武田病院グループ副理事長 武田道子
【エッセー】
武田病院グループ 副理事長
康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
武田 道子
■人生を上手に老いるには
世界一長寿国日本。世界一少子国日本。
すべて一番がよいとは限りません。この問題は、我国の未来にとりましては、大変な問題です。国民の4人に1人が65以上。2012年には3000万人の方が65歳以上になると云われて居ります。
医学の勝利とも云われる長寿は、すばらしいことではあります。人生80年と云われたのが昔のようになり、90年100年と手が届きそうになってまいりました。
一方、微妙に延びている出生率は、1.37に達したとはいえ、1人っ子時代に変わりはありません。結婚しない人、子供を産まない人が増えて来て居る中で、第3子が産まれてこそ、人口の減少を食い止めることが出来るのです。
今や、長くなった人生をいかに上手に老いることが出来るかと云うことを考えねばなりません。
人は誰しも無病息災を願わない人はありません。しかし、無病の方は、ほとんど居られません。一病、二病息災で元気に暮らして居られます。これは、病気と共生して居られることになります。
皆様、何らかのお薬をのんで居られることと思います。お薬でなくても、限りなくお薬に近いサプリメントや健康食品を食べて居られることと存じます。
人生は健康第一、長くなった人生を有意義に暮らしてこそ、本当のけんこうの意義があるのです。
65歳定年と申しましても、最近の老人は、体力気力共に50歳代の方と全く変りません。充分働く能力と意欲を持った高齢者が増えてまいりました。この方々が生産者側に入って頂ければ、我国が元気になれるのです。高齢者の方も自立した生活を送り、自分の能力を生かし、社会に貢献して下されば、収入もあり豊かな人生を送ることが出来るのです。
健康であると云うことは、体を思うように動かせることを意味します。今や75才以上を新老人と云う時代です。社会経済の発展のカギは、活動的な高齢者にあると云っても過言ではありません。少子高齢化社会、人口減少の社会に突入する我国の戦略は、供給面では生産の伸びであり、需要面では人口減少で、縮小しかねない消費マーケットの拡充であります。お年寄りが、お金をつかいたいと思うような価値の創出をセットしなければなりません。
後期高齢者と云うような年令で人を区別することは、やめるべきです。労働や社会参加が出来ることをよろこび、尊ぶ社会でなければなりません。生きがいを感じている老人は、健康であり、ボケることもありません。
元気で働く高齢者の増加こそ超高齢化社会の負担の問題を解決するカギなのです。
高齢者の方々が健康を保つ為には、運動と共に病気の予防、早期発見、早期治療が必要です。又、真の健康は、精神面でも健康でなければなりません。ボケない為には、社会との関係を保つことです。地域活動やボランティア活動をするのがよいとされて居ります。すぐれた技をお持ちの方は、職場で指導して頂くことが、最良の健康を保つことにつながります。
社会の経験を積み、生活の知恵もある元気な高齢者の方々が、積極的に活動に参加して下さり、又、社会もそのような方が働きやすいようにして下さることをお願いしたいと思います。このように考えて行けば、高齢化社会もバラ色の人生に変身することが出来るのです。
さて、最も簡単に出来る健康法は、先ず歩くこと。そして笑うことです。どちらも免疫力を高まる効果があり、癌にも効果があると云うことが実証されて居ります。健康への危険因子としては、喫煙、肥満、運動不足の3つが挙げられます。BMI(Body mass index)は、体重を身長×身長で割った数値で、25以上を肥満傾向、30以上を肥満として採用されて居ります。煙草はやめること。お酒はほどほどに。食生活面では、野菜や果物を沢山とり、脂肪は控え目に。背の青いお魚と脂肪をおとしたお肉をとることです。勿論、塩分は控え目に10g以下。理想は6~7gでしょう。
以上をひと口でまとめれば、"3つのかく"となります"汗をかく"、"ものをかく"、"恥をかく"です。運動をすれば汗をかく、絵をかく、字をかく、音楽を聞けば右脳に入って気分爽快となり、人と会えば恥もかくと云うことです。人生アンチエイジングではなくて、ウィズエイジングでよいのではないでしょうか。
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