このコーナーでは、世間の関心が高い疾患を皆様にわかりやすくご紹介します。 読者の皆様からのご質問に答えていきます。
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。
城北病院 副院長 野瀬 謙介
下肢静脈瘤とはどのような病気ですか?
血液の逆流を防ぐ足の静脈の弁が正しく閉じなくなり、血液が逆流することによっておこる病気です。足の静脈が青く浮き上がる、コブ状になりだるい・重い・疲れるなどの症状があらわれ、歩行時や就寝中に足がつることもあります。そのまま放置すると皮膚が黒くなったり潰瘍ができたりします。
どんな方がかかられますか?
女性に多くみられ妊娠・出産をきっかけに発生しやすくなります。また、加齢とともに発生の頻度が増加し長時間の立ちA. 仕事に従事されている方も注意が必要です。
治療はどのように行われますか?
外科的なストリッピング(静脈を抜き取る)手術、局所麻酔で1cmほど皮膚を切開し、逆流している血管を結紮する方法、硬化剤を注射し静脈瘤を固める治療などがあります。
最近では、血管内にレーザー光を照射し血管の中から静脈を塞いでしまう方法も行われるようになりました。
レーザー治療の良い点を教えて下さい。
血管内レーザー治療では治療する静脈の中に光を導くための細いファイバーを通し照射します。従来のストリッピング手術では2ケ所足を切開していましたが、レーザーでは1ケ所だけ細い針か、数ミリの切開で治療が可能です。
このため、手術のあとが目立ちにくく、治療も30分ほどで、体にもやさしい治療法といえます。
この治療は平成23年1月から健康保険による診療が認められています。
注意することはありますか?
事前にレーザー治療が可能な静脈瘤かどうかを超音波診断装置(静脈エコー)などで検査をする必要があり、治療後一時的なつっぱり感、皮下出血などが起こる場合があります。また、この治療は新しい治療法で国内では長期成績の検証はこれからであることを理解していただかなければなりません。
レーザー治療は安全な治療でしょうか?
日本国内で行われた臨床治験で安全性は確認されており、海外では入院設備のないクリニックでも一般的に行われています。この治療は超音波エコー検査や特殊な局所麻酔に関する知識を必要としますので下肢静脈瘤に詳しい血管外科の医師が行います。また武田病院グループの専門施設、大学病院とも連携をとり、合併症などの症状にも備えます。
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