武田病院グループ副理事長 武田道子
【エッセー】
武田病院グループ 副理事長
康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
武田 道子
■総合的診療科の必要性
今、ゲート・キーパー的な役割を持った医師が必要であると云う考え方が浮上して来て居ります。私はずっと以前からその必要性を痛感してまいりました。そして、総合診として、どの科を受診してよいかわからない方とよくお話しをして、適切な専門科へ紹介することを心がけてまいりました。
専門化が進む中で、総合的な診療科が重要です。総合科の定義としては 内科、小児科等、幅広い領域について総合的に高度な診断能力を有する診療科 とされて居ります。高齢化が進む中、複数の合併症を持つ患者さんが多く、どこを受診してよいか、又一人の医師では対応出来ないことなど 総合診療科 と云う考え方から、打ち出されて来たのが現状です。
その考え方は病院によって多少異なりますが、一般病院では初診の方の受け入れと、先ず訴えを聞いて適切な専門科へまわすと云う振り分けの機能が主であり、ちょっとした感冒症状や腹部の症状に対応したり、総合的な検査をする診療科であります。
これは地域密着型の医師の責務と考えられます。最近は大学でも総合診療科を置くところが出てまいりました。何らかの不安を持って病院の門をくぐられた患者さんに対して充分訴えを聞き、柔軟に対応出来るコミュニケーションがはかれる能力が求められて居ります。あまりにも専門化が進みますと、一般的な患者さんは診ないと云う若い医師も出てまいりました。専門医である前に広く診療出来る医師でありたいと思います。このお役目は一般には かかりつけ医 が分担していただきたいものです。そして適切な専門科へ紹介して頂くのが理想です。かかりつけ医のスキルアップにより総合的な診療が出来る医師の育成について医道審でも検討が始まってまいりました。今後 家庭医療専門医 の認定を行って行く方針が示されていると伺って居ります。日本プライマリー・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療学会の3学会で認定を行ってゆくことになるようです。
これは患者様中心の医療提供体制の構築の為、 総合的な視点に立った診療を行う医師、医療機関 が必要と云う提言が行われて居ります。
高齢化が進む中、複数疾患を持つ後期高齢者を総合的に診る医師の必要性が問われて居ります。
医療政策の今後の課題であることは間違いありません。将来的には地域に総合医がいて病院は入院と専門外来を担当する方向になるべきでしょう。
高齢化が進み医療費が増加すると、政府は、しめつけをきびしくして来て居りますが、この世界一長寿国日本です。無病息災は殆ど考えられません。みんな一病息災、二病息災で元気に過ごして居られます。つまり病気と共生、お薬をのみながらお元気に日常生活を送って居られるのです。
今、予防医学が大切だと云われて居ります。予防の段階から考えて行く時代です。若い時から心がけて行くものであり、今すぐ出来るものではありません。折角、いただいた長い人生を元気に楽しく過ごして行ける社会でありたいと思います。その為には右脳時代、趣味に芸術に更に人との出合いを大切にして行きたいと願うところです。
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