全然違うと思うので、初期研修の時から外の病院で研修ができるのは大変いい経験になると思います。特に当直でしっかり勉強できたのは大きいと思います。 就職活動としては、6年生の間に見学に行って、1年目の研修医を見てその病院の雰囲気を見ておくことがお勧めです。研修医の雰囲気は「類は友を呼ぶ」ということで似たような雰囲気の同期が集まると思うので、自分に合うところを選ぶとよいと思います。 後は、見学に行っただけではわからないと思うのですが、医仁会武田総合病院ではローテート中でなくても相談しやすい上の先生がいっぱいいる環境は素晴らしいと思いました。
- 本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
臨床研修部長 神田先生へインタビュー
本日は当院臨床研修部長、兼臨床研修プログラム責任者である神田先生に、当院での研修についてインタビューに伺いました。
- 神田先生、本日は、医仁会武田総合病院での研修について、インタビューさせていただきたいと思います。医仁会武田総合病院はどのような特徴のある病院なのでしょうか。
- そうですね。当院は、救急搬入件数が年間4000件以上で夜間も内科、外科、循環器内科、小児科、産婦人科、脳外科と6科当直体勢をしいています。また、各専門科も非常に質の高い診療を行なっており、地域の中核的医療サービスを担っていることが特徴です。
- なるほど。それでは、医仁会武田総合病院に研修にこられている研修医の先生方は、どのような方が多く集まっているのですか。
- 今述べましたとおり、当院では救急をしっかり学び、そして将来志望する専門科についても初期研修の時からしっかりと学ぶことができます。また、研修医の皆さんは多くの科では18時-19時半には病棟業務が片付いて仕事を離れることができますので、忙しすぎない充実した研修医生活を送れると思います。研修について、しっかりと学びたい、また、自分の時間もしっかりもちたいというような研修医にはぴったりの研修病院だと思いますし、そのような先生が多く集まっていると思いますね。
- それは、うらやましいですね。医仁会武田総合病院での救急の実習では実際にかなりの経験がつめるようですが、具体的にどのような感じですか。
- 救急は非常に充実しています。地域の中核病院として救急車をほとんど断ることなく受け入れていますので、非常に豊富な症例を経験することが出来ます。1年目は全科当直をして全ての救急車について指導医と共に診療に当たることが出来ますし、2年目は内科系救急の診療にあたるとともにウォークインで来院される内科時間外患者さんの外来も担当しますので、指導医にはいつでもアドバイスを求められる環境で問診、診察、検査、診断、治療を実践することもできます。2年目の研修が終わる頃には、内科系当直医としてもひとり立ちができるほど立派に育っていらっしゃいますよ。
- 研修医の先生は、病棟でもしっかり経験をつむことが出来ているのでしょうか。
- 入院患者さんについてもかなりの数の症例を経験していると思いますよ。例えば総合診療科では、研修医1人で10人から20人を常時受け持っていますし、研修医の先生に治療方針を自分で考えてもらって、指導医に相談と確認をしながら診療に全面的に携わってもらっています。1年目の春はまだ慣れないことが多くて戸惑っていますが、一緒にローテートしている2年目の先生に仕事の仕方を習いながら1年目の夏頃からどんどん実力をつけてきて、2年目で総合診療科を回ってくる頃には、指導医と対等な立場で意見をぶつけ合えるほど成長されています。
- 総合診療科では、研修医の先生に大変活躍してもらっているのですね。
- そうですね。総合診療科だけでなく、2年目になる頃には各科のスペシャリストの先生に高いレベルの指導を受けて、ほぼ全ての研修医がジェネラリストとしての力を身につけると共に、全身管理がしっかりできるようになっていると思います。
- それはとても大事なことですね。余暇の部分では、研修医の先生はどのようにされているのでしょうか。
- 当院の研修医は、とても仲がいいのが特徴だと思います。日々、和気あいあいと仲よくしているだけでなく、祇園などの繁華街まで地下鉄で20分の距離に病院がありますから、週末も友人などと飲みに出かけていたり、みんなでお誕生日会をしたり、紅葉狩りに行ったり、クリスマス会をしたり、山に登ったりといろんなイベントも楽しんでいるようです。研修医室の医局のパソコンに、写真を集めているようなので、是非一度ご覧になってください。
- ありがとうございます。ところで、どのようなところから集まっている研修医の先生が多いのでしょうか。
- 当院では、青森から九州まで、本当に幅広く研修医の先生が集まっておられます。関西から地方大学に出てまた関西に戻ってこられる方も大勢おられますし、まったく関西に縁は無いのに京都の研修病院として当院を選んでくれる先生もいます。
- 普通、研修病院というと大学の派閥などが気になるのですが、そのようなものはないのでしょうか。
- 当院は大学の関連病院ではありません。科によっては特定の大学とつながりが深いこともありますが、派閥が気になるようなことは一切ありません。出身大学を気にせずに働くことができるのも、当院での研修の魅力だと思います。
- なるほど。地元から離れて大学生活を送り、また地元に戻ってきたいと考えている方や、京都に住んでみたいと思っている方にとって、まさに理想的な研修病院ということですね。では、気になる受験について伺いたいのですが、ずばり、先生の考える理想的な研修医とは、どのような研修医でしょうか。
- そうですね。一重に理想的といっても、いろいろな研修医の先生がいらっしゃいますから、例えば、どんな研修を受けたい、どんなことができるようになりたいというような目的意識のしっかりした研修医は高く評価していますね。また、勉強はそこそこであっても、クラブ活動などには打ち込んできたような気概のある研修医も評価が高いです。
- 学生さんの中には、6年の夏までクラブ活動を頑張って、どこの研修病院にも見学していないとか、見学はしたけど何の準備も出来ていないという方もいるかと思いますが、どうしたらいいんでしょうか。
- 当院で研修を始める頃には国試には何とか合格したものの勉強は苦手だった研修医も、しっかりした指導陣と豊富な症例経験のおかげで研修を終える頃には一人前の医師に育つところが当院の研修の特徴です。何も勉強していなくて自信がなくても、また、豊富な臨床経験の中で自身を更に高めたい方にも当院での研修はお勧めできます。受験については学科試験は課していませんので、特に何も準備をされずに面接に来られたらいいですよ。また、受験日も8月の毎週土曜日に実施しますので、部活や他の受験病院と重ならない都合の良い日に是非面接に応募してください。
- 受験日が1日しかない病院もある中、受験日が複数あるというのは大変ありがたいですね。どうしても他に狙いたい病院がある場合、第一志望で武田病院を選択しないことを理由に面接などで落とされたりしませんか。
- 第1志望にあげていただくだけの価値がある病院と思っていますが、第2志望、第3志望であげていただいても全くかまいません。また、それによって合否やマッチング順位に差をつけるようなことは致しません。より人気のある難関病院にチャレンジするようなやる気のある学生は結果的に第2志望以降で当院にマッチしたとしても実りのある研修を受けられると思いますので大歓迎です。過去にもそういった研修医は大勢いて、皆、当院を立派に巣立っていきました。病院見学も常時実施しておりますので、是非とも一度見学に来られてください。
なるほど。先生にいろいろと質問をさせていただいて、医仁会武田総合病院での研修がどのようなものなのか大変よく分かりました。本日はどうもありがとうございました。
2年目研修医 提島先生へインタビュー
本日は、2年間の研修を修了された提島先生に当院での研修生活についてインタビューをお伺いしたいと思います。
- まず、先生が当院で初期研修をしようと思った理由は何ですか。
- 見学に来た時に研修医の先生方がとても仲がよさそうで、指導熱心だったことです。指導医の先生もお話しやすく、科の垣根関係なく、教育熱心で純粋にここで学びたいと思いました。また研修医の先生方が救急の場で、初期対応から病棟に上げるまでの一連の中心にいて、ここで研修すれば力がつくと思いました。
- ありがとうございます。当院には何回、見学に来られたのですか。
- 1回のみです。
- そうですね。1回ではありましたが大変熱心に見学をしてくださったので、先生が見学に来た日のことを私は本当にまるで昨日のことのようによく覚えています。時が過ぎるのは早いですね。総合診療科の見学はどうでしたか。
- 総診はカンファレンスで研修医が患者さんのプレゼンを全部一人でしていて、すごいと思いました。自分もそのような研修医になれるのかと期待しました。また、担当医制ではあるものの、入院から退院まで、その他の業務も全てこなされており、幅広いマネージメント力も鍛えられるなといった印象でした。また上級医のサポートがしっかりされており、教育体制がしっかりしていました。
- 担当患者のプレゼンは総合診療科の研修でも大変重要な部分なので、カンファレンスでは研修医の先生に何度も質問していますね。最初はしどろもどろの先生方が、回数をこなすうちに上手にできるようになりますから、学生さんの目からすると驚かれると思います。プレゼンはノウハウ的な技術面もありますが、上手なプレゼンは患者の問題点や臨床経過と対策がしっかり頭の中でまとまっていないとできません。わかりやすく言うと、上手なプレゼンができる医師は、しっかりと患者の問題点と解決法を筋道立てて解決に結びつけていくことができますが、上手にプレゼンできない医師は頭の中で患者に対して何を行うべきかまとまっておらず、次々と生じる問題点に対して対応が遅れてしまい、適切な診療ができないと思います。(#)日々変わりうる様々な問題点ごとに、(S)絶えず患者さんの訴えを聞いて、(O)身体所見や検査所見を評価して、(A)原因や対処法を考察して、(P)実践していくスキルを磨くために、上手なプレゼンの技術は臨床の現場では非常に重要なことです。
ところで提島先生は、小児科を専門として選ばれたのですがなぜですか? - 全身管理、また幅広い分野を生涯学びたいからというのと、純粋に子供つまり“将来”を救いたいと思っているからです。これにつきますね。
実際に研修していて、循環器科にぶれたり、脳外科にぶれたりしていましたが、初志貫徹でした。 - なるほど。“将来”を救っていくって、夢がありますね。先生らしいとおもいます。それに先生は楽しくて話しやすい性格なので、きっと子供さんからもモテると思いますよ。
2年間の当院での臨床研修の経験で、将来の夢に役に立ちそうなことはありましたか。 - 小児科を先行するのに、内科が強い病院は?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、私自身、1人の医師として子供だけではなく、大人も診れる医師になりたいと思ってました。また、当院で学んだ知識は小児科の分野でも必ず活かせることができると思っております。役に立つというよりは医師としての基盤を作っていただいたという印象です。
- そうですね。小児科は何でも診ないといけない大人の総合診療科みたいなものですし、内科的な考え方は何科になろうとも臨床医学の基盤みたいなもので共通していますね。
特に一番忙しかった総合診療科での研修中は、どのような生活でしたか。 - 1年目は1~2月に総診を回りましたが、最初は抗生剤の名前もわからず、輸液も何をオーダーしていいかわからず、当たり前のことができなかったので大変でしたが、土井先生をはじめとしてみなさんに丁寧に教えていただいたので、できるようになったかと思います。
- 土井部長は、一人一人の研修医のそばで熱心に時間を取って指導してくださいますからね。研修医の先生方の信頼は絶大ですね。
2年目で総合診療科を回ってできるようになったと思うことはありますか。 - 基本的なことはできるようになりましたし、カンファレンスでは上級医の先生方と自分の意見を持ちながら、1年目の時と比べればディスカッションができるようになったと思っております。
- 2年目になると指導医とのディスカッションも的確でしたし、1年目の先生にもしっかりと指導してくれましたね。立派に成長されました。
総診の時も休日は休めていましたか。 - 患者さんに会いに基本的には病院には行っておりましたが、昼頃には帰り、プライベートも充実してました。おかげさまで、結婚もできましたし(笑)。
