アスニー京都で開催される、武田病院グループのスタッフによる健康講座です。
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。
冬がやってきます〜風邪・インフルエンザにご注意!〜
医仁会武田総合病院 薬局長 馬瀬 久宜 氏
■インフルエンザと風邪の違い
●インフルエンザ
・突発的に全身に発病する。
・39度以上の高熱が出る。
・強い悪寒がする。
・筋肉や関節など、全身の痛みが強い。
・ひどい頭痛や頭が重い感じがする。
・鼻水や咳は全身症状のあとに表われる。
・肺炎や気管支炎など危険な合併症につながる。
・感染経路はくしゃみや咳などによる飛沫感染と接触感染もある。
・潜伏期間は3日間で、感染してもすぐに症状が出ない。
●風邪
・急性にゆるやかに喉や鼻などの上気道に発病する。
・37度前後の微熱が出ることもある。
・それほど強くない悪寒がある場合もある。
・全身の痛みはそれほど強くない。
・軽い頭痛が起こることもある。
・鼻水や咳はひきはじめなどに少し出る。
・中耳炎や副鼻腔炎を起こすこともあるが、非常にまれである。
■インフルエンザの治療と予防
インフルエンザ治療薬は、現在医療機関のみで投与、処方することができます。内服薬は2種類あります。一般的なものがタミフルです。もうひとつのシンメトレルは効く範囲が限定されているので一般的ではありません。吸入薬も2種類あって、リレンザとイナビルがあります。急性期の状態で入院された方には点滴治療を行うこともあります。市販の風邪薬は、熱、咳、鼻水の症状を抑える薬になります。通常のインフルエンザに直接効くものではありませんので、注意が必要です。
インフルエンザ対策は、まずは予防からです。手洗い、うがいは予防の基本です。そしてインフルエンザワクチンの接種です。
もし何かおかしいなと思ったら、我慢せずになるべく早く医療機関を受診し、早期発見・早期治療が非常に大事だと思います。
■インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンを接種することで、体内に抗体を作り、インフルエンザ似かからないように予防するためのものです。100%防止できるものではないのですが、ただ万が一かかったとしても、発熱などの症状が抑えられ、特に高齢者や小さいお子さんなどの死亡するリスクが低下することから、来るべきシーズンに備えていただきたいと思います。
インフルエンザの流行期間が12月から始まることから、10月、11月、12月半ばぐらいまでが接種時期です。インフルエンザワクチンの効果は、接種を終えてから約2週間後で、そのあと5カ月間持続するといわれていますから、流行前の10月中旬から12月中旬に予防接種をお勧めします。
■肺炎予防のために〜肺炎球菌ワクチンを受けよう〜
肺炎は、肺に細菌やウイルスが原因で肺に炎症が起こる疾患で、重症化すれば死に至ることもあります。日本では、3年前まで死因の1位は悪性新生物(がん)、2位は心疾患、3位は肺炎、4位は脳血管疾患でしたが、1960年代70年代と比べると大きく変わってきています。肺炎は経過が悪いと非常に厄介な病気であることから、死亡の理由として最近多くなって来ています。肺炎での死亡が一番多い年齢は65歳以上で、その割合は96.5%と非常に高い確率です。肺炎で一番多い病原菌である肺炎球菌は、肺炎球菌ワクチンで予防することができます。特にインフルエンザ流行時は、気道や肺に細菌が入りやすくなっているため、肺炎を起こす可能性があります。予防は、マスク、手洗い、うがい、口の中のケアですね。あとは、体の抵抗力を高める、規則正しい生活、禁煙、もともと持っている病気を治療することも大切です。
また、国の方針で2014年10月から肺炎球菌ワクチンが定期接種できるようになりました。すでに市町村によって対応の差が多少あるかもしれませんが、対象の方には手紙等での連絡があると思います。対象は65歳以上の方(60歳以上65際未満の方でも一部条件ありで定期接種の対象)です。平成26年度から今年度100歳以上の方、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳と5歳刻みの年齢の人が対象です。これを試験的に5年間続けるという方針で、今後、本格的に採用していくのではと考えられます。
定期接種を受ける対象年齢外の人は、自分の年齢が対象になるまで待つか、もしくは任意接種として受けてもいいでしょう。ただ、任意で受けると数万円はかかってしまいます。あるいは、65歳以上の人が受けられる肺炎球菌ワクチンには2種類あるので、2種類の注射を4年間隔をあけて2回打つ方法もあります。
Copyright © 2015 Takeda Hospital Group. All rights reserved.