小島 康祐
- 部長
当科は、神経内科的救急医療を含む神経内科全般の専門診療を行っています。
脳神経内科では脳や脊髄、神経、筋肉の病気を扱います。体を動かしたり、感じたり、覚えたり、思い出したりすることが上手にできなくなった時に脳神経内科の病気を疑います。
実際の症状としては、しびれやめまい、手足に力が入らない、歩きにくい、ふらつく、つっぱる、ひきつけ、むせ、しゃべりにくい、ものが二重にみえる、頭痛、ものわすれ、意識障害、勝手に手足や体が動いてしまう、などたくさんあります。
具体的な病名としては、脳梗塞(脳の血管がつまる病気)や脳出血などの脳卒中、パーキンソン病、認知症、脳脊髄膜炎、片頭痛、めまい、けいれん発作、意識障害などが挙げられ、救急を要す病気から慢性的な病気までバラエティーに富んでいます。
当脳神経内科は脳神経内科としては地域の中核をなしており、6名の脳神経内科常勤医が脳神経内科全般についての超急性期治療を含む専門診療を行うことにより地域医療に貢献しています。特に超急性期の治療が後遺症に大きく関与する脳卒中(脳梗塞や脳出血)については、脳卒中治療専用の病棟である“脳卒中ケアユニット(ストローク・ケア・ユニット:SCU)”で早期から専門的な治療を行なっていることが大きな特徴です。また、当院は理学療法、作業療法、言語療法のリハビリテーション・スタッフが充実していることも特徴であり、早期社会復帰を目指すため、SCUに入室している時点から適切なリハビリを実施しています。
当脳神経内科の診療方針として、チーム医療を重視し、EBM(Evidence-Based Medicine)になどに基づいた診療を心がけ、医の倫理に沿ってインフォームド・コンセント(説明と同意)を行い、患者さんやそのご家族さまに診療についてのご理解を得られるよう、情報提供を行っています。
外来診療では、地域ドクターとの密接な連携により患者さんのスムーズな受け入れ、退院後の患者さんの管理を行っています。入院方針としては、(1)脳神経内科的急性期治療、(2)脳神経内科的精査、(3)脳神経内科的専門治療、などのいずれかの場合を適応としており、クリニカルパスなどを駆使して入院期間の短縮、患者さんの満足度の向上を目標としています。
医療安全対策としては、インシデント・レポートや転倒・転落のアセスメントなどを活用して医療事故・感染対策管理を行っています。脳神経内科では肉体的ハンディキャップや高次脳機能障害を後遺症として残すことが多いのですが、社会復帰の観点から患者さんを支援できるよう心がけています。
日本神経学会認定教育施設であり、6名の常勤スタッフが診療にあたっています。スタッフのうち4名は日本神経学会認定神経内科専門医で、そのうち2名は指導医の資格も取得しています。これに京都大学脳神経内科より派遣の数名の非常勤医師が診療に携わっています。
病棟では主治医制ですが、ひとりの患者さんについて脳神経内科のスタッフ全員で診断・治療について検討しています。すなわち、カンファレンス等でディスカッションを重ね、Evidence-Based Medicine (EBM) などに基づき、最も適切な治療を検討します。患者さんやご家族さまに情報を幅広くかつ詳細に提供させていただき、患者さん中心の医療を第一選択にしています。
種々の治療にもかかわらず不幸にして後遺症により人生の希望を失いかけた患者さんについては、医師・看護師・リハビリテーション・スタッフで構成するチームによる医療を提供させていただきます。患者さんのQOL(Quality of Life: 生活の質)を重視して人生に再び希望の光が灯るよう、患者さんやご家族さまと一緒に考えながらすすめさせていただきます。
脳神経内科の専門性・特殊性として下記の項目が挙げられます。
看護師、理学・作業・言語療法士との連携によりリハビリを行っています。
居宅支援事業所、地域ドクターとの連携により在宅医療を推進しています。
また、認知症の鑑別診断には近隣病院との連携も行っております。
1日平均外来患者数 | 50.9名 |
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1日平均入院患者数 | 14.0名 |
月平均新入院患者数 | 23.0名 |
最新の脳神経内科学の知識を共有すること、個々の症例を共有すること、教育、などを目的として、カンファレンスを週に2回(そのうちの1回は放射線科との合同)実施しています。なおカンファレンス終了時には連絡事項などのアナウンスを行い、脳神経内科スタッフ間のチームワークを大事にしています。
日本神経学会認定の専門医教育施設です。神経内科専門医希望者はもとより、ローテーターや医学生の学外実習(京都大学、徳島大学)にも積極的に協力していきます。病棟のマンツーマン指導、カンファレンス等への積極的参加により教育効果が期待できると考えています。
日々のちょっとした疑問を掘り下げることが医学に大きく貢献することもあります。神経学会総会、神経学会近畿地方会への発表、誌上発表を推進していきます。
新しい薬の開発は人類の財産になるとの観点から、第Ⅱ相、第Ⅲ相の治験に協力していきます。
脳神経内科として心のこもった診療を行うことは勿論、医療情勢にも目を向け、コスト・パーフォーマンスに優れた診療を行います。診療内容の充実を念頭において、(1)在院日数の短縮、(2)病診連携の強化、(3)クリニカルパスの作成・使用、などを検討していきます。
脳神経内科は診断学が主で、治療のできない病気が多いと言われてきました。しかしながら、最近、脳神経内科は治療のできる病気が多くなって来ています。例えば、下記などが直ぐに挙げられます。
これらの中でパーキンソン病に対する深部脳刺激療法は大学病院との連携での実施になりますが、その他の治療はもちろんすべて当脳神経内科で治療可能です。患者さんのQOL(Quality of Life: 生活の質)を念頭に置いて今後も積極的に取り組んで行きます。
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