02. おしりやももの付け根が痛いのは―仙腸関節障害かも―

仙腸関節(せんちょうかんせつ)とは?

仙腸関節とは、骨盤の骨のひとつである仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間にある関節です。通常は靭帯(じんたい)で強固に固定されていますが、出産や外傷、腰の手術などをきっかけに、ゆるんで不安定な状態になることがあります。そうなると、体の動きに伴ってこの関節が動いた時に痛みが出るようになります。これが仙腸関節障害です。

【写真1】 骨盤を正面から見たところ左の写真の赤丸が仙腸関節です。この関節は普段はほとんど動きませんが、不安定になりグラグラすると、痛みの原因となります。動くといってもわずかな動きですので、レントゲンやCT、MRIでは診断することができません。患者さんの痛みの訴えや触診で診断します。

仙腸関節は、どこにありますか?

イラスト1では、牛乳を飲むときに腰に手を当てています。このとき腰に添えた親指があたる場所が腸骨です。この腸骨の続きで、内側のお尻よりが仙腸関節のある位置です。イラスト2では、丸で囲んでいる場所(矢印で示している場所)です。

仙腸関節障害では、どんな症状が出ますか?

仙腸関節の周囲に痛みが出ます。また、臀部(でんぶ、お尻)や鼡径部(そけいぶ、足の付け根)の痛み、場合によっては坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)のような足の痛みが出ることもあります。痛みは右か左の片方だけの場合もありますし、左右両方に出る場合もあります。

仙腸関節障害には、どんな治療がありますか?

まずは安静にして、鎮痛剤(痛み止め)や骨盤ゴムベルトなどを使用した保存的治療を行います。痛みが改善しない場合は、仙腸関節ブロックと言われる、仙腸関節に部分麻酔薬を注射する治療を行います。多くの場合、ブロックで改善がみられます。ブロックを繰り返しても痛みの改善がみられない場合は、仙腸関節を固定する手術を考慮することもあります。

脳神経外科 川西 昌浩

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