武田病院グループ副理事長 武田道子
【VOICE】
武田病院グループ 副理事長
康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
武田 道子
■年頭にあたり
2015年いよいよ我国は人口の減少、少子高齢化の時代に突入いたします。世界一長寿国ではありますが、財政赤字の制約と云う要因を抱え、大変な年を迎えることになりました。
医学医療の発展には、国民の医療への理解が欠かせない条件になってま いります。今や救急医療に於いても、医療体制を再検討しなければならない時が来て居ります。年中開いていると云うことで、夜間に行けば待たなくて診てもらえると云った考え方の人が、多くなってまいりました。今後は病院の機能分化や集約化など、地域の状態に合った医療体制を考えて行かねばなりません。
患者さんのコンビニ受診、あまりにも過度の専門医志向、更に過度のクレーマー化された医療訴訟のリスクの増大等、いろいろの原因できびしい時期に来て居ります。あまりにも細分化された専門医の育成に力を入れて来た結果として、家庭医の育成がおろそかになって来て居ります。高齢化が進む中、今家庭医の育成が必要となってまいりました。高齢者の方々を病院施設から家庭へ帰すと云うのが政府の方針です。当然、何でもこなせる相談できる医師が必要となってまいります。高度先進医療の進む中、人間はいくつ迄生きられるか、100才のハードルは簡単に越えられるかと云う時代になりました。ここに来て総合診療科が必要となり、大学でも育成がはじまって居ります。
2014年の平均寿命は男性80・21才、女性86・61才と年毎に微妙に増加して居ります。当然、介護医療費は増加してまいります。政府は医療費の削減を考え、病気の予防、早期発見、早期治療を推進して居ります。その為には健康診断を受けるように指導して居ります。職場では1年に1回、御家庭に居られる方は成人病健診を自ら受けるように、と申して居ります。早期発見すれば胃癌でも内視鏡で手術できますし、白内障などは日帰り手術で出来るようになりました。胆石も三つ孔をあけるだけでとり出せます。
さて、介護給付費は前年度比6・5%増の8兆1283億円(2012年度)。1人当りの給付費は2・5%増の26万3000円とますます増加して来て居ります。2013年度介護サービス利用者は566万500人と発表され、今後ますます延びて行くことが考えられます。私達、医療人は患者さんを大切に、患者さんに安心して治療をうけて頂き、自らも納得出来る医療を追求してまいりたいと思います。
さて、来年も医療・介護の世界は厳しいことと存じます。介護費の減額、食事・部屋代は支払っていただく、特養は介護認定3以上しか入所できないとか。しかし、今は、選挙になりましたので、マイナスのお話は中断することでしょう。医療運営の根幹をなすのは、良質の医療とインフォームドコンセント、そして良い医療と経営の両輪であることを理解する必要があります。徹底したデータの分析により、病院の強みを把握し、より専門に特化した質の高い医療を提供できる病院を目指した取り組みを強くしてまいりたいと存じます。
裏表のない組織づくりで一番大事なことは、コミュニケーションです。医療経営方針では経営の方向性を間違えない、安定した経営を図ること、チーム医療の活性化を目標に医療チームの交流を図ることです。よい医療と経営は車の両輪です。これは職員の方にも理解していただく必要があります。
過去、現在、未来に於ける病院のミッション、ビジョンを共有し、職員全体が同じ目標に向って将来をしっかりと見つめ、現在の病院の立場を理解し、変化に対応して行くことを目ざして、今年もプラス思考で前進してまいりたいと思います。
2014年12月吉日
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