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たけだ通信 No.102 (6月発行)

武田病院グループ副理事長 武田道子

高齢化社会(介護する人・される人)

photo_fukurijicho.jpg【エッセー】
武田病院グループ 副理事長
康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
 武田 道子

■高齢化社会(介護する人・される人)

急速な高齢化、少子化、65才以上の方が3000万人を突破。一方で、人口の減少が続き、28万4000人の減少となり、介護予防の重要性が増加してまいりました。昨年は100才以上の方が、5万1000人を越えました。世界一長寿国を保って来た我国ですが、27年ぶりに女性が2位に転落しました。男性は8位です。この主な原因は、東日本大震災と若者の自殺だと云われて居ります。しかし、やはり我国は長寿国、世界一の長寿者は、男女共に日本人です。

さて病気にならずに、天寿をまっとうすることは可能でしょうか。それは、生活習慣を改めれば可能でしょう。栄養・運動・休養のバランスが大切です。上手に老いること、それは体も心も、元気でなければなりません。健康であること、それは、体を思うように動かせることです。健康は自分自身で守るもの。早くから予防に務め、健康診断を受け、病気の早期発見、早期治療を行えば健康で長生き出来るのです。医学の進歩で、日帰えり手術も多くなり、すぐに社会復帰が出来る時代になりました。

しかし、無病息災は不可能でしょう。一病息災、二病息災でよいのです。つまり、病気と共生して、日常生活に不自由なく過ごして行けばよいのです。政府は在宅支援をすすめて、病院、施設から家庭へ帰えすことを推奨して居ります。

しかし、少子高齢化の核家族化された、我国では、むつかしいのが現実なのです。老老介護では、共倒れになってしまう方が沢山いらっしゃいます。そこで、これからは、子供も老人も社会の手でみることです。

介護する人と介護される人にとって、やさしく、あまり頑張らないで長続きする生活を考えて行かねばなりません。介護は、どうして大変なのでしょうか。答えは、食事、排泄と自分ともう一人の命を背負うわけですから、大変でないわけではありません。自分の体の世話をするのでも大変ですから、ひとりで頑張ることは、自分の命を削って居るのです。

これでは、長続きはしません。体の悲鳴は心の悲鳴につながり、大切な笑顔が消えてしまいます。介護と同時進行で、自分の人生を生きること。それには、どのようにして、時間を作り出せばよいか考えなければなりません。

介護には、時間もエネルギーも使いはたしますが、自分の時間をつくり出すことが、介護を楽しくする第一歩なのです。決して、介護を犠牲と思わないことです。介護は生活の一部であり、完全な介護はありません。お互いに、ほどほどの自由が許される環境で介護生活を送らねばなりません。介護の為に、趣味も仕事も、止めてしまう方がありますが、介護しながら、わずかの時間でも自分の夢につながる時間をつくる工夫が必要です。一人で介護をして居りますと、何故自分だけが、こんな苦労しなければならないのかと、云われる方があります。そのような時は、同じ立場の人とお話をすることで気分が楽になります。わかってくれる人が居る、助けてくれる人が居ると思うと、元気が出て来ます。介護度があがると、核家族化された我国では、家族での介護力では、やって行けません。介護する人、される人もお互いに頑張り過ぎない、頑張らせない介護生活を目ざしたいものです。それには、社会全体で支援することが必要です。介護保険の導入によって介護の世界は、改善されて来
ました。老化はさけて通ることは出来ません。止めることも出来ません。しかし、遅らせることは出来るのです。楽しい生活を送りながら、介護するには、デイサービスや老人施設を上手に使っていただくことです。

長寿の秘訣は、三食たべて、みんなと唄ったり、笑ったりする生活を送ることです。独食が一番いけないと云われて居りますが、施設では必して、独りにはさせません。ボランティアの方といろいろなことを楽しんでいただけます。昔のように親をあづけたりしてと、云われることもなくなりました。

t-tsushin102.huku1.jpg長い月日ですので、介護を続けて行くには、三つのところを上手に使うことです。即ち、自宅とケア施設と病院の三ヶ所を、行ったり来たりすることです。介護者が息抜きをしないと疲労してしまいます。ショートステイを御利用されると、手・足が不自由でも、みんなと一緒に頑張って食べたり、歩いたりしている人を見て、自分も頑張ろうと云う気になって帰宅し、これが、要介護者の刺激になります。病院へ入院しますと、元気になっていただく為に、食事介助もしてくれます。長い病院生活を過ごしますと、自分で食べないようになったりして、長く居るのはよくありません。自宅とケア施設と病院の三角関係をうまく活用することこそ、大切なのです。

介護現場では、介護者をささえてくれる一番の協力者は、要介護者、つまり介護されるお年寄りなのです。介護する人の大変さをわかってくれ、同時に介護される側の気持も察しながら、お世話することを心がけることです。両者から、笑顔が消えないことを願いたいと思います。

介護保険制度が導入され、介護認定を受けるといろいろの介護が受けられます。訪問介護サービス、訪問看護サービス、デイサービス、ショートステイ等、沢山のサービスがあります。ケアマネさんがたてた、ケアプランに基づき、ヘルパーさんは、入浴、食事介助、しものお世話、洗濯、掃除などを提供してくれます。これらのサービスを上手に使って、お互いに"あなたに会えてよかった"と思える関係を結びたいと思います。

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