重症患者を持つと病院にいる時間は増えますが、その1分1分が自分の財産だったと考えています。上級医の先生も一緒に病院にいたので頼もしかったです。 - 本当におめでとうございます。当院では、研修中に結婚される研修医の先生が多いですね。新婚旅行のお土産もありがとうございました(笑)
。専攻医で結婚される方が多いですし、特に女医さんが結婚・出産されることがとても多いですよね。それだけワークライフバンスがしっかりしていると思います。
2年間の研修中に、先生が特に記憶に残っている症例はありますか。 - 2年目救急当直中に頻呼吸・不穏を主訴に受診された患者がいて、その方はDKAでした。一瞬診断に迷いましたが、初期対応や検査を進めていくと診断にたどり着きました。研修医1年目と対応していましたが、2人とも初めてみた症例でしたが、毎週開催している救急症例検討会に救われたと口を揃えました。
その後のICU管理も上級医の先生と血液ガスを一晩中チェックしながら、バイタルや血糖管理などこまめに調整し、大変勉強になりましたし、自信にもなりました。
それ以外にも敗血症や重度のCO2ナルコーシスなど人工呼吸器管理を含め記憶に残ります。
そういった基礎は日頃の一般病棟での患者さんがいてのことだなぁと研修が終わるにあたり、気づきました。
重症患者が記憶には残りますが、日々の患者さんも十人十色で面白いですね。 - DKAやHHSでICUに入るような症例は年間平均5~6人くらいはいるような気がしますが、先生方には初めてだったんですね。救急症例検討会では、毎週、いろんな症例の鑑別と治療法を勉強していますからね。自分では経験したことがない、他の研修医の先生が見た症例でも詳しく学ぶことができますので、力になりますよね。病院内の面白い症例はみんなここに集まってきますし、年間50回程度、2年間で100回くらい開催していますから、経験を積むうえで大変有用だと思っています。それに、発表者は毎回学会発表のようにスライドを作るので、年間8回程度だとおもいますが、学会発表の練習にもなりますよね。私が2009年に当院に赴任してからずっと開催していますが、年々レベルが上がってきていますよ。
ところで、提島先生はICU症例はどれくらい持ちましたか? - 20例くらいは持ちましたね。
心臓血管外科なども回りました。 - それはかなりの数ですね。心臓血管外科は術後はICU管理がかなり続くでしょうからね。勉強になっていると思います。
ところで、先生は学会発表などはされましたか。 - 神経内科の上級医と一緒に内科地方会で発表しました。Tolsa-Hunt症候群の一例で自分も勉強になりました。また、神経内科では予演会が学会発表の2ヶ月前の週2回合計10回弱あり、しこたま叩いてくれました。
そのおかげで、綺麗なスライドの作り方、発表の仕方、言葉のいい回し、質疑応答への対応など、勉強になりました。
本番は、全く緊張せず、質疑応答も問題なかったです。
最後の予演会が一番緊張しました(笑)。 - それはいい経験が出来ましたね。当院では学会発表奨励制度があって、一回の学会発表で5万円の奨励金が出ますよね(笑)。1年目の時から学会発表を経験される先生も何人もおられますし、最低1回の学会発表は研修修了の要件となっていますが、発表は専攻医、専門医となる上でも大事ですからね。
いろいろあったと思いますが、先生にとって当院で学んだ2年間の研修はどうでしたか。 - 一番はすごく楽しく2年間過ごせたというのがあります。
また幅広く取り組ませていただける研修で、症例の数も豊富でしたので、自分の長所・短所が分かり、医師として良いスタートが切れたと考えています。 - 当院の研修の最大の特徴は、研修医の先生方が本当に生き生きと研修をしていらっしゃることだと思いますよ。研修医の先生方の仲が、本当に良いところがいいですね。当院の研修医の先生方、そして指導医の先生方も距離がとても近くて、なんでも言い合えるようないいチームワークがありますよね。若手の医師も、部長級の医師も、研修修了式に何人も集まって研修医の先生方の修了を応援してくださる。そんな暖かい環境で研修ができるのが当院の最大の魅力だと思っています。
最後になりますが、これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。 - 症例数や救急搬送数、また有名病院・医師などに目が行きがちだと思います。実際僕自身もそうでした。そういった部分も大事かもしれませんが、研修生活を終え、重要だと思ったことは、ある程度の責任感を持たせてもらいながら、日々の研修を歩める病院が良いと思います。
責任感がなければ、上級医が引いたレールでの診療になりますし、責任感がありすぎると精神的にも体力的にもつらくなり研修としては無意味なものになると思います。
そこの見分け方は難しいと思いますが、考える研修先の研修医がどのような研修を歩んでいるかが大事かなと思います。
また、自分自身の一つ上の学年の雰囲気が良ければ、研修も充実するかなと思います。
皆さん、色々迷ってください!
ありがとうございました。
2年目研修医 倉石先生へインタビュー
本日は当院で初期研修を2年間研修された倉石先生にお話を伺いたいと思います。
- 倉石先生、先生が当院での初期研修を選んだ理由は何ですか。
- もともとは、レジナビでたまたまお話を聞いて、総合診療科と救急に力を入れていること、研修医の人数が多すぎず少なすぎず、病院の規模からいい研修ができそうだと感じました。実際に病院見学に来て、外科や総合診療科の研修の先生が主体的・積極的に診療に携わっているところを見ていいなと思いました。
- 見学の際、具体的にはどのようなエピソードがありましたか?
- 外科に関しては、いろいろな病院で見学をして、実際に手術を見せてもらったりしていたのですが、この病院は研修医の先生方が一番手術に参加していたことが魅力的でした。また、総合診療科では、研修医の先生方が症例を提示してカンファレンスをしているところを見て、主体的に研修ができると感じました。また、カンファレンス以外でも総合診療科ローテート中の研修医の先生方が自分で考えて動いているところを見て、自分の思い描いていた研修医像として近かったことや、研修医の先生方から総合診療科はしんどいけど勉強になるよって言われたところがすごくいいなと思いました。
また、上の先生方も指導熱心な先生が多くて、コンサルトしやすそうなところもいいと思いました。 - なるほど。先生は外科になりたいという夢を学生の時からしっかりもっていらっしゃいましたからね。手術の手技が数多く学べることや、総合診療科で患者の症例発表や全身管理を日々研修医が主体的にしているところを見て、実践力が身につくと考えていただけたことは大変嬉しく思います。
ところで倉石先生は当院には何回、見学に来られたのですか。 - 普通の見学は2回で、大きな見学説明会には2回参加しました。
- 普通の見学というのは平日随時可能な見学で、大きな見学説明会というのは春休み、夏休み、冬休みに病院全体で大々的に行っている病院見学説明会のことですね。平日の見学でも午前・午後と2つまでの診療科が見学でき、夜は研修医2名とお食事をする機会がありますが、年3回の病院見学説明会では診療科見学やミニ救急症例検討会といったイベントのほかにも、プログラム責任者を始めとする数多くの指導医と研修医全員が参加しての懇親会もありますから、研修の雰囲気や研修医や指導医の人柄を知るには大変いい機会になりますね。他の同期の先生はどの程度見学していましたか?
- 1回だけという先生も何人かいますし、4回来た先生も他にいますね。
- そうですね。当院の受験には見学回数の制限はありませんが、できれば何度か来ていただいて当院のことをよく知っていただけると嬉しいです。ですが、1回でも当院のことをすごく気に入っていただいて、受験していただける方は大歓迎です。
ところで倉石先生は、外科を専門として選ばれたのですがなぜですか? - もともと5年生のポリクリの時に、最初に回ったところが消化器外科でしたが、そのとき鈎(こう)引きしかさせてもらえなかったのにすごく楽しくて、絶対に外科医になろうと思ったのがきっかけです。外科医でないと人間の体の中が絶対に見れないですし、すごく楽しいと純粋に思いました。
- 2年間の当院での臨床研修の経験で、外科医への夢はどのように変わりました?
- 外科医になりたいという気持ちは、この病院で研修していくうちに日に日に高まっていきました。1年目の4月から外科を回らせてもらいましたが、一番最初からラパロのカメラ持ちや縫合などをさせてもらいました。また、顧問の加藤先生に2時間位糸結びや糸の送り方を教えていただいて、やれることがどんどん増えていくことがうれしかったです。また、その日にあるほとんどすべての手術に助手として入らせていただけて、とにかくやりたいことはやりたいだけやらせてもらえるところがうれしかったです。緊急手術の時には外科を回っていなくても声をかけていただいて、助手として入らせてもらえました。
- 2年目で外科を回った時にはどうでしたか?
- 2年目になると、さらにやらせてもらえることが増えて、できる手技も増えてきました。たとえば筋膜を閉じるときには道具を出す手順が決まっているのですが、その手順までしっかり指導していただきました。1年目の1カ月に外科を回ったときよりも経験症例数ははるかに多かったと思います。
- どの程度の数の手術を経験したのですが?
- 専門医に必要な症例数のうち、消化器外科50例すべて、呼吸器外科は10例中7例程度、心臓血管外科20例中14例程度取得できました。小児外科は稀に来ますが、私は1例も入れていません。市中病院では小児外科はなかなか集まらないですね。
- なるほど。本当に数多くの症例を経験できたのですね。これまでも当院の外科での充実した研修に魅力を感じて回った研修医は数多くいますが、全員が専門医に必要な症例が殆ど集まったと聞いています。ちなみに現在は違うと思いますが、過去の外科医の子弟関係は論文で文化人類学的に考察されています。参考に読んでみるとおもしろいですよ。(http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/0505116surg.html)。当院では指導医も研修医も非常に親しい関係で、やる気さえあればどんどんやらせてもらえるところが嬉しいですね。それは、外科だけでなく、内科系でもマイナー科系でも変わりませんね。
それでは総合診療科での研修はどうですか? - 私は外科系に進むと決めていたので、今しか内科のことを学ぶことがないと思っていました。そこで、内科のことは2年間でしっかりとできるようになりたいと考えて総合診療科に臨みました。実際に、方針を決めて治療するということに積極的に携わることができて、内科のやりがいや楽しさも感じることができました。実際の患者さんの病気を治すことだけじゃなくて、退院には介護や福祉のことが大きく関わっていることがわかりましたし、この経験は外科医としても役立に立たせることができると思いました。
- 仰るとおりですね。高齢化がどんどん進んでいますが、当院の総合診療科でも多くの患者さんの年齢は70代以降です。ご高齢の患者さんは感染症の罹患でベッド上安静となるだけでもADLが大きく低下します。また、そもそも感染症の発症の原因自体が栄養状態の悪化や嚥下機能の低下などに基づくことが多いですね。しかも、独居生活や老々介護など自宅退院へのハードルが高い場合が多いですね。感染症や心機能、呼吸機能、腎機能などの治療を行うことは当然ですが、入院となったその日からできるだけ早くもとの環境に退院できるように退院調整の重要性を多くの症例で経験できますね。
先生は、総診ではどのような症例を経験しましたか。 - 私は不明熱と左側頭部痛で発症した巨細胞性動脈炎の症例をもたせていただいて、院外症例検討会での発表や学会発表もさせていただきました。また、腹膜癌の人ももたせていただいて、それは院内のCancer boardで話し合った機会があって記憶に残りました。他にも伏見総合診療カンファレンスでノカルジア症の症例を発表させてもらったり、かなり発表の機会は多かったです。
- そうでしたね。先生とはいっぱい発表の予行練習をしましたね(笑)。先生は本番でも大変堂々と発表されるので、見ていてとても安心できました。
ところで総合診療科での研修中は、どのような生活でしたか。 - 朝8時くらいに出勤して、17時半には仕事が終わっていて、そのあとは自分の勉強時間でした。休みの日は朝に患者さんの状態を見に来て、何もなければ後はフリーでしたので、十分な休息を取ることができました。
- なるほど。一番忙しい診療科でもしっかり自分の時間を取って勉強と休息が取れていましたね。睡眠時間はどのくらいでしたか。
- 普通に好きなことをしていたので、普段通り5-6時間でした。
- 手技はどの程度できましたか?
