武田病院グループ理事長 武田隆久
【トピックス】
武田病院グループ 理事長
武田 隆久
生命科学をはじめ様々な科学分野の発展は、医療界においても革新的な治療アプローチを生み出しています。武田病院グループでも、こうした最先端の研究と治療現場をつなぐ努力を絶えず行っています。
人類繁栄の歴史は医療発展の歴史先人にならって絶えず研究・進歩
めざましい進化を遂げる医療ですが、なお、治癒が困難であったり、治療そのものの糸口が掴めていない疾患は、皆さんが想像される以上にたくさんあります。
パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)などは比較的知られていますが、一般に「難病」と呼ばれるものでは、国が指定する難病が110疾患もあります。また、特定疾患と呼ばれる臨床調査研究分野の対象のものですと130疾患。これ以外にも指定を受けていないが治療の難しい疾患が多くあります。
また、いわゆる難病ではありませんが、完治や治療が難しいものでは、「がん」や「心筋細胞(一度成熟すると細胞分裂しない)」が代表的です。
人類の繁栄の歴史は、見方によっては病気の治療や疾患にかからないための公衆衛生の歴史とも言えます。 素晴らしい先人達が、当時、多くの人を悩ませた病気治療に挑み、抗生物質やワクチン・麻酔などの薬剤、あるいはX線透視などの検査機器など、様々な分野で道を拓いてきました。
こうした精神は現代にも受け継がれ、基礎医学分野、臨床分野、それ以外でも絶えず研究が続けられています。
1日も早い治療の実現へ先端医療の取り組みを紹介
一口に研究と言いましてもそこには様々な内容があり、なかには大きな飛躍が期待される、まさに革新的なものがあります。
3月にはここ京都で、日本の最先端医療の恩恵を多くの人々に受けてもらう、先進医療推進機構(AMPO)と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の共催シンポジウム『先端医療~治らない病気への挑戦~』が開催されましたので、ご紹介します。
当日はまず、藤堂具紀教授(東京大学医科学研究所先端医療研究センター先端がん治療分野)が登壇し、抗がん機能を有する遺伝子組み換えによるヘルペスウイルスを新たに開発、治療薬(G47Δ)として昨年末から治験(医薬品承認申請への臨床試験)に臨んでいることを発表されました。
次に、澤芳樹教授(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学)が、人工心臓や自己筋芽細胞シート、iPS細胞からの治療用細胞シートが今後、重症心不全患者さんへ大きな福音となることを報告しました。
このiPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所所長)は、iPS細胞によるパーキンソン病の臨床を目前にした、高橋淳教授ら同研究所での成果を披露しました。
また、同じ京都大学iPS細胞研究所の藤田みさお准教授がiPS細胞の倫理面について講演。その後、客席からの質問を受け、重い病気や症状に苦しんでいる患者さんや医療関係者の問いに対し、各講演者が丁寧に答えました。
今回、私は大会長としてこの先端医学推進フォーラムに関わりましたが、これら素晴らしい研究成果や治療の現状を周知するお手伝いが出来て本当に良かったと感じています。難病や重度の疾患に苦しんでおられる患者さんに、1日も早く治療を実施していただくことが出来るよう、研究分野と治療現場をつなぐ役割を担っていきたいと考えています。
これら最先端の医療をそれぞれの地域で提供することが出来るよう、当グル―プも一丸となって邁進してまいります。
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