武田病院グループ理事長 武田隆久
【VOICE】
武田病院グループ 理事長
武田 隆久
《年頭所感》
グループ一丸となり"汗馬の労"
寄り添う医療・介護を高める善き年へ
昨年を振り替えると、脳卒中ケアユニットの算定、回復期リハビリテーション病棟の充実、居宅介護支援事業所の拡大や在宅介護サービスの充実など、救急・急性期医療から在宅医療・介護に至る、一貫した患者さんのサポート体制の強化に努めた1年でした。2014年はこれに加えマインド部分もさらに高め、地域の皆様に心から寄り添う武田病院グループとなるよう努めてまいります。
■「輪」の年となった2013年 2014年の医療はどうなる?
2013年を表す漢字は「輪」でした。2020年の東京オリンピック開催が決まったり、富士山の世界文化遺産登録、サッカーワールドカップの日本の出場が決まるなど、「日本が輪となり歓喜に沸いた年」とのことです。
このほか、京都でも大きな被害をもたらした台風18号など災害に対する支援の輪の広がりが印象的だったのではないでしょうか。
また、政権が再び交代し、経済面では一応の成果を収めながら2013年を締めくくったことも昨年を象徴する出来事だと感じます。
医療に目を転じてみれば、アベノミクスの「三本の矢」ではありませんが、病院経営の自由化、企業資本の流入を図ろうとする規制緩和の矢が放たれようとしています。「持ち株会社病院」の検討がそのあらわれで、医療と介護施設の効率的な配置を促すため、地域の複数病院をホールディングカンパニー(持ち株会社)化し、非営利法人での施設運営を推し進めようというものです。医療界に対する財務省を中心とする見方は、やはり厳しいものがあります。
また、注目される今年度の診療報酬改定については、8%となる消費税の手当て分を除けば、実質1.25%の減という非常に厳しい改定率となりました。報酬内容も、これまで以上に選択・集中がなされる厳しいものとなるでしょう。
■地域の声に応えながら 医療・介護サービスをさらに充実
この代表とも言えるのが、「社会保障と税の一体改革」が示す病床機能分化です。ご存知の通り、現在の病床分布はワイングラスのように極端に急性期が多い状況となっています。これを(ヤクルト型のように)なだらかにし、とりわけ急性期を脱した"亜急性期"の病床を厚くして、在宅復帰・在宅生活の支援や急変時の受け入れを行う機能を強化していこうというものです。
めざしているのは、在宅医療・介護の限界値引き上げです。これにより入院・入所数を減らし社会保障費の伸びを抑制しようという考えです。今回の診療報酬改定だけでなく、2年後の改定でも継続していく見通しです。
ここで武田病院グループの動きに目を向けてみると、いわゆる7対1看護に代表される超急性・急性期の充実だけでなく、亜急性期・回復期の拡大に向けた展開を既に何年も前から取り組んでいます。
さらに、4月からは宇治市で地域密着型サービスを中心とした在宅支援の拠点を開設するなど、在宅サービスの充実を準備してまいりました。
これらは、国の報酬点数による誘導施策以前に、患者さんの高齢化や地域ニーズへの対応から生まれた動きであり、必要な医療、必要な介護を提供する取り組みが自然と国の政策に一致していくという現れでしょう。今後も報酬評価にとらわれず、あくまで患者さん、ご家族など地域の方を中心に、病院グループの機能を柔軟に対応させていく考えです。
また昨年は、医仁会武田総合病院、宇治武田病院と宇治武田病院健診センター、稲荷山病院で、機能評価の更新審査を受けました。今年も各施設で審査を継続し、第三者の評価に値する病院・施設運営に力を注ぎ、質の向上にも努めていきます。
今年は午年。働くことへの汗を厭わない「汗馬の労」のいわれがあります。才知才能に富み、活動的チャンスにも恵まれ、低迷期の後すぐに上昇するそうです。グループ職員が一丸となり"汗馬の労"、そして"走り馬にも鞭"で医療・介護サービスの質をさらに高めるとともに、地域の皆様に大きく貢献できる年となることを祈念いたします。
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