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くすりのお話し

お薬との正しい付き合い方を理解していただくために、また、日々進化するお薬のことを知っていただくために、「くすりのお話し」をさせていただきます。

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2015.01.17 最近話題の抗インフルエンザウイルス薬/たけだ通信106号より

医仁会武田総合病院 薬局
城尾 晃太(じょうお こうた)

「アビガン」の作用メカニズムはウイルスの遺伝子複製を阻害

インフルエンザウイルス治療薬で最近話題となっているのが、富山化学工業が開発したアビガン錠という薬剤です。今までに発売されてきた抗インフルエンザ薬は、内服薬ではタミフル、吸入薬ではリレンザ・イナビル、注射薬ではラピアクタなどがあげられます。これらの薬剤は投与経路や用法用量に違いはありますが、作用機序はインフルエンザウイルスの持つノイラミニダーゼという酵素を阻害し、ウィルス細胞の中で増殖したウイルスが細胞外へ放出されるのを防ぐ効果がある薬剤でした。

今回発売されたアビガン錠はこれまでの薬剤の作用と異なり、細胞外への放出よりも前の段階となる、ウイルスが増殖する段階で効果を示すため、流行が危惧されている新型インフルエンザウイルス感染症などに高い効果が期待されている。しかしながらアビガン錠には条件があり、「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)」とされているため、これらのインフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に患者さんへの投与が検討される医薬品です。従って、直ちに医療機関で使用されるものではなく厚生労働大臣から要請を受けて製造・供給等を行います。

アビガン錠が一般に知られるようになったのは、抗インフルエンザウイルス薬としての使用法だけではなく、西アフリカ中心に全世界で流行が危惧されているエボラ出血熱に対して効果がある可能性が期待されているため注目を集めています。現段階で有効な治療薬はなく、エボラウイルスに感染してしまうと対症療法がメインとなります。使用経験が少なく、効果が確実なものではないため、大規模での使用が可能となるかは未定ですが、日本発の薬剤が世界を救える可能性に注目したいです。

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