このコーナーでは、世間の関心が高い疾患を皆様にわかりやすくご紹介します。 読者の皆様からのご質問に答えていきます。
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歯磨きをすると強い痛みが出るのでなかなか歯の手入れができません。冷たいものを飲むとか、固いものを噛むなども大変苦痛です。どうなってしまったんでしょう?
下顎や口の中には三叉神経が分布していますので三叉神経に痛みを感じているということになります。三叉神経に痛みをおこす病気にはいくつかあります。痛み方に特徴がありますので、その特徴を詳しく担当医師にお話しください。代表的なものは特発性三叉神経痛、一般的にこれを三叉神経痛と呼んでいます。この特発性三叉神経痛は額、上顎、下顎などに強い痛み、ビリッとした痛み、緩んでいた糸をピーンと張るような痛み、走るような痛みが瞬間的に起こり、数秒から長くても数十秒で収まります。しかしこの瞬間的な激痛が何回も繰り返して起こります。歯磨き、洗顔、髭剃り、咀嚼などの動作でも痛みが誘発されることがあり、患者さんにとってこれらの動作は大変つらいものです。また必ず、顔の右あるいは左の一側に限られます。痛みの始まる場所は個人差がありますが、眼瞼の内側上方、尾翼の付け根、下顎の中央部などある一定の場所から起こります。このような痛みであれば特発性の三叉神経痛と考えてもいいでしょう。痛みが瞬間的ではなく持続的な痛みでは群発性頭痛、顎関節炎、副鼻腔炎、などを考える必要があります。
原因は何ですか?
多くは頭蓋骨の中で三叉神経が血管などで圧迫されていることがほとんどですが脳腫瘍によって圧迫されていることもあります。また帯状疱疹後(ウイルス感染)の三叉神経痛も特発性三叉神経痛と同じような症状を出すことがあり、以前に痛む場所に帯状の赤い斑点や水ぶくれがあったかどうかよく思い出してください。もしそういう体験があれば帯状疱疹後神経痛の可能性があります。
早く治したいのですが?
ここでは特発性三叉神経痛の治療についてお話しします。鎮痛剤はカルバマゼピン(テグレトール)がよく処方されます。原因を取り除く治療としてのおすすめは微小血管減圧術です。その他に神経節ブロック、ガンマナイフ治療などが行われています。痛みを我慢せずはやく、脳神経外科医あるいは神経内科医と御相談下さい。
三叉神経痛の患者さんの手術中写真
三叉神経(白矢印)は血管(赤矢印)により右下から左上の方向に押されてゆがんでいる。
この血管を移動させて、圧迫を解除すると痛みは治まる。
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