- CVは2年間で20例くらい、ルンバールは1年目に回った時に5-6例、胸腔ドレーン挿入は2年間で10例は超えていると思います。
- 救急を回ってどれくらいのことができるようになったと思いますか。
- 上の先生が手いっぱいで来られないときでも、受診から診断・初期治療をして病棟に上げることくらいまでは一人でできる自信がつきました。外科でしたら、JATECのガイドラインにのっとって、対応できるようになりました。
- 2年目の先生は皆さん一人で当直や急変対応ができるように立派に育っていると思います。
では、最後にこれから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。 - まず一つ目は、自分が将来進まないであろう科もバランスよく研修できる病院を選ぶことが大事だと思います。特に救急対応やWalk in対応なども含めて、自分の専門外のこともある程度できる病院を選ぶことだと思います。その上で自分のしたいこともしっかりできる病院だといっそういいと思います。
また、自分にとっていい雰囲気だなと感じた病院であれば、その雰囲気が好きな人が集まっていると思うので、自分が研修医となっても雰囲気は変わらないと思います。だから自分にとっていいと思える雰囲気は大事にすべきだと思います。
この病院に来て一番良かったと思うのは、同期や上司などの人とのつながりの面が多かったので、見学でそこまで見抜くのは大変だと思いますが、自分の直感を大事にしたらよいと思います。
当院の研修医は本当に仲が良いですね。みなさんの研修修了旅行も大変楽しそうでした。本日は大変ありがとうございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 下地先生へインタビュー
本日は当院で初期研修を2年間研修された下地先生にお越しいただきました。
- 下地先生、先生が当院での初期研修を選んだ理由は何ですか。
- 見学に来た時に研修医の先生方がすごく仲がよさそうで、そして研修医の先生方がいろいろ教えてくれたことです。他の病院では上の先生が教えてくれることは多いのですが、研修医が学生に対して教えてくれることはなかったので、普段から研修医がよく教え合っている感じがとてもいいと思いました。
- なるほど。確かに見学に来られた学生さんには、指導医ばかりでなく研修医の先生方もしっかり面倒を見ていますね。それに当院は研修医同士がとても仲が良いですね。毎年、見学学生さんのアンケートに当院の魅力を聞いていますが、約70%が「研修医が生き生きしている」ことを理由に挙げてくれています。研修医のチームワークが非常に良いので、生き生きとした姿で研修されているのだと思っています。また、希望される学生さんには研修終了後に研修医2人との飲食会を準備していますので、実習終了後にも研修医の先生にいろいろ聞けますね。ところで下地先生は当院には何回、見学に来られたのですか。
- 1日ずつ2回見学に来ました。総診と救急で1日、外科と小児科で1日の合計2日間見学に来ました。
- なるほど。最初に研修で重要な診療科を見て、2回目で興味のある診療科を見たのですね。総合診療科の見学はどうでしたか。
- 総診はカンファレンスで研修医が患者さんのプレゼンを全部一人でしていて、すごいと思いました。自分もそのような研修医になれるのかと期待しました。
- 確かに。総合診療科は、研修医の先生が主役の診療科ですので、研修医の先生には週に2回、新規受け持ち患者さんのプレゼンをしてもらっていますね。最初は要領を得ない研修医の先生方も、指導医の指導を受けて練習するうちに1カ月くらいでみるみるプレゼンスキルが上達されていますね。
外科の見学はどうでしたか。 - 外科は人によってはピリピリとする雰囲気で手術をしていることもあると思うのですが、外科部長の加藤先生について手術に入ったところ、Ope中も楽しい雰囲気で手術をされていて、楽しそうでいいなぁと思いいました。
- 加藤先生は副院長(現顧問)ですのに、誰にでも挨拶をしてくださって宴会でも盛り上げてくださる大変気さくな素晴らしい先生ですよね。外科のOpeの雰囲気が想像できます。
実際に働いてみて、イメージが変わったところとかありましたか。 - 1日で見学したときと比べて、実際に回ってみると忙しさという点では特に総合診療科などは思っていたよりメチャメチャ大変だと思いましたが、割とみんな仲良くやっていて、イメージはそんなに違ったということはなかったです。見学で感じた通りの雰囲気でした。
- 総合診療科は、研修医ができるだけ自分で考えて判断することを重視していますからね。とても大変だと思いますが、研修医の先生方が一番やりがいを感じていただけるところですね。
ところで先生は今後、心臓血管外科を専門として選ばれたのですがなぜですか? - もともと循環器系を考えていたのですが、頭を動かすよりは手を動かす方が好きなので、外科を選びました。
- 先生はしっかり循環器や全身管理のことを勉強されていて、頭を動かして立派に働いておられると思いますよ。
2年間の当院での臨床研修の経験で、役に立ちそうなことはありましたか。 - 直接というわけではないのですが、外科系の上の先生に聞くと内科のことは全然知らないという先生もいると聞いたので、内科もしっかり勉強したことである程度の力はついたかなと思っています。
- 外科系の先生も全身管理に大変強い先生がたくさんおられますから、安心してくださいね。下地先生は2年間の研修で患者さんの全身管理ができる力はしっかりと身に付けていますね。きっとこれから心臓血管外科の道を歩む際も、役に立ってくれると思います。
次に研修生活のことについてお伺いしたいと思います。特に一番忙しかった総合診療科での研修中は、どのような生活でしたか。 - 1年目は7~8月に総診を回りましたが、最初は抗生剤の名前もわからず、輸液も何をオーダーしていいかわからず、当たり前のことができなかったので大変でしたが、土井先生をはじめとしてみなさんに丁寧に教えていただいたのでできるようになったかと思います。
- 2年目で総合診療科を回ってできるようになったと思うことはありますか。
- 基本的なことはできるようになりましたし、カンファレンスでどんなことを話したらよいのかわかってきました。また、退院した後とかのこととかもちょっと考えられるようになってきたと思います。全身管理もかなり自信をもってできるようになりました。
- 総診の時も休日は休めていましたか。
- 休みもしっかり休めていました。帰るのは21~22時になっていましたが、睡眠時間は6~7時間は休めていました。朝は総合診療科の時は受け持ち患者さんの血圧がちょっと低いだけでも心配だったので、6時ごろに来ていました。今は8時くらいに来ています。
- そんなに早く来られていたのですか。私は知りませんでした。命を預かっている責任感を感じて研修されていたのですね。大変素晴らしいことだと思います。
先生が特に記憶に残っている症例はありますか。 - 2年目の5月ごろに内科当直中での外来患者さんで、インターフェロンによる薬剤性の急性腎障害の方が受診されて、中心静脈ラインと動脈ラインをいれてICUで一晩ずっと張り付いてノルアドレナリンまで使って治療していた経験が一番記憶に残っています。
- それは大変な経験をしましたね。その患者さんは無事に退院できましたか。
- 翌日には割と血圧も安定して、尿も出てきて、回復することができました。
- 良かったですね。ICUの症例は刻一刻と変化するので、気になって眠れなくなることもありますね。特に自分が初診で見ていた症例ともなるとなおさらですね。
下地先生はICU症例はどれくらい持ちましたか? - 30例くらいは持ちましたね。
- すごい数ですね。循環動態の管理もいっぱい経験できましたか。
- そうですね。
- ところで、先生は学会発表などはされましたか。
- 伏見医師会主催の総合診療臨床カンファレンスで発表しました。
- そうでしたね。このカンファレンスは当院の私(総合診療科 中前)と皆さん方研修医、京都医療センターの指導医の小山先生と研修医の先生方、伏見医師会に所属される多くの先生方を交えて、当院と京都医療センターから1例ずつ持ち寄って年2回の合同カンファレンスを行っている企画ですね。先生には立派に演題発表を務めていただきました。当院で毎週やっている救急症例検討会と同じ1時間の討議形式ですが、他院の研修医の先生方とされることは大変良い刺激になっていると思います。
先生にとって当院で学んだ2年間の研修はどうでしたか。 - 一番はすごく楽しく2年間過ごせたというのがあります。いろいろ勉強しなくてはいけないことも多かったですし、大変なことも多かったのですが、上の先生に困ったことがあってもすぐ聞けるような雰囲気ですし、今も同期の先生や上の先生にもいろいろ聞いたらよく教えてくれるところがよかったと思います。
- 良かったですね。私も大変嬉しく思います。
これから病院見学・就職活動を考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。 - 個人的には研修医の数が少なすぎると寂しかったりしてどうかなと思いますし、逆にかなり多すぎても経験症例が少なくなりすぎるように思います。それに、指導してくれる上の先生の数がどれくらいいるかというのもすごく大事かと思います。指導医の先生の数が少ないと教えてくれる余裕もないと思いますから。後は、内科の基本的なことはどの科に進んでも100%大事だと思いますので、それがしっかり勉強できるところがいいですね。
この病院は症例も多くて、手技もいろいろできるところがいいところだと感じていて、それでも手技ばかりで勉強できないこということでもなく、しっかり勉強もできるところがいいと思います。
本日は大変ありがとうございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。
2年目研修医 松本先生へインタビュー
今日は、岡山大学出身研修医2年目の松本彩先生にお越しいただきました。
- 先生が当院を知った時期やきっかけ、また、見学に来られたのは何年生のときでしたか?
- 病院を知ったきっかけは、見学に来た同級生から勧められたからです。見学に行った時期は5年生の10月頃だと思います。
- ありがとうございます。当院を研修先病院に選んだ理由は何でしたか。
- 見学での印象が良かったからです。他の病院と比べて圧倒的に研修医が生き生きとしていて見学が楽しかったです。例えば、研修医室に来ていろいろな研修医の先生とお話をする機会がありましたが、常に笑いが絶えなかったです。それでいて、総合診療科を回っているときに指導医の先生が研修医の先生をきちんと叱っているところを見て、きちんと指導してもらえているということも感じたからこの病院にしようと決めました。
当院の研修医は本当に仲良くて、楽しそうに研修されていますね。それでいて、しっかりとした研修・指導も行なっています。見学の際にその点を感じていただけて、私たちも大変うれしくと思います。 - 当院の特徴について、先生の感じたところを教えてください。また、力を入れている科・強い科はどの科でしょうか。また、その科の特徴や魅力はどのようなところでしょうか?
