藤田 益嗣
- 救急医療センター 外科部長・肛門外科部長
- 外科・直腸肛門外来 外科部長・肛門外科部長
患者さんの負担を軽減する治療をめざしています
肛門機能の温存、痛みの軽減、入院期間の短縮、経済的負担の軽減、早期の社会復帰など、わたしたちは、患者さんの負担を軽減する治療をめざしています。
肛門の疾患は、どうしても来院するのに抵抗があるものですが、受診された方は「早く来れば良かった」と仰ることが多いです。当外来では、「肛門の構造」「病気の説明」「具体的な治療法」などについて、図で分かりやすくご説明しています。
不快な症状や不明なことなどをお話しください。
いぼ痔(内痔核、外痔核)、切れ痔(裂肛れっこう)、痔ろうが、肛門の3大疾患とされています。
痔核は痔疾患のうち半数を占め、肛門の静脈叢の鬱血(うっけつ)と支持組織のゆるみに起因します。図のように、肛門と直腸のまわりの血管が膨らんでこぶ状になっています。肛門の内側にできるのが内痔核、外側にできるのが外痔核です。
裂肛は、「便」を排出するときに肛門部が裂けることで発症します。女性に多いのが特徴です。
痔ろうは、肛門の内側にあるクリプトと呼ばれるへこみから細菌が進入して発生します。肛門周囲に膿のたまりをつくって腫れ痛みをきたす場合もあります。(肛門周囲膿瘍といいます)
こちらは男性に多いという特徴があります。
痔核の症状には生活習慣が大きくかかわってきます。当科では生活指導を大切にしています。
痔核の手術には様々な手法があります。
ここに示したもの以外にも多くの術式があり病態に最適なやり方で治療をおこなっています。
半閉鎖式痔核結紮切除 |
再発が少ないのが特徴です。 |
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ジオン注(ALTA療法、四段階注射法) |
ALTAという薬剤で内痔核を硬化させて治します。 |
裂肛は排便のコントロールと薬物療法による保存的治療が主体です。
瘻管(痔ろうのトンネル)が肛門に近いところを走行する痔ろうに対して開放術式やシートン法(SETON法)を行います。
お尻に優しい暮らしを心がけましょう
お尻に快適な暮らしをおくることで病気を予防しましょう。
1.毎日おふろに入る
からだが温まって血行も良くなります。清潔に保つことが大切です。
2.排便は短時間に
トイレで座っている時間を短くすると肛門への負担を減らせます。目標は5分です。
3.便秘・下痢に注意
便秘で硬い便になると肛門を傷つけます。下痢は肛門を刺激し不潔にもなります。便でお困りの場合は外来で御相談ください。
4.トイレで強くいきまない
肛門が鬱血(うっけつ)したり、出血することがあります。
5.腰を冷やさない
腰を冷やすと肛門の血行が悪くなります。
6.座りっぱなしは良くない
座りっぱなしや立ちっぱなしは肛門が鬱血(うっけつ)しやすくなります。
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