このコーナーでは、世間の関心が高い疾患を皆様にわかりやすくご紹介します。 読者の皆様からのご質問に答えていきます。
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。
切らずに痔を治せますか?
はい。痔は大きく分けると、いぼ痔、切れ痔、痔瘻に分類できます。このうち、"いぼ痔"が切らずに治せるようになってきました。"いぼ痔"には内痔核と外痔核があって、内痔核はALTA(ジオン)という注射が有効です。内痔核の症状は出血があっても痛みは無いことがほとんどです。トイレで便器を見ると血が出ている。普段は出ていないのに、トイレでは肛門から何か出ているような気がする。こんな時は内痔核の可能性が高いです。昔から、痔の手術は痛いと言われています。肛門は敏感な場所ですから、やはり切れば痛いのは事実です。しかし、内痔核なら切らずに注射で治せます。ALTAという硬化剤を内痔核に注射して痔を固めて、自然に吸収、縮小させる事が出来ます。2.3日の入院をお勧めしますが、注射後の痛みはほとんどありません。場合によっては、入院しなくても可能です。
どんな"いぼ痔"でも注射で治りますか?
残念ながら外痔核では難しいです。内痔核と外痔核は肛門内部の歯状線を境に分けていますが、明確に内、外を分けることは困難です。本来、内外は連続しているものですから、内痔核と外痔核とが併発している場合もあります。単独の外痔核もあります。多くの場合は内痔核のみ、あるいは内痔核主体のケースですので注射が有効です。肛門鏡などの検査をして、注射だけで治せるかどうかの診断が必要になります。内痔核を放置していると、外痔核を併発して注射だけで治せなくなってしまう場合もありますので、上記のような症状があれば早めの受診をお勧めします。
どの病院でも注射が受けられますか?
ALTAの注射は合併症を伴うことがありますので、どこでも受けられるわけではありません。「四段階注射法」という特別な注射方法が必要で、「肛門領域に精通した医師」で、なおかつ注射手技講習会を受けたもののみが施行できると決められています。内痔核治療法研究会に登録されている会員施設にご相談ください。
痛みの無い肛門出血は内痔核と思っていいですか?
いいえ。肛門出血の中には直腸癌が潜んでいることがあります。一般的に鮮やかな赤い出血は痔、暗赤色の出血は癌が疑われますが、必ずしも正しくはありません。
「出血があるけど、痔だろう。痔の治療は痛いからもう少し様子を見よう。」これが一番危ないのです。今は内痔核なら直すのに痛みの心配はほとんどありません。何ヶ月も前から出血があるのに、受診された時には既に進行した癌であった。こんな方を見る度に、"痔の治療は痛い"という先入観を忘れて欲しいと思います。
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