- 初期研修として大事な救急と総合診療科に特に力を入れていると思います。総診では一人の先生に付いて教わるのではなく、全員の先生が担当医になることから幅広くいろいろなことを学べますし、一つの問題点に対してもそれぞれの先生からいろいろな考え方や対応の仕方が学べます。また、総診では看護師さんからもファーストコールで呼んでもらえますし、救急は一人のスタッフとして働くのでいろいろと実践させてもらえます。また、500床という病床数の割に研修医が1学年6人と少なくとにかく症例数が多いですし、研修医の教育をする病院ということが病院全体に根付いていて、指導医もスタッフも研修医の判断を待ってくれるのでしっかり考えることもできます。それに看護師さんなどのコメディカルが非常に優秀なので、いろいろと教えてもらえるし、学ぶことがとても多いです。
- わかりやすくご説明いただいてありがとうございます。院内の雰囲気はどのような感じでしょうか。
- 科としての垣根が無くて、ちょっとしたことでも違う科の先生に相談しやすいです。また他の病院に比べて、飲み会などの行事が多くて雰囲気が明るいです。
- やはり雰囲気が明るいことはいいですね。指導医の先生方が企画する歓迎会や納涼会、忘年会などの他にも、若手医師の会で企画する研修慰労会も年2~3回行っていますね。いろいろな先生が研修医の先生のことを気遣っていますね。また、先生がおっしゃるように病院の横通しのつながりもスムーズで、研修の現場でも研修医の先生方を積極的に参加させていこうという雰囲気が病院全体にあると感じています。
それでは研修医室の環境について教えていただけますか。 - 1,2年目が全員一緒の研修医室があり、本なども買ってもらえるし、カルテをかけるパソコンが4台もあるので非常に充実しています。
- そうですね。研修医向けのカンファレンスはすべて研修医室で開催しているので、参加もしやすいですね。他にもシミュレーター研修なども研修医室で開催することも多いですね。
では、当院の研修プログラムの特徴について教えてください。また、特徴のある研修を行っている科や、すでにまわった科の中で印象に残っている科はありますか? - どの科を回っても同期の研修医が1人しかいないので、手技をいろいろやらせてもらえます。具体的には1回見ると次はやってねというくらいいろいろさせてもらえます。呼吸器外科などを回っていなくても、救急で気胸の患者さんが来たら呼吸器外科の先生が研修医室に来て誰か胸腔穿刺やりたい人はいないかって声をかけてくれます。
- 手技や急変対応などは研修医を積極的に参加させようとしていますね。回っていない診療科からも声をかけてもらえることも嬉しいですね。
手技はどの程度経験されましたか。 - 私が初期研修の1年目で経験した数で言うと、挿管は50例以上、CV挿入は20例以上、A-Lineも20例以上、胸腔ドレナージ留置10例、胸水穿刺のみは15例以上、腹水穿刺15例以上、腰椎穿刺は10回前後、積極的なCPA対応20例程度、胃カメラも4例程度触らせてもらえましたし、気管支鏡も4例程度させていただきました。特に総合診療科に入院中の採血上の炎症所見が全く上がらない髄膜炎の患者さんで、途中発熱が再燃したこともあって治療効果判定のために腰椎穿刺を4回くらい穿刺したときに、次第に髄液がきれいになっていく経過を見れたことが大変印象的で記憶に残っています。患者さんにも私の腰椎穿刺は全然痛くないと言ってくださって嬉しく思いました。
- それは嬉しいですね。
他に当院で力を入れていること、他の病院では経験できないようなこと、特徴的な取り組みなどはありますか? - 毎週水曜日に行われている救急症例検討会では、『Dr. G』的な鑑別診断のためのトレーニングをしています。総合診療科から開業された先生やいろいろな科の先生方が来て下さるので、発表している側もすごく勉強になっています。救急症例検討会はほかの研修医が当直で見た症例を学べるので、自分で当直をしていない症例についても賢くなれます。意識障害の症例について血ガスや血糖値を早くとることが大事だと学び、その後の当直で実際に意識障害の救急症例が来た時に血ガスを早く取り、アルコール性ケトアシドーシスを診断して迅速に対応することができました。
- 研修医に最も人気のあるカンファレンスですよね。毎回、問診での注意点、診察の見落としがないかをしっかり確認し、鑑別診断を20-30程度考えて可能性が高い疾患、見落としてはいけない疾患の観点で絞り込み、必要な検査を考えて検査結果を検討していきます。年間約50回、2年間で約100回も開催しますので、しっかりとした実力が涵養されていると思います。院内の興味深い症例がすべて集まる会と言ってもいいので、私たち指導医にも大変勉強になります。
では、先生が印象に残っている研修での出来事、症例があれば教えてください。 - やはり、自分で患者さんから情報を引き出し、治療方針を考えるところまでさせてもらった総合診療科での患者さんは、今でも名前を覚えているほど記憶に残っています。特に途中ICU管理もしたアルコール性ケトアシドーシスの患者さんは、京都の学会や院内カンファレンスなどでも発表させていただき、特に印象に残っています。他にも40代半ばの女性で下腹部痛を主訴として来た患者さんが、現在生理中で妊娠は絶対にないと言っていましたが、実は子宮外妊娠だったということがあり、「女性を見たら妊娠を疑え」という格言を改めて思い直しました。
- AKAの患者さんはアシドーシスが強くてかなり重篤な方でしたが、ICU管理もしっかりできていましたね。総合診療科では研修医の主体性が重視されていますので、研修2年目にもなると重症例のICU管理をしたり、退院調整のために何度もICをしてもらったりと今後どの診療科に行くにしても必要な力がしっかりとつくと思います。また、救急症例検討会では、50代の子宮外妊娠という症例もありましたね。
先生が研修で感じた楽しいこと・有意義なことや、苦労したこと・大変なことはありますか? - 全国いろいろなところから研修医が集まるので、みんなでわいわい誕生日会をしたり、ユニバーサルスタジオに行ったり、滝(モネの池)を見に行ったり、仲良く楽しんでいます。大変なことといえば、総合診療科が患者さんをたくさん持てる分大変でした。私はマックス20人前後でそのときはちょっときつかったです。
- それは大変お疲れさまでした(笑)。総合診療科の受け持ち症例数は10~20名かと思いますが、20名はさすがに大変ですよね。
お誕生日会などは、毎年恒例でやっていますね。研修修了旅行も写真で見せてもらっていますが、同期の先生方のつながりの深さを感じています。
当院の指導体制について具体的に教えてください。 - 基本的に循環器内科以外の科はすべて全員の先生から教えてもらえる体制になっています。循環器はこの先生につくということが一応決められていますが、勉強になる症例があれば気さくに声をかけてもらえて一緒にもてます。
- ありがとうございます。当院の当直についても詳しく教えてください。
- 当直スタート時期は1年目ゴールデンウィーク明けからです。当直の基本時間帯は午後5時半~から翌朝9時までです。当直体制は内科・外科・循環器内科・脳神経外科・小児科・産婦人科の上級医6名、研修医は1年目1名、2年目1名の2名の体制です。当直頻度は月5~6回です。当直時は風邪やインフルエンザなどのWalk inの軽症例は研修医が自分で見たりしますが、検査が必要な症例はすべて指導医が確認してくれます。救急症例は常に指導医が側にいてくれて、常にフィードバックしてくれます。
- 少し補足すると、日当直の研修医1名あたりの月平均回数は5.3回ですね。だいたい週1回の当直と日祝直が月1回くらいという感じですね。連休が続いたり、研修医が外の病院を回って人数が減るときは、月6.0回以上の当直はしないでよい日を作って調整しています。当直に入ってほしい日のカレンダー表を研修医の先生に前の月にお渡しして、後は研修医の先生方が話し合って当直日を決めていますので、融通が利きやすいですね。毎月かなり盛り上がって決めていますね(笑)。
勉強会や講演会、カンファレンスなどについても教えてください。 - 総合診療科の先生や各診療科の先生が集まって研修医が症例発表と司会をする救急症例検討会、また研修医が発表するEPOCレポートセミナーや指導医が講演するモーニングセミナーは毎週1回1時間で行われています。各診療科の先生方が持ち回りで発表する院内症例検討会と研修医が病理や各診療科の先生方に指導を受けながら発表する臨床病理検討会は毎月1回程度開催されています。ローテーション中の各科カンファレンスは週1-3回程度はそれぞれ行われています。また年2回ですが、京都医療センターの研修医と合同でそれぞれの病院の研修医が発表する伏見総合診療臨床カンファレンスという症例検討会を伏見医師会の主催で行っていますし、他にも院外特別講演会が年2回、開業医の先生方や特別講師をお招きして行われています。
- ありがとうございます。ところで先生は将来どの診療科に進みたいと考えていますか?また、目指す医師像などはありますか。
- 将来の進路について初期研修を始めるまでは内科かマイナー科で考えていたのですが、手技をいろいろな科でさせてもらえて、手技が自分に向いているかもしれないと思うようになり、今(2年目5月時点)は外科系に進みたいと思うようになりました。この病院でなければそこまで手技の経験させてもらうこともできなかったと思いますので、すごくよかったと思います。目指す医師像を語るには未熟者ですが、今はとりあえず上の先生から全て吸収するつもりで頑張っています!
- ぜひ頑張ってください。
最後にご自身の大学時代を振り返りながら、研修病院の選び方や学生時代にやっておくべきことなど、医学生へのメッセージをお願いします。 - 私は研修病院を選ぶにあたって、研修医室が独立していることと、全部の科がそろっていることは必須条件だと思います。そのうえで、あとはその人次第のところがあるので、自分が実際に見学に行ってこの病院が楽しいとか雰囲気が合うなと思うところに行くことが大事だと思います。最後に、時間があるのは学生のうちで医者になるとまとまって休みが取れなくなるので、学生時代に海外など時間がかかるようなところに行くことを強くお勧めします。
ありがとうございました。
後期研修医 露木先生へインタビュー
本日はH28年3月まで当院での初期研修を修了し現在1年目の専攻医として循環器内科で研修中の露木先生にお越しいただきました。
- 露木先生、先生が当院での初期研修を選んだ理由は何ですか。
- 僕は愛知の出身ですので愛知の病院や関西の病院を見学したのですが、他の病院と比較して当院が救急室で研修医の先生方が一番動けていたことが直接の理由でした。また研修医の先生方の雰囲気もよかったのがいいなと思いました。
- そうなんですか。救急ではどんな風に研修医の先生が動いていましたか?
- それこそ、救急車が到着したとたん研修医の先生がファーストタッチで病歴を聞いて、身体所見をとって、鑑別診断を考えるということを実践していて、それを指導医がフォローするという体制ができていました。学生の目からみてすごくかっこよく思いました。
- いつも当院の研修医の先生方を見ていると当たり前の風景なのですが、見学に来られると新鮮に感じられたのでしょうね。実際に働いてみてどうですか。
- 実際に働いてもやはりこの病院は研修医の先生にまずやらせてくれるという雰囲気があってとても勉強になりました。
- 研修医の先生方は、私から見ても実によく頑張っていると思いますし、すごく勉強されているなと感心します。
ところで先生は今は循環器内科で働いていますが、なぜ、循環器内科を選ばれましたか? - 僕はもともと内科系志望で、集中治療などに興味があったので循環器内科を選びました。実際に当院は3年目からすぐにICU管理を、3年目の後半からはカテーテル検査や治療もさせてもらえています。症例が多くかつ自分でできることも多いので当院に残って良かったと思っています。
- 確かに私は1年目に頼りなさそうだった研修医の先生方が、2年目になるとどんどん自信を付けて自分で出来るようになっていき、3年目では専門科の診療で立派に診療に当たっているのを見て成長の速さにいつも驚かされています。
先生は初期研修医時代は、どのような生活でしたか。 - 朝は7時半から8時くらいに病院に来て、患者さんの様子を見て必要な検査や治療をオーダーして、9時から指導医が来たら指導医と相談して治療方針を決めて対応に当たったりカルテ書きなどをしていました。また当日の入院があれば、9時までに決まるのでその対応をしていました。午後は病棟の重症患者や緊急入院患者の対応をしたり、空いた時間は自分で勉強をしたりしていました。夕食は基本的に7-8時ごろに同期と食べていましたね。その後は、家に帰ったり病院に来て翌日の予定を確認して帰ったりしていました。
- なかなか充実していましたね。休日はどうでしたか?
