伴 千秋
- 主任部長
当科は、安全を第一としたチーム医療を心がけております。
当院の産婦人科は、地域の基幹病院として救急疾患、合併症をもつ妊娠、悪性腫瘍、良性腫瘍の手術、その他の疾患を総合的に取り扱う役割を大切にしたいと考えています。大学病院などと異なり、各診療科とのチームワークに優れている事が、他の病院に勝る点で泌尿器科医や外科医と協力して手術に当ることも多々あります。
また、新生児に対しても、24時間小児科医師が常勤しております。残念ながら、現在はNICU、体外受精の必要がある患者さんは他院に紹介させていただいております。
当院は地域に根ざした、また地域の基幹病院として高度医療を提供することを主眼とし、合併症妊婦、救急医療、悪性腫瘍患者、内視鏡下手術などに対して、十分なインフォームドコンセントとわかりやすい説明、話しやすい女性医師、患者さんに優しいスタッフ、安全な医療を目指してチーム医療を心がけています。
地域の基幹病院として、近隣の開業医の先生方からの紹介はこの5~7年間にかなり増加しました。また最近の医療情勢としてセカンドオピニオンを受けたいという患者さんも増えており、当院から他の病院へセカンドオピニオンを受けに行くばかりではなく、セカンドオピニオンを受けに当院を受診する患者さんも増加しており、その対応も行っています。
当院は厚生労働大臣の指定する研修指定病院であるとともに、日本産科婦人科学会の専門医制度認定医研修指導施設として、また、母体保護法研修指導施設としても認可されており、5年間の研修医を養成しています。
また、10年以上前から、他院に先駆けて腹腔鏡下の手術を開始し、今日では良性腫瘍、子宮外妊娠の80%以上を腹腔鏡下に行い、低侵襲の手術を行っています。悪性腫瘍に関しては再発リスクを下げるため、国内では癌センターなど先進医療施設が行っている積極的リンパ節郭清術を早期癌にも行い治療成績を上げています。
しかし、医師不足のおり体外受精胚移植法や低出生体重児に対する集中治療施設、放射線治療施設を持たないため、そのような適応の患者さんは他院に紹介搬送を行っています。今年の5月から、宇治武田病院でトモセラピーという最新の放射線治療装置も稼働しましたので、悪性腫瘍の患者さんの治療の選択枝も広がってきております。
悪性腫瘍 |
ほとんど100%の本人への告知を基本とし、麻酔科、放射線科、臨床病理、外科、泌尿器科、消化器科など専門各科との連携を行い、診断、手術、抗癌化学療法(動脈内投与を含め)、集中治療室管理、武田免疫クリニックによるリンパ球免疫療法、ターミナルケアなどを行っています。 |
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良性腫瘍 |
腹腔鏡下の手術を中心に行っており、子宮外妊娠、子宮全摘出、子宮筋腫核出術などの難易度の高い内視鏡下手術を行っています。また、子宮鏡下の手術(ポリープ切除、筋腫核出術、内膜掻爬術)も行っています。 |
周産期 |
小児科を始め専門他科との連携をとり、周辺開業医師からの紹介などを中心として合併症妊娠の管理などを行っています。 |
不妊症 |
体外受精胚移植法をのぞいた不妊症の診断、治療を行っています。特に内視鏡下の卵管開窓術や、子宮内膜症に対する病巣除去術に力を入れています。 |
更年期対策 |
各外来でホルモン補充療法を始め、骨粗鬆症の診断治療、うつ傾向に対する薬物療法などを行っています。 |
救急医療 |
産婦人科救急医療のうち、呼吸管理を要する低出生体重児や呼吸器障害の新生児が生まれることが予測される場合をのぞいて、全面的に受け入れており、緊急手術件数も少なくありません。 |
チーム医療の推進、教育の目的に加え患者の安全を配慮して、クリ二カルパスの導入を進めてきましたが、現在80%の患者さんがクリニカルパスに適応して入院されています。また、毎週月曜日、術前、重傷者カンファレンスを行っています。時には、放射線科医師、小児科医師も参加してもらい検討会を行っています。化学療法のプロトコールなどもこの検討会で行います。臨床研修指定病院ですので、医学部卒業後2年目の研修医師がローテーションしています。彼らと共に、日々新しい知識や手技、患者さんとの接し方を学んでいます。
また、外来診察室の一角に内視鏡手術用のトレーニング装置を置き、いつでも内視鏡下の鉗子操作、縫合操作の練習ができるようにそろえています。さらに、年2回の新生児蘇生術の訓練を、挿管モデル人形を用いて、看護師、医師の参加によって行っています。
研修医の指導、訓練、勉強などについては別途研修指導要綱に詳細があります。
その他まれな症例について、報告を行っています。
低侵襲の手術としての応用だけでなく、開腹術では行えない分野の手術を行うべく、内視鏡下の手術法の改良を検討導入しかけています。(腹腔鏡下、後腹膜鏡下、子宮鏡下)
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