佐野 統
- センター長
「リウマチ」という言葉は、広義には関節の痛みを伴う疾患の総称であり、「流れ」を意味するギリシヤ語に由来します。リウマチ性疾患には100種類以上の病気が知られていますが、我国では単にリウマチといえば、代表的疾患で患者数も多い関節リウマチという特定の病気をさします。また、膠原病は、全身の様々な臓器が同時に障害される炎症性疾患であり、自己免疫異常を基盤として、結合組織に病理学的異常が認められる病気の総称です。
この概念に当てはまる病気として、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、結節性多多発動脈炎、関節リウマチは代表的な膠原病です。
さらに、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、血管炎症候群(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病、ベーチェット病など、様々な病気が膠原病の仲間であると考えられています(表参照)。膠原病の多くは関節症状を高頻度に呈するため、リウマチ性疾患でもあります。
当科はこれらの病気を総合的に診断し、最適な治療を提供する診療科です。
膠原病・リウマチ性疾患は全身の様々な臓器を障害する病気であるため、患者さんはいろいろな診療科を受診します。しかし、膠原病やリウマチが疑われた時に、次にどうしたら良いか迷われることがあるのではないでしょうか。膠原病・リウマチ内科はそのような患者さんの受け皿となります。また、診断がついて既に治療が行われている患者さんでも、治療に難渋する場合や様々な合併症のためにお困りの場合には、どうぞ当科にご相談ください。膠原病・リウマチ性疾患は様々な領域の医療連携が大変重要です。
また、膠原病・リウマチ性疾患は、急性期には治療のために入院加療が必要となることもありますが、病気が良くなれば症状も落ち着いて日常生活に戻ることが可能です。このような場合には遠くの大きな病院に通院するよりも、近くのかかりつけ医で外来通院することのほうが、患者さんにとっては幸せなことも多いと思われます。定期的に連絡を取り合いながら、専門医とかかりつけ医の病病連携・病診連携を進めて、患者さんを双方向で診ることこそが、この領域ではこれから大切になっていきます。医仁会武田総合病院は、診療科間の医療連携と地域間の医療連携を充実させて、地域の膠原病・リウマチ性疾患の診療に貢献していきたいと考えています。
膠原病・リウマチ性疾患の本当の原因は、まだ完全には分かっていませんが、病気の発症メカニズムが次第に解明され、このような知見に基づく新しい治療方法が開発されています。関節リウマチでは、抗リウマチ薬と呼ばれる薬が治療の中心となりますが、近年は病態形成に強く関連する物質(炎症性サイトカイン)をピンポイントで制御する生物学的製剤、分子標的療法、JAK阻害薬が開発され、大きな成果を上げています。これらの薬は関節リウマチを寛解(日常生活をほとんど支障なく送れるようになること)に導く力が大きく、関節変形を抑えて機能障害を防いでくれます。
関節リウマチを除く多くの膠原病の治療には炎症と免疫を強力に抑えるステロイド(副腎皮質ホルモン)が第一選択薬として用いられます。病気・病態の種類によってきめ細かい使い方が確立されており、上手に使えば副作用を最小限に抑えて確実に病気をコントロールすることができます。ステロイドはゆっくり減らすことが極めて大切で、決して急に減らしたり中止したりしてはいけません。 ステロイドの効果が十分でない時や副作用などでステロイドを早く減らしたい時には免疫抑制薬や生物学的製剤などが用いられます。膠原病治療薬には多くの種類があり、病気・病態によって使い分けられます。
患者さんとともに考えて、一人一人に合った最適な治療法を適用するように心がけます。
当院の膠原病・リウマチ内科は週に4回(火、水、木、金)の外来診療を行っています。原則として予約制をとっていますが、予約なしでも受け付けています。
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