- 科によってまちまちですが、重症な患者さんを持っているときは病院に来てみていることもありましたし、また落ち着いているときは半日だけ見にきて後は自由に過ごすことが多かったです。
- 休日も重症患者さんがいなければゆっくり出来ていたんですね。先生が特に記憶に残っている症例はありますか。
- 総合診療科のときに先生と一緒に持った統合失調症を持病に持っていて高血糖高浸透圧症候群で入院した事をきっかけに、悪性症候群を合併した症例が一番記憶に残っています。
- あぁ・・・、あの症例は本当に大変でしたし、劇的な経過をたどりましたね。私も良く覚えています。その症例を経験してどうでしたか。
- 悪性症候群自体を経験したのが初めてでしたし、腎不全を合併して透析を何日も回し、循環動態も不安定だったので毎日エコーを当てて患者さんや検査データを見て水を入れるのか引くのか考えないといけなかったですし、どんな薬を何を選ぶのか先生方と相談したり自分で調べたりして非常に勉強になった症例でした。2年目のあの時期にICUでの集中治療を経験することができて、循環器内科医になりたいという気持ちが確固たるものになっていました。
- そうでしたか。あの方が退院して歩いて病院に来られたときには思わず先生を外来にお呼びしましたね(笑)。
- そうです。入院中は苦労しましたが、外来で元気な姿を見て少し感動しました。
- そうですね。集中治療をして救命できて、外来で再会できることは医者の醍醐味だともいえますね。先生が今まさに循環器内科医として頑張っていることの原体験のようなものになったのであれば私としても嬉しいです。
ところで、先生は学会発表などはされましたか。 - 2年目の時に循環器内科を回っている際に、ルーリッシュ症候群に対して二期的に血管内治療を行った症例について京都医学会に発表をし、京都医学会の新人賞をいただいたことがあります。この症例で京都医学会雑誌に論文投稿もしました。
- それはすばらしいですね。先生にとって当院で学んだ2年間の研修はどうでしたか。
- いろんな先生にコンサルトしやすいですし、研修医同士が仲が良くて働きやすかったので充実した研修が出来たと思っています。
- これから病院を見学しようとする学生さんらに何かアドバイスはありますか。
- 病院のホームページや知り合い・レジナビなどで病院の話や聞くだけではなく、研修医が実際に働いている姿を見るのが病院を選ぶのに一番重要だと思います。医仁会武田総合病院はファーストタッチで研修医に学ばせてもらえるような環境があり、手技も多くできますし、症例数も豊富です。僕の年は循環器内科と呼吸器内科に研修医が残りましたが、今年は外科系にも多数研修医が残るようです。将来、専門医の資格も取れるので医師としてのキャリア形成にも不安がないと思いますし、外に出るにしても初期研修医の2年間にしっかりとした実力をつければどこに行っても通用します。是非一度見学に来て、研修医や僕たち専攻医が働いている姿を見て、もしあっていると思ったら是非当院に来て下さい。
ありがとうございました。
2年目研修医 中村先生へインタビュー
本日は平成29年3月までで初期臨床研修を修了予定で現在当院で2年目の初期研修をされていらっしゃる中村碧先生にお越しいただきました。
- 中村先生、まず、当院を選んだ理由を教えていただけますか。
- 私は、もともと実家が近かったので医仁会武田総合病院の事は知っていましたが、京都市内の他の病院も見学して比較していく中で、医仁会武田総合病院は大学の派閥がなく、県外から来られた先生方が大半で産業医大の出身である私であっても働きやすそうなのを感じていました。一つ上の当時の初期研修医の先生方が一生懸命に研修をされている姿を見て、自分もそのような研修がしたいと思い希望しました。
- 確かに当院は京大、京都府立医大との連携もありますが、他の病院の先生方もたくさんいらっしゃいますからね。それに研修医の先生方は東は北海道、西は九州からといろいろな地域の先生方が集まっていて、出身大学は関係ないですよね。それと1個上の先生といえばT先生、S先生、H先生らの学年ですね。たしかに彼らは仲も良くて、後輩の面倒見も良かったし、研修に対しても本当に一生懸命に頑張っていらっしゃいましたね。研修医の皆さんが仲が良い事、よく助け合っている事は今も変わらないですね。
- 学生の目から見て、研修医の同期同士で切磋琢磨されている姿を見てすてきだなと思いましたし、臨床研修部の先生や若い上の先生方との距離が近くていろいろなアドバイスをいただきやすいことが感じられてとても自分に合っている病院だとおもいました。また研修医の人数が7人(当時)の割に病院が500勝と十分な規模ですので症例数としても豊富で、手技もたくさんできるのが魅力的に見えました。
- すごくよく見ていたんですね。先生は確かに何度も見学に来られていましたが、見学はどうでしたか。
- 見学のときは、指導医の先生方の気管支鏡検査を見学できたり、研修医の先生方と一緒にカンファに参加したりしたので、すごく内容も充実していて他の病院と比較する事ができました。また若い先生と一緒にご飯を食べたりして、いろいろ率直な話を聞くことが出来てよかったです。
- それはよかったですね。先生の将来の志望は何科ですか。
- 呼吸器内科を志望しています。
- ちょうど今、回っていますね。呼吸器内科はどうですか。
- まだ2週目ですが、一つ上の専攻医の先生がいるのでいろいろ聞きやすいですし、喀血で緊急BAEを施行した症例や今話題の新しい抗癌剤であるオプジーボで治療している肺癌の症例、間質性肺炎の急性増悪でステロイドパルスをした症例や人工呼吸器管理中の症例など重症患者さんもたくさん見れます。またコモンディジーズであるCOPDや喘息なども数多く見れ多くの経験を積ませて頂いています。
- 充実した研修が出来てよかったですね。呼吸器内科の研修体制はどうですか。
- 毎週1回研修医の為の画像カンファがあるので、胸部レントゲン写真の読み方やCTの読み方などを放射線科や呼吸器外科の先生方からも教えていただけます。気管支鏡などの検査だけでなく、論文抄読会や毎週、病棟カンファレンスもあり症例の振り返りなどもしていただいています。
- 将来の呼吸器内科医にむけてしっかり経験をつめそうですね。
それでは当直や救急科での研修はどうでしたか。 - 当直は週1回程度で頻度としては自分にはあっていたと思います。1年目は救急車だけなので重症患者が多かったのですが、重症患者を数多くみることで医者として必要な急変時の初期対応を学んだり重症患者の徴候をいち早く見抜けるようになって役に立ったと思います。2年目は内科救急患者だけでなく内科系Walk in外来もみるようになったので、2年間の研修としては十分な数を見たのではないかと思います。
- 一晩で何人程度ですか。
- Walk inで10人前後ですし、救急車は一晩で平均5-6台ですね。
- 1年目の12月頃から2年目の先生と一緒にWalk inにつく事になりますし、毎月平均5.3回程度の当直をしますから、Walk inだけで800人程度の患者さんを見た計算になりますね。それに2年間の救急車の診察台数は一晩で全科で平均5-6台、内科救急で平均4台ですから、2年間の救急科ローテートの16週間とあわせると900台ほどの救急車症例も見た事になりますね。あわせて1700人ほどの救急・外来症例を直接見た事になりますから、経験としては立派だと思います。しかし女医として、体力的にはどうでしたか。
- 当直は1年目のときは4-5時間寝れましたが、2年目になるとWalk inの方が増えるので2-3時間のことが多かったです。ですが当直明けは午後1時までで特別なことがなければ帰れるので、体力的には心配ありませんでした。当直が無い日は、1年目には内科系診療科のローテートが多く、まだ慣れない環境での研修だったので休みの日も病院に来ることが多かったのですけど、睡眠時間は十分取れていました。2年目になると仕事に慣れてきてもっと時間を効率的に使えるようになって来ました。
- よかったですね。医師のワークライフバランスを推奨する私としては、効率的な時間の使い方が大事ですね。休日は遊びに行く事もできましたか。
- 休日は病院に一度は行きますが、友達に会ったり趣味に興じたりなどの休みは十分に取れると思います。
- それは大事な事ですね。学会発表や論文発表はありましたか。
- 学会発表は神経内科を回った際に京都医学会で発表をさせていただきました。また、麻酔科の症例で論文での症例報告も経験させていただきました。
- それはすばらしいですね。当院は研修医の先生方に最低1回の学会発表を推奨していますが、全員の先生が経験されていると思いますし、何人かの先生は論文までしっかり書かれていて大変立派だと思います。
当院の研修を振り返って、どのような研修だったと思われますか。 - 2年間の研修生活は中だるみのようなこともありそうなのですが、同期の研修医たちもすごくやる気があるので、モチベーションを維持できましたし、とても刺激になりました。また、いろんな科の先生方に志望科に関係なくたくさん声をかけていただいて指導していただけることが多くとてもよかったです。また看護師さんとの関係もよくて研修しやすかったと思います。
- ありがとうございます。当院は指導医の先生方も若手の先生方もコメディカルの方々もみんなで研修医を育てようと日々声をかけながら頑張っていますよ。
最後に武田病院での研修を一言でまとめていただけますか(笑)。 - 症例数や症例内容、また給料、上の先生との関係などいろいろな意味でバランスが良く、自分にあった研修ができたのではないかと思います。
バランスが大事ですね(笑)。今日は本当にありがとうございました。
2年目研修医 山下先生へインタビュー
本日は平成29年3月までで初期臨床研修を修了予定で現在当院で2年目の初期研修医をされていらっしゃる山下先生に医仁会武田総合病院での初期研修を選択された背景や当院での研修生活などについてお伺いしてみたいと思います。
- 山下先生、さっそくですが当院を臨床研修病院として先生がご選択された理由は何だったのでしょうか。
- 僕は父が脳外科医で脳外科にあこがれていたため、将来は脳外科に行く事にことに決めていました。そのため、学生時代に脳外科で教育体制のしっかり整った病院を探していたところ、医仁会武田総合病院の脳神経外科が症例も多くて教育体制も充実していると感じたので当院に初期研修に来ることに決めました。
- 学生時代から将来のビジョンを決めてその目標に向かって進んでいらっしゃるのは大変すばらしいですね。その医仁会武田総合病院での2年間の初期研修ももうすぐ終わりになりますが、先生にとってはどのような研修でしたか。
- 普通、初期研修であるという立場からは指導医や上級医の指示のもとに診療行為にあたることが多く、どちらかというと下働き的な役割で学んでいくような研修が多いように思うのですが、医仁会武田総合病院での研修は研修医が実際に患者さんを見てまず自分で考えないといけない場面がたくさんあったので、非常に勉強になりました。また、研修医のバックアップ体制も充実していて研修医は診療行為について指導医と常に相談しながら診療にあたることができますし、実際に悩んだり困ることがあれば診療科の指導医だけでなく診療科をまたいだどの上級医にも聞きやすい環境があったので、とてもやりやすかったです。
- なるほど。研修医として主体的に患者さんを見ることができるので、指導医の指示に従ってやっているよりも勉強に対する意気込みは全然違いますよね。実際に山下先生が困った経験はどのようなものでしたか。
- 例えば発熱患者の肺のCTの読影で悩んでいた時に、呼吸器内科の上級医の先生に実際にすぐに供覧していただいて教えていただいたり、循環動態の悪い患者さんがいれば、循環器内科ローテート中でなくても循環器の先生に心臓の評価をベッドサイドでしていただいたりなどと、多くの診療科の先生にいつでも気軽に相談しやすかったです。
- 確かに当院は若い上級医の先生も多くてなんでも聞きやすい環境にありますよね。また、院長やプログラム責任者をはじめとする指導医の先生方も当院が教育病院であるということを日ごろから常に意識して教育や指導に取り組んでいますので、病院全体で研修医を育てようという雰囲気がありますよね。実際に多くの先生方やコメディカルの方々が常に研修医の先生方の研修状況や心の状態を気にして下さっています。ところで山下先生は自由選択期間にはどのような科を回りましたか。
- 神経内科に春6週間と秋に4週間、ほかに救急センターを必修の8週間の他に自由選択でさらに4週間、他は放射線科3週間と脳神経外科を10月と1月に4週間ずつ回っていました。
- なるほど。脳神経外科医になるために必要な科を上手に配分したのですね。大変立派だと思います。脳神経外科での研修はいかがでしたか。
- 脳腫瘍や脳血管内手術、脊椎の前方固定術や後方固定術、Hardyの手術や内視鏡的脳内血腫除去術、脊椎脱臼整復術なども含めて、40例ほどの手術に入ることができました。
- それは素晴らしいですね。手術中は教えていただけるのですか。
- 顕微鏡手術なので、術中にモニターを見ながら解剖から手術上の注意点まで細かく教えていただいていましたし、実際に使う器具や顕微鏡を用いて人工血管で微小血管吻合の練習させていただくこともできました。
- 忙しい手術の中でそこまで教育に時間をさいていただいて大変うれしいですね。手術以外の時間でもしっかり教えてもらえましたか。
- 脳外科は朝8時からカンファレンスをしていることが多いので、いつも参加させていただきました。また、毎週抄読会もしていてそちらも参加しました。他にも貴重な症例を経験しましたので今度の4月に脳神経外科学会の近畿地方会で発表予定ですし、またその症例について論文執筆も指導して下さり、現在、論文発表の最終段階まできていて近々掲載される予定です。
- 先生は忙しい初期研修医の立場でありながら本当に頑張っておられますね。ところで現在、山下先生は総合診療科をローテート中ですが、総合診療科での研修はいかがですか。
- 毎朝8時ごろに病院に来て、まず電子カルテでカルテ回診をしています。そのあと、ベッドサイド回診をして、指導医が来てからは週2回のカンファレンスを含めて新患や治療中の入院患者のディスカッションをしています。午後からは中心静脈ラインを取ったりといった手技をしたりカルテを書いたりしていますが、特に忙しくない日は早めに仕事を終わらせて自習にあてています。忙しい日は様々な病棟業務だけで一日が終わることもありますが、忙しくても20時までには仕事が終わる感じです。経験症例としては、急性細菌性感染症、真菌感染症、伝染性単核球症、電解質異常や偶発性低体温症、敗血症、腎不全、摂食障害、アミロイドーシス疑い、担癌患者、心不全、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群などの患者さんを見ています。また高齢者やADLが低下した患者様の退院調整まで研修医が主体となって調整する経験を積むことができ、大変勉強になりました。また、プライマリケア外来での外来研修では、白血球減少症の症例を受け持たせていただき、鑑別について学ぶことができました。
- 様々な種類の症例を経験されているのですね。医仁会武田病院の総合診療科は若年者や高齢者の様々なコモンディジーズの診療を経験できますし、他の診療科では診断のつかない原因不明の疾患の診療の経験も数多く当たることができますね。また、重症患者のICU管理なども研修医の先生方が診療の中心となって行うことができますので、2年間で様々な内科的疾患の全身管理をしっかりと身に着けることができますよね。他にも総合診療科研修中には近医からの紹介患者さんを特別枠で指導医と1回1時間以上の時間をかけて数週間かけて継続的に診療するという初期研修中では珍しい外来研修にも力を入れていますので、問診や身体診察法、系統的診断技術を実践的に学ぶことができますね。また、総合診療科と救命救急センターでの研修期間中は常に1年目と2年目の先生が一緒に回るようになっていますので、お互いが学びあいやすい環境となっていますよね。
山下先生は医仁会武田総合病院での2年間の研修を振り返ってみていかがでしたか。 - 実践の中で常に指導医とともに第一線に研修医がいますので、1年目の最初は何もできないところから始まりますが、何をすべきか常に考えさせられるという経験の積む中で、2年目の研修医の先生方や若手の先生方の助けを借りながら日々悩みながら気がついたら少しずつできることが増えていき、自然に成長していくことができたと思います。2年目になるとある程度、自分の将来のことを考えて専門的な勉強ができるようになりましたし、後輩の指導をする中で自分もまた成長していました。
- 当院での研修が手厚い研修環境の中で実践を主体とした数多くの症例経験に基づいていることを、上手にご紹介いただいてありがとうございました。
最後に武田病院での研修を考えている、または悩んでいる学生さんに一言をお願いします。 - すごく忙しいというわけではないですが、症例自体は豊富にあるため、望めばいくらでも経験は積めると思います。また、総合病院なので志望科を決めていなくてもいろいろな科を見て研修中に決めるということも可能です。僕の場合、脳外科を志望していましたが神経内科がしっかりしている病院ということも当院を選んだ理由でした。総合病院で症例も豊富だからこそ、いろいろな形で自分の将来に役に立つ研修ができると思います。興味を持っていただいた方はぜひ当院に研修へいらしてください。
ありがとうございました。
見学学生さんから初期研修医へのQ&A特集
- 上の先生へのコンサルトはしやすいですか?
