お薬との正しい付き合い方を理解していただくために、また、日々進化するお薬のことを知っていただくために、「くすりのお話し」をさせていただきます。
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。
宇治武田病院 薬局長 内本 恵介
■副作用とは
薬を使用するときにいちばん気になるのは、どんな「副作用」があるのかということでしょう。「副作用」とは薬を使用したときにあらわれる、本来の目的以外の作用をいいます。副作用は大きく2つに分けて考えていただきたいと思います。
1. すぐ使用をやめて受診していただきたい副作用ー(例)薬剤が体に合わないショック症状など
2. おこっても使用を続けてほしい副作用ー(例)鉄補給剤による黒色便やかぜ薬による眠気など
例えば、かぜ薬をのんだら眠くなった場合、「眠ること」を期待してのんだわけではありませんから、「眠気」は副作用とされます。しかし、不眠症のために睡眠薬をのんで眠くなった場合の「眠気」は副作用ではなく、本来期待される「効きめ」ということになります。このように、薬を使用された場合、目的としない作用があらわれることがあり、これを副作用と呼びます。
薬は有効な作用と副作用との兼ね合いなのです。
注意していただきたいのは、副作用によりそのまま薬を使わないでおくと、治療が長引いたり、あるいは治らないことになるかもしれないということです。ただ医師・薬剤師より、「この薬はこういう副作用がありますが続けて使って下さい」といわれる以外の症状が出た場合は、医師や薬剤師に相談することが大切です。その症状が続いていてもいいのか悪いのかの判断を自らくだすのは危険です。薬のせいではなく違う病気でその症状がおこっている可能性もあるからです。
■副作用はなぜおこるの?
副作用には、
1. 予想しない作用があらわれる場合
2. 予想したよりも強く作用する場合があります。
薬は必要な場所にだけ効くことが理想ですが、血液といっしょに全身を回るため、必要のないところにも働きかけて、結果として思わぬ副作用がおきることがあります。例えば、抗生物質は体の中の悪い細菌を殺しますが、同時に人体にとって必要な腸の中にいつもある乳酸菌などもやっつけるので、下痢や便秘をおこすことがあります。
また、予想以上に薬が強く作用して副作用をひきおこす例として、糖尿病の血糖を下げる薬の効果が強すぎて、低血糖をおこすような場合があります。
■副作用をおこしやすいのはどんな人?
副作用は誰にでも同じようにおこるわけではなく、年齢、性別、体質や病気の状態などさまざまな要因によっておこりやすい人、おこりにくい人がいます。
特に注意する必要があるのは、次のような人です。
1. アレルギー体質の人は、薬に対して過敏な反応が出やすいので要注意です。薬を購入する際には、どんなものに対してアレルギーを持っているのか、家族にアレルギー体質の人がいるかなどを伝え、薬剤師に薬のチェックをしてもらいましょう。
2. 高齢者は肝臓や腎臓の働きが弱っていることが多いので、薬が思った以上に体の中にとどまることがあります。
3. 肝臓や腎臓に病気を持っている人は薬の代謝や排泄がうまくいかず、薬の作用が強くあらわれることがあります。
4. 複数の薬をのんでいる人も肝臓や腎臓での代謝や排泄の機能が弱っていることがあり、薬ののみあわせで副作用があらわれやすくなることもあります。特に市販されている薬を買うときには薬局の薬剤師に使用中の薬を示し、相談するようにして下さい。
■副作用はどれくらいおこるの?
副作用の頻度は薬の種類によって異なるので、一概に何パーセントということはできません。ビタミン剤のようにほとんど副作用のない薬から、抗ガン剤のように高頻度におこるものまでいろいろです。意外かもしれませんが、一つひとつの薬の副作用の発生頻度について、正確なことはよく分かっていません。薬によっては、使用成績調査などで得られたデータがあるので、ある程度の目安になりますが、これをもって全てとすることはできません。
薬を使用しているときにいつもと違うとか体の不調を感じたら、一人で不安を抱え込まず、医師・薬剤師に相談しましょう!
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