中谷 壽男
- 顧問
あらゆる診療科の救急患者の初期診療に当たります。ただし、小児科、産婦人科や、特殊科は、当センターで応需した後、ただちに各科専門医による診療が行われます。
当院に救急専従医が着任したのは2014年からであり、それまでは院内全科が協力して救急搬入に対応しておりました。そのため、救急専従医が初期診療に当たる現在でも、院内の救急に対するバックアップ体制は堅く、内科系10診療科、外科系は歯科口腔外科をも含めた全科による応援態勢が敷かれているため、当直時間帯を除いては“専門外”を理由に受入を断ることはなく、物理的に不可能でなければ全例応需を原則にしております。
救急医は初期診療を担当し、入院や手術などの根本治療は、院内各科に引き継いで診療を継続することになります。
コロナ禍で減少した令和2、3年度を除く、過去数年間の年間平均実績としては、いずれも概数ですが救急車搬入は4,300件、内訳は内因性救急疾患3,000例、外因性救急疾患1,300例、CPA60例、小児及び特殊科220例(特殊科、小児科などの30年度実数は、小児科144、産婦人科10、精神科48、泌尿器科10、眼科1、耳鼻科4など)。救急車搬送患者のうち入院したもの2,140例、そのうち集中治療室収容患者は245例です。
なお、救急車搬送ではなく、ウオークインで各科当直医等が対応した時間外患者は、上記とは別に概数で内因性疾患12,100例、外因性疾患3,900例、小児及び特殊救急3,700例、入院患者2,000例などとなっており、これらは救急医療センターとは別に各科当直医が診療しております。
日本専門医機構が定める専門医の中では、救急科専門医に加えて、外科専門医、脳神経外科専門医、心臓血管外科専門医、その他の各学会認定の専門性として脳卒中学会専門医、中毒学会専門医(クリニカルトキシコロジスト)の資格を有するスタッフが在籍して広く救急領域をカバーしています。
加えて、院内全科によるバックアップ体制により、高度な専門性を要する病態にも対応しております。
当院には現在9名の救急救命士が在籍しており、医師や看護師などのタスクシェアリングへ大きく貢献しています。
今後はさらなる救急体制強化のため新たに導入された高規格救急車を活用し、近隣の介護施設や診療所からの救急患者搬送・病院間の転院搬送に力を入れていまいります。
地域に根ざした救急医療を行うためには、“断らない救急を”実践することが重要です。
しかしながら、現状では、救急搬送が集中すると応需できない場合があり、またまだまだ脆弱な夜間の救急体制を充実させて行くことが必要であり、救急医の増員などによる夜間救急体制の拡充を図りたいところです。
また、地域の医療機関との連携も重要であり、地域の救急医療機関や精神科病院と連携した研究会、地域消防との勉強会、救命士養成にあたる消防学校への教員の派遣や実習生の受入も積極的に行っております。
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