- コンサルトしやすい先生は多いと思います。また指導医でも研究日や夜間でも電話に出ていただける先生が多いので助かります。難しい患者を持っていると、他科の患者さんでも気にして声をかけてもらえることもありますね。特にICUに患者さんがいると、全然関係ない先生からもいろいろと声を掛けてもらえることがあります。面倒見のいい先生がいて、大変助かっています。
- 給料はどうですか?
- 寮費・水道光熱費を全部引かれた後の手取りで1年目で31~32万、2年目で33~34万円程度ですね。それ以外に生活に関する出費は食費3-4万(飲み代別)・通信費2万円くらいです。かなり給料はいい方です。
- 休みはどのくらいもらえますか?
- 科によって違いますが、必修診療科では救急・麻酔科・産婦人科(出産時を除いて)ほぼ完全に週休2日です。他の必修診療科は土曜日や日祝日は午前だけ患者さんの様子を見に来て午後は原則帰ってきます。そういうときに限って院内QQQで呼ばれて対応することもありますが(笑)。夏休みは1年目が1日、2年目が3日ですが、祝日と日曜日に連続してとることができるので3-5日ほどです。後は年に有給が10日ですね。これは2年目の後期研修病院見学で使ったり、残りはまとめて研修終了時にとることがおおいです。後は、レジナビ参加や災害実習などで代休がもらえるので、意外と代休は多くもらえます。
- 当直はどのくらいの頻度でありますか?忙しいですか?
- 平均すると週1-2回、月5~6回ほどです(試算で月平均5.3回)。救急車は一晩で平均6-7台、少ないと2-3台、多いと10台以上ということもあります。2年目になると救急車は内科だけになりますが、ウォークインの内科外来患者が10名前後です。睡眠時間は1年目は3-6時間です。2年目は夏場で4-5時間、冬はウォークイン患者数が増えるので2-3時間程度です。
- 当直の次の日は休めますか?
- 仕事は外科系を除いて、午前中だけで帰れます。外科系は緊急手術がなければ、手術が終わり次第帰ることができます。すぐに帰る人もいるし、残って研修医室で勉強する人もいます。
- 学会補助や勉強会の補助はどのくらい出ますか?
- 学会補助は年2回まで、交通費が最大で東京までの実費、宿泊費が出ます。それに加えて症例発表で年2回まで1回5万円の補助費ももらえます。京都病院学会(年2回)と京都医学会の参加費や補助費はこれとは別に請求できます。
- 院外の活動(飲み会や旅行)はありますか?
- 医局の公的な飲み会は研修医歓迎会と送別会、夏の同窓会、年末の忘年会程度ですね。また、若手医師の会があってその先生方との公式の飲み会が年に2-3回程度あります。個人的には結構行っている人いるとおもいます。病院行事としての旅行はありません。
- 寮はどうですか?
- 男子寮は宇治にあり、平成21年頃の新築で非常に綺麗です。女子寮は病院に隣接して立っていますので外見はちょっときたないですが、中身は改装してとてもきれいです。
- 看護師さんはやさしいですか?
- それはもう人によりけりですね(笑)。救急の看護師さんとかは日中ずっと一緒にいるので仲良くなることが多いですね。
- 研修医室の雰囲気はどうですか?
- 仲いいですよ。誰かが誕生日のときはお誕生日会を兼ねての飲み会をよくやっています。またスカッシュやバレーボールなどのスポーツも時々一緒にしています。愛宕山千日参りも一緒に行きましたよ。
- 教材は充実していますか?
- 本は研修医室や救急室にいろいろ揃えてもらっています。「挿管シミュレーター“DAMシミューレーター”、CV穿刺シミュレーターⅡ、腰椎・硬膜外穿刺穿刺シミュレーター“ルンバールくんⅡ”」を使って、定期的に実技指導を行ってもらっています。また、リアルタイム超音波ガイド下静脈カテーテル挿入のための血管用エコー装置も2台配備されました。DVDや教科書なども必要なものは買ってもらっています。
- 医局の雰囲気はどうですか?
- 仲いいですよ。旅行も研修医同士で行っている人がいます。海外旅行とかもしていますね。
- Dutyのカンファレンスや勉強会はどれほどの頻度ですか?
- 週1回のモーニングカンファレンスや救急症例検討会、各科での週1、2回のカンファレンス、月1回の院内(院外)カンファレンスや所属長・医局会議などがデューティですね。
- 出身大学はどこが多いですか?
- 関西出身者が半分程度で一番多いですが、東は北海道から西は長崎大学まで全国から集まっています。どこの出身でもほとんど関係がないのですよ。
- 医局の関連はどうなっていますか?
- 科によって違いますが、京大、京府医、大阪医大、滋賀医大がメインだと思います。医局に所属していない人もたくさんいらっしゃいますので、ほとんど関係無いです。
- 後期に残る人はいますか?
- 毎年、一人か二人は残っています。今年は4人残ります。残るかどうかは自由なので、大学の医局に入ったり他の病院に就職したりいろいろですね。
- 一番の売りはなんですか?他の病院との研修における違いや力を入れているところはどうですか?
- 症例経験や手技の経験とかはかなり多いですね。他にも指導医や若手の先生との距離が近く相談しやすいところです。研修環境としてアットホームな雰囲気がいいと思います。また研修医室が広くてきれいです。
- 武田病院が欲している研修医はどういう研修医ですか?
- 飲み会ののりがいい人がいいですね(笑)。
- 他の病院の研修医とのつながりや勉強会などはありますか?またどのくらい充実していますか?
- 武田グループの康生会武田病院の先生は研修で当院に来るので交流は深いです。また、京都医療センターの研修医と年2回、伏見医師会総合診療臨床カンファレンスという症例検討会を行っています。
- 体力がないと働きにくいか?
- そんなことないですよ。当直明けも言えば昼で帰れます。夕食はみんなで一緒に食べれる程度の余裕もあります。科によりますが、総合診療科や外科といった一番忙しい科でも死ぬほど忙しいというわけではないです。女医さんでも大丈夫です。
- 手技がたくさん経験出来ると聞いたが具体的にどんなことが出来ますか?
- 人にもよりますが、IVH確保や年間10-20件くらいですね。最近はPICCも増えています。挿管とかA-line挿入とかは麻酔科や救急でかなり数をこなします。腰椎穿刺は希望したらいくらでもできます。CPAは院内QQで呼ばれることがあるので、月に1~3回程度、当直中にCPA搬送されてくることも年間5~10件くらいはあたります。手術は必修診療科で外科を4週間回っている間に60-80件、婦人科は4週間で20-30例、整形外科は1週間で15例くらいです。
2年目研修医 三浦先生へインタビュー
今回は、この平成27年3月までで初期臨床研修を終了予定の三浦先生にインタビューしたいと思います。
- 三浦先生、2年間大変お疲れ様でした。いまさらと言ってはなんですが(笑)、この病院を志望した理由は何ですか。
- 市中病院で症例の数も多く、救急車が沢山集まるところが魅力でした。また、研修医の先生が結構自主的に診療をしている様子を見学の際に見ていたのでいい病院だなと思いました。
- ありがとうございます。当院は偏りがなく様々なプライマリー疾患や重症疾患があつまり、幅広くそして深く研修ができるところが魅力的ですし、何より研修医の先生方が自主的に頑張っている姿が魅力的ですよね。見学は何回来られたのですか。
- 見学には泌尿器科と総合診療科に1回ずつ来ました。泌尿器科では、後腹膜鏡下で15cm大の腎摘をしていたのを見て、先進的な医療をしていることに驚きました。総合診療科は、小野先生(現神経内科専攻医)がちょうど3年目にいらっしゃるときでしたが、いろいろと教えてもらえたことが印象的でした。
- 当院の泌尿器科は腹腔鏡下にかなり大きな腫瘍摘出もされており、また学会活動も盛んにされておられますよね。総合診療科も、プライマリーケアと重症患者も含めた全身管理ができる研修医の育成を目指して熱心に教育していますよね。
実際の研修はどうしたか. - 僕は学生時代から外科系に進む事を決めていたので、外科的な手技や手術に入る機会もかなり多かったと思います。今年1年間で外科系ローテーション中に全身網羅的に100例以上の手術に入る事が出来ました。かなり数の手術を見学する事ができ、非常に勉強になりました。
- 研修2年目だけでそれほどの手術を見学できたのは驚きですね。
内科系の研修はどうでしたか。 - 消化器内科などの専門科では指導医の先生一人一人とディスカッションをしながら治療方針を決める事が出来ました。総合診療科では、もてるだけ症例を持たせてもらうことができました(笑)。夏場で多かった事もありますが、平均20例前後、最大30例弱の症例を受け持っていました。なかでも褐色細胞腫破裂による副腎クリーゼの症例など珍しい症例も受け持つ事が出来ました。他にもリンパ球性下垂体炎や感染性心内膜炎の症例も総合診療科で経験させてもらいました。副腎クリーゼの症例は、泌尿器科学会の地方会と内科学会の地方会で症例発表をし、また、近いうちに泌尿器科紀要に論文投稿をするために指導いただいております。
- 夏場の総診は熱中症や感染症などですごいですからね(笑)。それに褐色細胞腫の症例では総診で副腎クリーゼのICU管理にも携わっていただき大変お世話になりました。あの症例も先生が泌尿器科で術前管理をし、麻酔科で術中管理をするという形で先生は入院から手術まで治療にかかわっていただきましたね。最後は腹腔鏡下で破裂後巨大褐色細胞腫を摘出するという大手術でしたが、当院の優れたチーム医療のおかげで無事に退院されることができました。先生にとってもきっと素晴らしいご経験になったことだと思います。先生は学会発表や論文投稿も積極的ですし、各科の先生方にしっかりと指導を頂いていることが実績につながっているのだと思います。
資格などは取りましたか。 - 院内BLS、ICLS、BDLS(災害系)、FCCS(fundamental clinical care support)、JATECなどをとる事が出来ました。
- 資格もしっかり取られましたねー。
週末や余暇はどうでしたか。 - 週末も休むときは休む、働くときは働くなどメリハリをつけてすごす事が出来ました。科の代わり目などには、大学の部活の大会の応援に行ったりなどのイベントに参加したりしていました。同期で富士山にも登りました。
- そうそう。富士山に登っていらっしゃったのには驚きました。何年か前の研修医の先生方も登られていたのを思い出しました。先生の学年は結婚された先生も多かったですね。
- 4組が結婚したので半分以上が結婚しましたね。研修中にも忙しすぎて彼女に愛想をつかされる事はなかったのでなんとか結婚できました(笑)。
- それはひとえに先生の魅力のなせる業かと思います(笑)。
今後の進路はどの様に考えていますか。 - 兵庫県がんセンターの後期レジデントとして就職を予定しています。
本当におめでとうございます。当院は症例数も多く、救急や各科の教育体制が充実しており、研修医がやる気を出せば出すほど指導医がしっかりとそれに応えてくれて素晴らしい研修ができるということを先生のお話を聞いて感じることができました。これからも、立派な医師を目指して頑張ってください。本日はありがとうございました。
後期研修医 小野先生へインタビュー
今回は、H22年からH24年まで当院で初期研修を受けられ、現在神経内科で後期研修をされている小野先生に当院での初期研修についてインタビューさせていただきたいと思います。
- 先生は、初期研修を医仁会武田総合病院で受けられたのですが、病院を選んだきっかけはどのようなことだったのでしょうか。
- 僕は三重大学からきているのですが、初期研修医の時から神経内科医になるつもりで、内科で総合的にみれる病院で、脳卒中などの救急疾患がそれなりにあつまる病院で研修することを考えていました。地元の三重県ではそこまでできる病院は少ないのと、当院ほど神経内科がしっかりしている病院が少なかったので、京都に出てきました。当院の神経内科は、市中病院にしては小島部長がいらっしゃるので筋電図や神経伝導検査などの神経生理検査の面が強く、脳波外来も京大の池田教授が来られていること、また駅前武田病院の秋口先生や京大名誉教授である柴崎先生の回診もあり、大学病院にも負けない教育体制が期待できたため、非常に魅力的でした。初期研修を終えても、当院で神経内科の研修をそのまま続けることがいいと思ったので、後期研修もさせてもらっています。
- 先生は、後期研修のことまで考えて当院を初期研修に選ばれたのですね。非常に立派だと思います。当院は先生がご指摘の通り各科にて非常に専門的な研修が受けられるのが特徴ですね。実際に初期研修を終えて感想はどうですか。
- 全体的にどの科でも、指導医の先生とディスカッションをしながら、患者さんの管理を率先して関わらせていただけることが多かったことや、中心静脈カテーテル留置術などの処置を経験させてもらえることが多かったことなど、自由に選択できるローテーションの期間で皮膚の処置や褥瘡管理など、一般的な内科医が必要なこと以上に全身管理を経験できたのではないかと思います。
- なるほど。当院は初期研修のときから患者さんの全身管理を経験できますし、経験できる処置や症例の数や種類が多いこともメリットだと感じられたのですね。逆にここはもう少し改善してほしかったようなことはありましたか。
