岸田 憲二
- 部長
当科は、小児の一般的・専門的疾患の診療、救急医療にも対応しています。
京都市南部・宇治市を中心に小児の一般的疾患および専門的疾患(小児循環器、小児神経、小児アレルギー喘息、アトピー、小児内分泌)の診療(外来、検査、入院)にあたっております。また、引き受けての少なく社会問題化している小児救急診療には病院の全面的な理解を得て、24時間体制で一次救急から三次救急まで対応できるようにしております。
2023年度の年間受け入れ患者数は外来全患者10,300人、時間外外来4,184人、入院496人でした。入院と時間外外来患者数は、ほぼコロナ以前にもどりましたが、少子化の急速な進行のためか外来全患者数はやや減少していました。
『誠意を持って、患者さんの要望に応えている』と言える診療を心がけています。
患者さんの多種多様なニーズに応えられるような診療体制を組んでいます。患者さんにとって昼夜問わずいつでも診てもらえることが一番で、極力それに応えるようにしています。
午前の一般外来は比較的時間的余裕があるので十分に時間をかけて診療しております。検査体制も整っており、患者さん・ご家族が納得される診療を心がけております。
午後は特殊専門外来(小児循環器、小児神経、小児アレルギー喘息・アトピー)の診療にあたっています。特殊専門外来は予約していただくと待ち時間が少なくなりますが、予約なしでも通常通り診療にあたります。
夜診は昼間の受診が困難なご家庭からの要望が大変多く、昼間の業務の継続として診療サービスしています。小児救急は時間内外を問わず、すべて受け入れ、救急部・外科・耳鼻科・脳外科・麻酔ICUなど関連他科と連携して対応しております。
当然、入院紹介依頼は可能な限り受け入れ、退院時には逆紹介を原則とし病診連携に努めています。当院で対応できないあるいは当院で診るべきではない疾患に対しましては、それぞれの専門病院に転送しております。
少子化が進み、ご家族にとってはもちろん、社会にとっても子供はきわめて大切な存在となっております。その結果小児診療に対するご家族や社会の要求水準も相当高いものとなっており、当然経験のある小児科専門医の診療を希望されます。この要求に応えるにはコストがかかりますが、病院の全面的な協力を得て対応しています。
血液疾患、悪性腫瘍など強力な最先端医療が必要な疾患の場合は大学病院などと連携して診療を進めます。未熟児・新生児や外科手術を要する心臓疾患なども専門病院や大学病院へ転送します。
小児科は総合小児診療科ですので外科・耳鼻科・眼科・皮膚科・産科・脳外科・麻酔ICUなど必要に応じて他科と協調して診療しております。
常勤医師3名すべてそれぞれ専門を持ちながら、お互い補完協力しチーム医療を行っています。3名は小児科専門医で小児科研修認定施設にもなっております。小児の疾患は時間との戦いとなることも多く、週2回のカンファレンス・回診の他、入院症例・問題のある外来症例は常時カンファレンスをして、時機を逸しない診断治療を心がけております。担当医が不在の時も、必ず代診を立てております。
京都大学小児科の全面的な協力を得て、常勤医・小児科当直医(小児科臨床経験3~5年以上のベテラン医師)による24時間体制を組んでおります。当直医だけでは対応できないときなど近隣の医師がすぐ応援に駆けつけることができるようにしております。
先天性心疾患、川崎病の治療・後遺症の管理、不整脈、学校心臓検診などを担当しています。重篤な先天性心疾患は新生児期に診断する必要があり、産科・産院と協力した診療体制を構築したいと考えています。動脈管開存などのカテーテル治療も行っております。
的確な抗アレルギー剤、ステロイド吸入など治療法の進歩により、喘息発作の軽減・消失が可能となってきています。夜間帯に発作が起こっても24時間診療体制ですので安心です。また、アトピー・食物アレルギーの診療も行っております。
痙攣性疾患、脳性麻痺、知的発育障害などをわずらっている小児を担当しています。中枢神経後遺障害は根本的に直せるものではありませんが、リハビリなど神経学的働きかけにより症状の軽減・生活の質を改善させることはある程度可能になっております。
小児の心身症、不登校、ひきこもり、社会適応障がい、発達障がい等でお困りの患者様・ご家族様の診療、カウンセリング等を行っております。
症例検討の評価は入院している間はカンファレンスの度に受ける(週2回以上)。クリティカルパスについては各疾患別に順次導入していく予定である。医療安全に関しては、インシデント・アクシデントが起こる度に、科内で十分検討し知識の刷新や情報の共有化に努め、医療事故防止を図っている。患者さんクレーム等についても関係医師のみならず、科全体の問題として検討・対処するようにしている。
個人情報に配慮して、特殊疾患の症例報告や、臨床研究を行っている。最近行った臨床研究は、小児救急・救急車搬送症例分析、川崎病治療解析、細菌性髄膜炎、マイコプラズマIgM迅速検査解析、乳幼児における結核接触者検診などである。
最新の診療知識・技術動向を知るためにも積極的に参加しています。日本小児科学会総会、京都小児科地方会をはじめ、日本小児循環器学会、川崎病学会、日本小児神経学会、日本小児アレルギー学会、日本小児感染症学会、日本小児救急医学会などに参加、研究成果を発表しています。
全国的な小児科医師不足の影響もあり、当科でも小児科常勤医師が減少、大学からは診療応援医師(主に当直など時間外診療)枠も削減され、現在の24時間365日の小児救急医療体制を維持するのが困難になってきております。できれば小児科後期研修医を複数確保し、研修終了後は常勤医として採用、地域の要望に応えていきたいと願っております。
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