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健康相談Q&A

このコーナーでは、世間の関心が高い疾患を皆様にわかりやすくご紹介します。 読者の皆様からのご質問に答えていきます。

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

2011.06.01 過活動膀胱について/たけだ通信98号より

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宮津武田病院  院長  曽根 淳史

過活動膀胱とは

「過活動膀胱」とは尿意切迫感を伴う症状症候群のことをいいます。尿意切迫感とは急に強い尿意に襲われて、漏れそうになる状態をいいます。実際に漏れてしまったものを切迫性尿失禁といいます。症状症候群ですので原因疾患は問いません。多くは頻尿を伴いますが、頻尿のみで尿意切迫感を伴わないものは過活動膀胱ではありません。過活動膀胱は英語で Overactive bladderというため、その頭文字をとって一般には『OAB』と呼ばれています。現在、日本には約800万人のOAB患者がいると考えられており、半分が切迫性尿失禁を伴う『Wet OAB』、半分が切迫性尿失禁を伴わない『Dry OAB』です。

どのような治療法がありますか?

軽症例では排尿訓練といって、すぐにトイレに行ける所で、尿意があってからしばらく我慢するトレーニング方法がありますが、一般的には薬物療法が中心です。現在は膀胱の過敏性には抗コリン薬(副交感神経遮断薬)が有効ですが、副作用が高頻度に生じる点が問題です。最近では同様の効果があって、副作用の少ないβ3受容体作動薬が使用されるようになってきました。

注意点を教えてください。

過活動膀胱はあくまで尿意切迫感が主症状ですので、頻尿や夜間頻尿のみの患者さんは治療法が違います。特に高齢者の頻尿・夜間頻尿の多くは過活動膀胱ではなく、飲水過多による多尿の患者さんで、上記のような薬剤は無効です。鑑別には排尿が有効です。また頻尿のみの患者さんの中には膀胱機能の低下で、残尿が増加し、結果的に頻尿になっている方があり、このような患者さんに抗コリン薬やβ3受容体作動薬を使用すると残尿が増加し、病態を悪化させますので、投与前後には超音波検査を用いて残尿を測定することが重要です。さらに抗コリン薬は認知症を悪化させる可能性がありますので、認知機能に問題のある方や寝たきりに近い方などには投与しないことが重要です。

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