- 僕の場合には神経内科に専攻医(後期研修医)の先生がいたのでそれほど苦にはなりませんでしたが、科によっては若手の専攻医の先生が少なかったので、モデルケースのような若手の専攻医が少ないことはデメリットだと思いました。でも考え方を変えればその分、症例や処置などは経験を積みやすいことでもあるので考え方次第の気がします。
- そうですね。後期研修医として残っておられる先生や他院から後期研修医にこられている先生も当院には随分いらっしゃいますが、そのような先生がたまたまいない場合もありますね。そのときは、指導医の先生に直接指導が受けられて患者さんの治療や処置を数多く経験できるチャンスだとも言えそうです。ところで小野先生は、学会発表などはされましたか。
- 神経内科と耳鼻咽喉科で学会発表はさせてもらいました。当院は臨床分野では症例報告などしっかりできるサポート体制が整っており、論文作成などもを含めて学術的な面も市中病院にしてはしっかりしているという印象があります。
- 確かに多くの研修医の先生方は、初期研修のときから各学会で御発表をされていますし、若手の優秀賞を頂いておられる先生も何名かいらっしゃいます。その面でも当院での研修指導体制は充実しているといえそうですね。当直はつらくなかったですか。
- 当直は1年目の時は5時間くらいは寝れたことはありますが、2年目は3時間の時や全く寝れないこともありました。しかし、当直の時ほど、自分が直接外来診療ができて臨床能力が試される場はないので、充実した研修だったと思います。
- 当院での当直は1年目は全科当直ですが救急車のみの対応なので救急車が来なければ十分睡眠が取れることもありますね。私も内科当直医として当直をしていて、たまに救急車が1台も来ない晩は本当にラッキーとおもいます(笑)。2年目になると救急車は内科系だけになるのですが、Walk inの外来患者さんの診療をするようになるので、患者さんの数は増えて睡眠時間が短いこともありますよね。当直開けの研修医の先生方のために、以前はあまりできていなかったのですが、今は総合診療科では当直明けはPHSを預けて午後は帰るということを積極的に指導しています。病棟からも好評でうまく実施できていますね。他科でもそのような科が増えてきています。ところでその総合診療科での研修はどうでしたか。
- 重症患者が多かったので、ICU管理を含めてかなり関わることができました。常に動きながら何か考えているような状態でした。おかげで腎不全や透析、人工呼吸器管理も普通にできるような自信はつきました。当院は臨床工学技師の方々が特に優秀なので、その面でも仕事がしやすかったです。
- 確かに当院の臨床工学技師さんは優秀ですよね。皆さん勉強熱心なので、いろいろとディスカッションしたり教えてもらうことも多いですね。総合診療科での研修中の1日はどういうスケジュールで仕事をされていましたか。
- 7時頃に病院にきて朝食をとりながら担当患者のカルテ回診、夜間に内科救急で入院になった患者の確認をして8時前には病棟対応を始めていました。午前中に新患の対応と採血結果など確認し、午後には病状説明やIVH確保などの処置などをしながら夕方になるという感じでした。日中も3回くらいは患者さんの状態を診て、特に重症患者もなく、うまく空き時間がでれば調べ物などをしてましたがいろんな科の先生に直接聞いて教えてもらっていることのほうが多かったです。夕方に新患がなければ19時か20時には仕事はだいたい終えていたので、一日気になったことを最後調べたりして21時くらいには帰ってました。 また、朝や夜の時間帯は当直帯に受診している面白い症例を研修医が集まってみんなで話し合ったりして、自分の受け持ち外の患者さんもいろいろチェックしていました。
- なかなか充実されていますね。週末や余暇はどれくらいありましたか。
- 重症患者さんがいなければ、日曜日や休日は少し病院にきて患者を確認する以外は、自由な時間も多かったです。
- 患者さんの様態にもよりますが、基本的には1度病院に見に来るだけということですね。当院での初期研修について迷っておられる学生さんに何か、アドバイスなどはありますか。
- やる気があればかなりのことが経験できる病院ですので、ぜひ、見学にきてください。
当院では面倒見のよい指導医の先生や研修医の先生がたくさんおられますので、見学に来て実際に見ていただけると一番いいですね。本日は本当にありがとうございました。
後期研修医 細川先生へインタビュー
今回は、平成23年から25年まで当院で初期研修を履修され、現在、循環器内科で後期研修医をしている細川先生にインタビューさせていただこうと思います。
- 先生が、武田病院で初期研修をしようと思った理由はなんでしょうか。
- 正直なところ僕は出身は大阪で、大学が東北のほうだったので、近畿に戻ってきたいと思っていました。そのため、近畿の病院の情報があまりはいってこないので東京のレジナビに参加し、そこでたまたま見かけた医仁会武田総合病院に見学に来ました。見学に来ると研修医が非常に仲が良く、また、救急の場で指導医の先生と研修医がディスカッションをしているところを見て非常にいいなと思って当院を選びました。
- なるほど。当院の研修医が仲がいいとはみなさん言われますね。また、当院では研修医の先生にも主体的に診療に参加してもらっていますので、治療方針について指導医の先生とディスカッションしている姿は良く見かけますね。そういうところを見てもらえたのは非常にうれしいと思います。実際に初期研修を終えて、どのような感想を持ちましたか。
- いいところとしては、研修医がやろうと思えば何でもさせてもらえるところだと思います。ほかの病院の話を聞くと研修医はなかなかIVHなどもさせてもらえないとか聞いていますし、実際の治療方針についても、科によっては自分が考えて指導医と相談して治療を行うことができるので非常に勉強になりました。悪いところは、第一印象として病院が古いところですね(爆笑)。銀行のATMがないですし、食べるところも院内には地下の食堂しかないですし、少ないですが科によっては見学だけしかさせてもらえない場合もあり、その辺がつらかったです。
- 確かにちょっと古くなっていますね(笑)。また抗癌剤治療を中心としている患者さんを受け持った場合など見学しかできないこともあるようですが、急性期の疾患についてはどこの科でもやりたいといったら指導医の先生の指導の下にどんどんやらせてもらえると思います。ところで、夜間や祝日の当直はどうでしたか。
- 一言で言えばすごく忙しかったと思います。1年目はそうでもないですが、2年目は内科系になりますので、外来患者さんも見ながら救急患者もみることが、勉強にはなりますが大変でした。また、当直明けも普通に仕事があるため、その点はつらかったです。後、基本給には不満はありませんでしたが、当直代が安いなという点もげんなりでした。
- そうですね。2年目は内科患者さんの外来を中心に見ますから、かなり大変なことがありますね。夜間に入院になる患者さんも多数来られますから、初期診療の全てを実践できるという点ではとても勉強になりますがやはり大変だと思います。当直明け勤務については先生方には非常に申し訳なかったのですが、現在は午後からはPHSを預けて帰れるように進めています。基本給については他院に比べても高いですし寮もあってかなり支出も大きく抑えられていると思いますが、当直代は安く感じるかもしれませんね。では、入院患者の診療のことですが、総合診療科での研修はどうでしたか。
- 総診での研修が一番勉強になりました。一つは、総診の先生方がたかだか初期研修医に治療プランとか任せてくださって、それもしっかりフォローしてくれていまして、患者さんの不利益になるようなことがない限り、かなりの範囲で任せてくださいますから大変勉強になりました。手技的にも一番することが多かったのも総合診療科で、A-line挿入や、CV-line確保、胸水穿刺など、細かく教えてもらえることもできました。退院させるために地域連携などのコメディカルと連携していくことについても初めて自分で調整することが多かったので、今後のために非常に勉強になりました。
- 総合診療科では、初期研修医が入院治療から退院調整まで多くのことを主体的に行なうことが求められますよね。たとえば肺炎で入院してもADLが低下して自宅に帰れなくなったりするような患者さんに関わっていくことで、目の前の疾患を治療することだけではなく、どのような治療と調整をすれば患者さんにとってベストな医療ができるかということを入院時点から考えていくことが初期研修医のときから求められます。最近は、病院や施設での看取りを選択していくことも増えてきましたし、病気を見るだけではなく社会面や生き方といった部分にまで全人的に関わっていくことが重要です。このような経験をつむことは特に高齢患者さんが増えていく時代にあってますます重要になっていますね。総合診療科では重症疾患の治療についてだけでなく、患者さんの入院から退院まで調整することを通じて研修医の皆さんによりよい医療サービスについても勉強していただいていると思います。それでは、細川先生の初期研修医時代の1日の仕事のスケジュールも教えていただけませんか。
- 総診の時は、2年目の先生がすごく朝早く来る先生だったので、毎朝6時か6時半に来ていました(笑)。毎朝、始発に来ることがあり、すきやで牛丼を買って食べてから仕事をしていました。午前中でやることが終わってしまい、午後は緊急入院や救急のヘルプにいったり、外来受診された入院になりそうな患者さんのカルテを永遠とのぞいて入院になったときの作戦を立てたりしていました。総診ではないときは、8時過ぎ頃に来ることが多くて、前日の入院患者さんの確認をし、その後、自分の患者さんの看護記録を読んでチェックし、その後、病棟回診をしていました。後は、その科ごとのスケジュールに従って動いていました。早い科で6時過ぎ、遅い科で8時過ぎ頃まで仕事をしていました。僕は医局で本を読むより、自分の部屋で読むほうが好きなので、自分の部屋に帰って本を読んだりしていました。
- なるほど。みなさん、受け持ち以外の患者さんについても積極的に勉強されておられるのですね。週末はどうしていましたか。
- 土曜日は午前中だけ病院に来ていました。午後は買い物したり趣味に興じたりしていました。日曜日は実家に帰ったり、大阪の彼女のところに行っていたりしました(笑)。
- それは一番大事なところですね(笑)。学会発表などはどうでしたか。
- 全部で2回ほどさせていただきました。消化器内科でアナフィラキシーショックからの虚血性腸炎の症例報告と、総合診療科でDICのリコモジュリン治療の成績報告をしました。
- そうでしたね。症例を多数まとめて報告いただいてありがとうございました。最後に当院での研修を迷っている学生さんに何かアドバイスがあればお願いします。
- 見学に来て、研修医の先生、特に総合診療科を回っている先生と実際に話してみて、どんな風な生活なのかとか、研修医がどのようなことができるようになるのかを実際に見てほしいと思います。後は、病院が汚くてもめげないでください(笑)。
病院が古くても、ソフトの部分までしっかり見ていただきたいですね(笑)。学生さんにはたくさん見学に来ていただければと思います。細川先生、本日は大変貴重な時間を頂いてありがとうございました。
2年目初期研修医 灘濱先生と横山先生にインタビュー
本日は当院で現在、2年目の初期研修中の灘濱先生と横山先生にインタビューをさせていただこうと思います。
- まずは灘濱先生、当院を初期研修として選んだ理由やきっかけを教えていただけますか。
- 僕は岡山大学出身で、当院のことはレジナビなどで知っていました。5年生の3月の時に見学に来て、最初は当院の外観を見たときは驚きましたが、研修医同士が仲が良く、研修医が積極的に医療に携わっていたことを感じたので当院の研修を希望しました。
- 横山先生はどうでしたか。
- 私は京都で研修したいというよこしまな気持ちがあり(笑)、レジナビで当院のことを知って見学に来ました。見学したところ、研修医が病棟や救急室でいろいろと積極的にしっかり対応しているのをみていいなとおもいました。また、自分も私学なので、学閥とかは大丈夫なのか相談したところ、当院はそういう人ばっかりで大学や出身地の影響が全くないと聞いたので選びました。
- ありがとうございます。確かに当院は研修医の先生が病棟でも救急室でも主体的に治療を行なっていますね。私はいつも指導医の立場で立っていますが、1年目の春には何も出来なかった研修医が2年目になると本当に立派に対応されるのを見て感心しています。実際に当院に働いてみてその感想はどうでしたか。
- 他科の先生もいろいろと指導してくださるし、コメディカルの方も非常に優秀なのでびっくりしました。
- 回っている科に関係なく、いろんな科の先生が研修医が持たれている患者さんを気にして声を良くかけてくれますよね。横山先生は、どうですか。
- 灘濱先生も言っているように、研修医も16人しかいないし、上の科の先生にすぐ名前を憶えてもらえるし、他科の先生にもすぐにいろいろと教えてもらえるなど、連携がしやすいことが非常にメリットだと思います。コメディカルの人も非常に優秀ですし、いろいろ教えてもらえるのもいいとおもいました。
- コメディカルさんの優秀さには他の色んな病院を回ってきた私も本当にビックリしました。先生方はどんなことを教えてもらいました?
