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アスニー講座 からだを知ろう

アスニー京都で開催される、武田病院グループのスタッフによる健康講座です。

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

2013.04.24 運動でしなやかな血管づくり

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 運動でしなやかな血管づくり ~ 健康寿命を延ばすために ~


医仁会武田総合病院 疾病予防センター 係長 黒瀬 聖司


■血管の病気を防ぐ
血管の病気の根元には、生活習慣と肥満が存在しています。動脈をしなやかにすることで、動脈硬化など根本から変えることで健康長寿になるのではないかと考えられると思います。
狭心症、心筋梗塞、脳血管障害といった血管の病気は、ダントツで男性の方が多いです。女性は、閉経するまでは女性ホルモンの関係で発症率は男性の半分以下です。ただし、閉経後は女性ホルモンが出なくなるので、だんだん男女差がなくなります。男性は早ければ30代ぐらいから発症する方もいますし、女性は55歳ぐらいからだんだん増えてきて、男性は40歳ぐらいから増えてきます。女性ホルモンは、血管にとって非常に良い影響を与えてくれるのが女性ホルモンです。

■血管内皮を強くする
動脈硬化には2種類あり、一つは加齢と共に血管自体が硬くなるもの、もう一つはコレステロールなどの塊によって血管内が狭窄し起こるものです。血管内皮が悪くなる人は、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、メタボなどが関係します。血管内機能の改善には運動やリラクゼーション、薬、食事の仕方などの方法があります。喫煙はさまざまな病気の要因になるほど良いことはなく、血管にももちろん良くありません。自分が非喫煙者であっても受動喫煙によって、喫煙者と同様に血管内皮細胞が悪くなってしまいます。また、女性の場合、喫煙経験がある方、現在喫煙している方は、なかなか血管内皮が改善しません。

■血管と運動の関係
実は1回15分間ぐらいのストレッチで筋肉を伸ばすだけでも、その直後血管内皮機能がよくなったというデータがあります。歩行困難な方や歩くのが億劫な方は、ストレッチ体操で筋肉を伸ばす運動をするといいでしょう。また。狭心症や心筋梗塞などで行われる冠動脈インターベーション治療後に運動療法を行うと、血液が流れるようになって狭心症のような胸の痛みが少なくなるというデータもあります。ただし、そこで治ったと思ってしまうと、再狭窄する可能性が高くなるので、運動療法を適切に続けるべきだと思います。再狭窄を防ぐには、大体1日230キロカロリー、歩数にして大体7000~8000歩です。心臓の血管が細い人の身体活動量は一週間に1000キロカロリー、大体3000~4000歩ぐらいです。一日5000歩も動いていない人は、特に心臓の血管に動脈硬化が起きやすくなります。だからといって、いきなり5000歩以上を目指すと膝や腰が痛くなるので、少しずつ増やしていくのがいいでしょう。

■有酸素運動が効果的
動脈を柔らかくするのに最適なのは有酸素運動です。息が切れるような運動ではなく、ウォーキングや水中歩行、ゴルフ、サイクリング、ストレッチ、ラジオ体操、階段の昇降などがあります。逆に、高強度の運動をすると血圧が上がって血管が硬くなり、動脈に負担をかけるため好ましくありませんが、簡単なスクワットや健康のための筋力作りであれば全く問題ありません。準備体操をしてから歩くなど、うまく組み合わせると血管が硬くならならず、健康づくりのための筋力もついて良いといわれています。
有酸素運動は効果的ではありますが、筋力トレーニングとストレッチ、実はそれぞれ効果があるんです。有酸素運動は血管を柔らかくしますし、筋力トレーニングは筋肉を落とさないですし、代謝を変えません。また、腰痛や膝痛、関節を安定化させるために必要です。ストレッチはリラクゼーション効果があるので、身体が疲れていたりしんどいときに簡単なストレッチをすると気分が楽になったりします。家事の途中に「テレビを見ながら」、「掃除をしながら」簡単な筋力運動をしたり、膝や腰が痛くなければエレベーターを利用せずに1階分だけでも階段を利用してみるなど、日常でのちょっとした工夫で運動ができます。また、この機会に万歩計をつけて数値化することも大切です。

■健康づくりのための身体活動基準
今年3月に厚生労働省が「健康づくりのための身体活動長の基準」を新たに発表しました。それによりますと、65歳以上の方は、強度を問わず、毎日40分ぐらいは意識的に動こうということです。18歳から64歳は3メッツ、メッツと言う言葉は、いろんな言葉を説明しなくてはなりませんが、今座っていますね。これが1メッツです。これの3倍の動きを60分しようと、3メッツというのは普通に歩けば3メッツです。それが歩く強度が3メッツなんですけれども、歩くことを1時間以上しようねということなんですね。ここが大きな特徴です。昔の基準は年齢関係なかったんですけれども、年齢で分けてくれて、なおかつ具体的なことを解りやすく書いてくれたものなんです。これはちょっと専門家向けの資料なんでわかりにくいですけれども、あとでみなさん向けの資料も出てきます。身体活動というのは、生活活動から運動をひっくるめた全部のことなんです。なので、読書とか食事とか全部入ります。なので、40分と聞くと何となく可能かなと思いますよね。要は身体を動かすことが身体活動ですということです。寝転がったり座りっぱなしにならないように、なるべく身体を動かすようにしましょう。座ったときが1で立ったときが2ぐらいなんですね。寝るよりも座る、座るよりも立つ、立つよりも歩くことです。厚生労働省が出した取り組みに「+10(ぷらすてん)」というものがあります。これは、今より10分間たくさん歩きましょうという取り組みです。10分たくさん歩くと大体1000歩ぐらいです。現在1万歩の方は、それを維持させることを心掛けて、特に5000歩未満の方は、10分ずつ動かすことで健康寿命を延ばすことができます。健康寿命を延ばすことで糖尿病を予防したり、心臓病とか脳梗塞、脳出血が予防することができるのです。

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