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たけだ通信 No.105(8月発行)

武田病院グループ理事長 武田隆久

肥満外科外来・NK療法をスタート病気予防から新たな治療分野の開拓まで地域での健康増進に向けた取り組み

photo_rijicho.jpg【トピックス】
武田病院グループ 理事長
 武田 隆久

日本人の死因の第1位は「がん」。第2位は脳梗塞や脳出血などの「脳卒中」。第3位は心筋梗塞や狭心症などの心臓病です。この、2位と3位はどちらも動脈硬化や高血圧、脂質異常症などが大きな危険因子であり「肥満」が大きく影響していると考えられ、1位のがんと「肥満」についての研究も進んでいます。今回は、武田病院グループが取り組む「肥満外来」とがんの「免疫治療」についてご紹介いたします。

肥満外科外来を開設最新の治療法を行う

胃切除のイメージ

厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査によると、日本人の肥満の割合は男性が30.3%、女性が21.5%となっています。

男性は40歳代が34.8%と最も高く、次いで50歳代が33.4%となっています。

これに対し女性は年齢が上がるにつれて肥満の割合も高くなり、70歳以上が26.4%と最も高くなっています。

肥満は動脈硬化や高血圧、脂質異常症など多くの生活習慣病の原因となるため、特定健診や特定保健指導など国をあげての取り組みが進められていますが、依然として「肥満」やこれに起因する「疾患」は増え続けているのが現状です。医療機関はこれまで以上に予防・治療に関わっていくことが求められていると言えるでしょう。

こうしたことから武田病院グループは、医仁会武田総合病院に「肥満外科外来」を開設。肥満についてお悩みの患者さんを対象に、専門家である医師が積極的に支援させていただいています。

とくに、今年の4月からは、肥満治療として行われる「スリーブ手術」が医療保険の対象として認められるようになりました。スリーブ手術とは胃をバナナ程の大きさに切除する手術です。胃の容量は10分の1ほどに縮小しますので、食事摂取量が制限されます。他の治療法に比べ、栄養吸収機能障害がほとんどなく治療効果も高いという特徴があります。

肥満治療には外科手術だけでなく、内科(服薬)、そして栄養、運動と様々な手法があります。患者さんと一緒になって最適な治療を考えていきたと思います。

BMI 計算式 肥満度の判定基

NK細胞による免疫療法をたけだ診療所で開始

国の統計によると、がんの罹患者数、死亡者数は増加の一途をたどっています。主な要因は高齢化で、実はこの影響を除いた年齢調整率で見ると、罹患者数は増えているものの、死亡数は減少してきています。

がん検診の普及や高度化する治療技術など、がん医療はまさに日進月歩と言えます。

その最先端とも言える「がん免疫細胞療法」に、当グループのたけだ診療所(免疫・遺伝子クリニック)は取り組んでいます。

身体の中では、日に数千個のがん細胞が自然発生していると言われています。健康な時は免疫力が自然発生するがん細胞を死滅させ、がんの発症を抑えますが、加齢等により免疫力が弱まるとがんが発症すると考えられています。

がんを抑制する免疫のメカニズムは多くありますが、たけだ診療所では治療効果が高いとされる「NK(ナチュラルキラー)細胞」に注目。京都府立医科大学と連携し、NK細胞による免疫療法を6月から開始しました。

これは、タカラバイオ株式会社が開発した培養技術を用いて行うもので、実施施設は同大学と当院を含め全国で3施設のみです。この培養技術で培養したNK細胞は高純度であるため、今後の治療の成果に期待をかけています。

免疫治療は、内科治療、外科治療、放射線治療とは異なり、劇的な変化をもたらすものではありませんが、身体への負担が少なく治療効果を高める手法として注目を集めています。 当グループでは、がんの予防や検診による早期発見、そして先端治療など幅広い分野で努力し、ひとりでも多くの命を助けることが出来るよう努めてまいります。

BMI( 体重kg÷身長m÷身長m) が35以上で、糖尿病、高血圧症、脂質異常症のうち1つ以上を伴っている方です。ただし、過去にBMIが35 以上で、食事療法などで現在35以下になっているが、今後有効な食事療法が継続できない場合や半年以上内科的治療を行っても十分な効果が得られない肥満症の方が対象となります。

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