- 人工呼吸器や透析やエコー、栄養管理なども電話してすぐ聞くことがおおいですね。
- ICUに入院していると特に多いですね。
- 薬剤師さんにも抗菌薬の投与量とかを計算してすぐに教えてもらえるのもいいと思います。
- そうですね。自分でまず調べてみて、分からなかったら気軽に教えてもらえるところがいいですね。私が回ってきた病院では、臨床工学技師さんが呼吸器の設定の調整を提案してくれたりとか、薬剤師さんに気軽に至適投与量について相談できることなんてなかったですよ(笑)。常に顔の見える関係だし、電話一本で飛んできてくれたりしますから、コメディカルの皆さんは本当に頼りになりますね。ところで灘濱先生、今、総合診療科に回っていらっしゃいますが、総合診療科での研修医生活はどのようなものですか。
- 僕は8時過ぎ位に来て、病棟にすぐ上がって患者さんをまず見るようにしています。その後は診察したり、IVH・PICC挿入などの手技や病状説明、カンファレンスや勉強会などがあり、夜は患者さんが落ち着いていれば19時半ごろに帰るようにしています。ただ急変とかあると22時になることもありました。1年目の時は余裕があまりなかったのですが、2年目になると余裕も出てきて、1年目の研修医の指導に時間を多く使うようになりました。
- 私は今、放射線科なので、病院に来るのは8時半ごろで、午前中はエコーをしたり、読影をしたりしています。放射線科はベッドフリーなので、午後はだいたいバリウム造影や、エコーガイド下生検、血管造影やシャントの拡張術や副腎静脈サンプリングなどを補佐したりしています。
- 放射線科では初期研修の先生はどのような研修をさせてもらえるのですか。
- 血管造影は最初の穿刺で後は基本的には見学のことが多いのですが、エコーや読影は自分でやって上の先生がチェックするという形になります。
- なるほど。エコーや読影の勉強は大変役に立ちますね。先生方が当直をしていると、一人でエコーをしたりCTを読まなければいけない場面が必ずありますが、当院の研修医の先生方は非常に高い精度でCTの読影が出来ていると思いますよ。私が初期研修医のときは虫垂炎みたいな小さな腸管病変なんて満足に読めませんでしたから(笑)。ところで当院では手技も多数できると言われていますが、先生方はこれまでの1年8か月ほどの研修でどの程度の手技を経験されましたか。
- 僕は、CV確保は30-40例はやっていると思います。PICCは5件程度で少なかったです。挿管は麻酔科以外で10例ほどは入れています。麻酔科では1日1-3件ほど挿管があり、5週間まわっています。胸水穿刺は10-20例ほど、A-line確保はしょっちゅうやっているのでわかりませんが、麻酔科以外で40-50例はやっていると思います。逆に腰椎穿刺は1回くらいしかありません。
- 私は、CV確保は10-20件はしています。PICCも10-20件はしています。挿管は麻酔科以外では10件以下だとおもいますが、麻酔科は最初だったので8週間まわりまして80件ほどやっているとおもいます。胸水穿刺は10件弱ほど、A-lineも麻酔科以外ではそれほど多くはないです。腰椎穿刺は3-4回程度だと思います。
- なるほど。当院では相当な数の手技を経験できますね。また、経験できる症例としては、どのような症例が多いですか。また、珍しい症例や重症例はどのようなものがありましたか。
- 多い症例でいえば、誤嚥性肺炎や尿路感染症が多いですが、心筋梗塞や脳梗塞、うっ血性心不全などもかなり経験できました。ほかにも敗血症性肺塞栓症の重症例や感染性心内膜炎の症例、SMA塞栓症、NOMI、メトグルコの乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、原発性アルドステロン症、たこつぼ心筋症なども経験しました。
- 私もだいたい似たような感じですが、近位尿細管アシドーシスの症例や急性腎不全で緊急透析をまわした症例も経験しましたし、私は夏に総合診療科をまわっていたことが原因と思いますが、低Na血症や低K血症などの電解質異常はたくさん持っていると思います。
- 回った時期によりどうしてもばらつきはありますね。症例経験数はどの程度ありますか。
- みんな同じ程度かとおもいますが、入院患者さんだけでこれまでに150-200例ほどは担当していると思います。
- 具体的な数字はよくわからないとのことですが、夜間外来や救急患者さんも多数見ていますから、退院までにかなり数を経験できそうですね。休日はどうしていますか。
- 患者さんの状態にもよりますが、1時間程度で帰ることもあれば、状態が悪ければ半日程度いることもありました。
- 私も一緒です。
- みなさん、大体似たような感じでしょうか。研修医室はどうですか。
- 上の先生と別になっているのは正直、ありがたいです(笑)。研修医同士の情報交換の場にもなっています。
- 上の先生と別なので、リラックスできるというのもありますし、自分の席や棚もありますし、PCもあってプリンターも使えて、ネットも自由に接続できて自習の勉強もしやすいです。
- でっかいロッカーも使えますので、面積だけでいえば、上の先生よりもたくさんあると思います(笑)。
- おぉ、そういわれてみればそうですね。ロッカーもかなり大きいですね。うらやましい(笑)。学会発表などはされましたか。
- 1年目の時は、日本循環器学会に参加しただけでしたが、今年は3回ほど学会発表をさせていただきました。京都医学界と日本循環器学会近畿地方会、日本内科学会の近畿地方会の1回ずつです。日本循環器学会地方会では、優秀賞を受賞しました。
- 私は、去年は麻酔科学会にでました。今年は、日本鼻科学会に参加して口頭で発表しました。すごい緊張しましたが(笑)。
- 頑張っていますね。何か資格はとれましたか。
- BLS、ACLS、ACLS-EP、ICLS、ISLS、BDLS、FCCS、PALSをとりました。
- 私はICLSしかもっていないです。BLSとACLS位は行こうと思っています(笑)。
- 灘濱先生は私よりたくさんの資格をとっていますね(笑)。当直はどうですか。特に横山先生、女医さんとして当直はどうですか。
- 体力は基本的にいると思いますね。毎回、すべてがそういうわけではないですが、3-4時間前後の睡眠が平均的です。
- だいたいそんな感じですね。11月からですが、直明けは午前中だけ仕事をして、午後からは帰らせてもらっています。
- おぉ、そうなんですか。
- 11月からそういう風にしてるんです(笑)。横山先生のときはできていなかったのでごめんなさいね。少しずつ、他科でも拡がっていると思いますよ。最後に当院での研修を考えている学生さんに何かアドバイスはありますか。
- 救急症例もたくさん見れて、たくさん病棟でも研修できるので、体とかをしっかり動かしたい人にはお勧めですね。
- Opeにしても検査にしても、自分がやりたいと言っていれば、いろいろやらしてもらえるので、積極性を出せばいろいろさせてもらえてやる気を無駄にはさせないところだと思います。
おっしゃるとおりだと思います。学生さんには是非一度見学に来て、研修医の先生方の仕事振りを見て頂ければうれしいです。本日はどうもありがとうございました。
消化器センター専攻医 島本先生へインタビュー
武田総合病院の研修
消化器センター専攻医 島本福太郎
武田病院の名前を初めて耳にしたのは大学6年の春でした。当時、地方大学に通っていた私は卒後都会の大病院で初期臨床研修を受けたいと思っていましたが、大学の臨床実習が忙しくなかなか病院見学に行けず、いたずらに時間だけが過ぎていました。焦っていた私は、たまたま春休みに見学に行った某大学病院で「大阪、京都でいい病院はどこですか」と単刀直入に間いてしまったのです。しばらく微妙な空気が流れましたが、「うちの病院はどうかね…」の後に続けて6つくらい有名な病院の名前が出てきました。
今となっては忘れてしまいましたが、1つだけ聞いたことのない名前が…そう!武田総合病院!!普通の人は聞いたことのない病院は後回しにするものですが、天の邪鬼の私は「あ、ここ行こっ♪」と即決、すぐに見学の予約を取りました。見学の時のことはあまり覚えていませんが、スタッフがとても親切で一生懸命だったことは覚えています。
あれから3年の月日が流れ、初期研修を終え、消化器センターの後期研修医として今もここ武田総合病院で働いているのはこの病院に魅力を感じたからでしょう。それはドラマに出てくるような華やかな病院像ではなく、科を越え、あるいは職種を越えて協力し合えるスタッフのそろった職場環境でしょうか。右も左もわからない研修医にはもってこいの環境がここ武田総合病院にはあると思います。…と、何故か研修についてのコメントではなく武田総合病院の宣伝になっていますが、より多くの人にこの病院の魅力を知ってもらいたいですね。
最後に消化器センターでの研修について少し。消化器は、他の内科系診療科と比べて担当する臓器の数が多いのが魅力です。飽きっぽい私にはビッタリと思ったのも消化器を選んだ理由のひとつです。後期研修は、病棟患者の受け持ちと検査が主で、具体的には午前中に病棟の受け持ち患者の回診と上部消化管内視鏡検査、腹部エコー、上部消化管造影検査などを行い、曜日によっては救急車の対応もします。午後は下部消化管内視鏡検査や肝胆膵の検査、治療を中心にしており、息つく暇もないくらいのハードスケジュール…といっても休みもちゃんとあるのでご心配なく…。少しと言いながらだいぶ長いことコメントしていますが、もし興味があれば一度ぜひ直接見に来て欲しいですね。
呼吸器内科専攻医 伊部先生へインタビュー
武田総合病院の魅力とは?
呼吸器内科専攻医 伊部邦宏
この医仁会武田総合病院は決して綺麗でもなければ広くもなく、1回の病院見学では病院の良さが伝わらないかもしれません。しかし、この病院で研修できて良かったと思います。アットホームな空気が病院全体に流れ、各科の医師やコメディカルのスタッフ達と垣根がなくどんなことでも話せてしまう関係です。このことがどれだけ研修医にとって心強いことか。また親身に研修指導していただけ、研修医の人数も大病院ほど多くもなく、少なくもなくで、第一線で担当医として診斯学や手技を学ぶことが出来ます。また、雑用も少なく自分の研修に没頭できるいい環境にあります。ここを後期研修の病院として引き続き選んだのもこのような環境があったからです。
現在、病棟の主治医をはじめとして当直や日中の救急対応の責任者として当番に入り、日々医師としての難しさ、怖さ、喜びを堪能させてもらっています。一度、病院見学に来てみてください。みなさんのことを待っています。