01. 気をつけないといけない頭痛―くも膜下出血―
- 2019.05.24
- お知らせ
気をつけるべき、くも膜下出血の早期発見のため
頭痛は誰にでも起こる症状ですが、頭痛が起こった時に最初に思い浮かべないといけない病気、それが、くも膜下出血です。
くも膜下出血とは、どんな病気?
くも膜下出血は、脳の表面や隙間を覆う膜(くも膜)に包まれた血管に生じた、こぶ状のふくらみが破裂して生じる病気です。
通常、初めの出血の後に一旦は止血しますが、様子観察だけで経過した場合、高い割合で2度目の出血を起こして重症化するため、原則として手術が必要となります。
およその生存率は70%で死亡率が30%と高く、基本的には病状はよくありません。しかし、発症時に軽症の患者さんは手術の治療成績も良好で、社会復帰できる方が50%程度と言われているため、早期の受診と適切な診断、治療が望まれます。
くも膜下出血のよくある症状とは?
患者さんの80%は、『突然の、これまで経験したことのない激烈な頭痛』で救急搬送されます。脳出血とは異なり麻痺などに至ることは少ないため、歩いて来院される方もおられます。
これまでの研究によると、仕事や家事中などに突然に生じ、1時間以内 (大抵は1分以内)に痛みの程度がピークになる頭痛で、首の後ろの痛みやこわばりを感じたり、意識を失いそうになったり、血圧が高くなっている場合には要注意とされます。
どんなときに病院を受診したほうがいい?
①40歳以上の方が、②首の痛みや首が曲がりにくい、または、一瞬、意識を失った、または、労作(身体を動かしている)時に生じた、③ただちに痛みがピークに達する頭痛を自覚したような場合は、頭部のCT検査を含めて病院を受診することをお勧めします。
【参考文献】オタワくも膜下出血ルール
Perry JJ et al. Clinical decision rules to rule out subarachnoid hemorrhage for acute headache. JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55.
脳神経外科 川西 昌浩、田中 秀一